【インタビュー】J、10thアルバム完成「自分が出す答えはいつだって何かを射抜いていたい」

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■エンジニアさんやメンバーとやりとりする中で
■しょっちゅう出てきた言葉が「これ、ずっと聴ける?」だった

──ジャケットやミュージックビデオに出てくるベースって、本当に燃やしているんですよね?

J:そう。俺自身の象徴みたいな意味あいで。

──CGでもできる時代にリアルに燃やしているところがまた、らしいですよね。

J:やっぱり、CGはちょっとウソっぽくなるんですよ。本物には叶わないというかね。

──なるほど。違いがわかってしまうんですね。それにギターやベースって普通あんなに綺麗に燃えないでしょ。

J:そう。今までさんざんやってきてますからね。もはや火のプロですから(笑)。あと、実際、今回のサウンドメイクもアルバムタイトルがキーワードになっているんですよ。

──ぜひ、そこ、教えてください。今回、相当、削ぎ落とされたサウンドになっていますよね。

J:スタジオの中でエンジニアさんやメンバーとやりとりする中で、しょっちゅう出てきた言葉が「これ、ずっと聴ける?」っていうことだった。

──永遠か否か?

J:うん。「こっちの音のほうがずっと聴けるよ」とかね。迫力を出そうと思って壁のようにギターを重ねたり、耳をつんざくような音色でプレイしても、数ヶ月後に飽きてしまったら意味がないと思ったから、それが“eternal”というワードに繋がるのかもしれないけど、迷ったときにはそこがジャッジポイントになったかな。

──演奏面では長年、Jさんをサポートし続けてきた藤田タカシさんが脱けて、masasucksさんがバンドに復帰したじゃないですか。メンバーが変わったことによって起きた化学反応もあるだろうし、今回のアルバムって音数が少なくて、Jくんの歌とベースがより際立って聴こえるんですよね。

J:そういう意味でも今回のアルバムって実はたくさんの挑戦の結晶でもあり、過去、最高に音数が少ないんですよ。

──4人の音だけで構成しているんですか?

J:そう。気がつけばね。音が少なければいいっていう話ではなく、そこに至る想いは今まで以上にぎゅうぎゅうに詰まってるんですよ。サウンドメイクもいっさい濁らせずに隠すことなくすべてを浮き彫りにしていく。お互いの楽器が支えあったり、広げていったり、相互作用が生まれる作り方をしていったし、音と音の隙間にも気を配って‥‥楽器陣がビルドアップしている中、全員の呼吸感まで伝わるような音作りにこだわってレコーディングしましたね。そうすることによって、いつまでも鳴り続ける響きをレコーディングできるから。歌詞にしても伝えたい想いはたくさんあるけれど、言葉で埋め尽くしてしまうと曲の世界に蓋をしてしまうことになりかねないから、行間にもこだわったし、ホント挑戦でしたね。

──隙間を作ることって勇気が必要ですよね。それでいて緊張感を途切れさせないようにしないといけないだろうし。

J:なぜ、こういう方向に向かったかというと、今まで自分がやってきたことに対して誇りを持っているからこそ挑戦したかったんです。やってみないとどうなるかわからない部分もあったけど、今まで得てきたもので満足してしまうのか、ここからまた始まるという想いで強さを手にするのか。後者を選んだんですよね。

──BOX盤にバンドスコアが付いているのもJさんからのメッセージということ?

J:俺自身がバンドサウンドを追求しているというのもありつつ、もし楽器をやっている人がこのアルバムを手にとったら、そういう視点からも楽曲を聴いてもらえると思ったし、プレイする楽しみだってあるから。今、バンドスコアってクールだなって。

──なるほど。アルバムは撃ち抜かれるように痛快なロックンロール「Verity」から始まりますが、この曲の歌の出だしの一節“9番目の自由から 飛び出した原理”は、前回のアルバム『FREEDOM No.9』のことを表しているんですか?

J:まさに前作のことで。あのアルバムで“自由”を歌ったからには決着をつけないと10枚目の扉は開かないと思ったんです。自由にはリスクも責任も伴うから、俺なりの落とし前をつけた上で次に向かわないと気持ち悪かったっていうか。だから、あの1行目は絶対に必要だった。

──ここから、また新しい扉が開くんだっていう。

J:そうだね。前作とのストーリーも繋がるし、ここからさらに広がる世界を楽しんでもらえるんじゃないかと。

──歌詞も“溢れ出す感情を 何かの為に 抑えるな”とか、今まで以上に言い切っていますよね。

J:ですね。つねにそういうことを思いながら音楽を作ったりプレイしてきたので、自分の想いをメッセージできたらなって。もしかしたら自分自身に言っているのかもしれないし。

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