【インタビュー】J、10thアルバム完成「自分が出す答えはいつだって何かを射抜いていたい」

ポスト

Jが9月2日、記念すべき10枚目のアルバム『eternal flames』をリリースする。1997年のソロ活動スタート時にリリースされたアルバム『PYROMANIA』(放火魔の意)から18年。あのときに放った炎をたやすことなく燃やし続け、“不滅の炎”というタイトルにふさわしい強靭で全てを包みこむ愛とスケール感も合わせ持つロックアルバムを完成させた。胸を焦がすJのヴォーカル、ロックンロールし続けてきた男だからこそ鳴らせるベース。削ぎ落とされたソリッドなバンドサウンド。そのすべてを全身で感じてほしい。

◆J 画像

前アルバム『FREEDOM No.9』から約2年ぶりとなる最新作のレコーディングは2014年5月よりスタート。その後は、LUNA SEAとして25周年アニバーサリーツアーを廻ったほか、自身主宰ロックイベント<赤坂BLITZ 5Days>などのライブ活動と並行しながら制作を続け、そこで得た熱をそのまま楽曲に落とし込んでいく作業を1年以上にわたり繰り返してきた。結果作り上げられたサウンドはシンプルなバンドサウンドで構成されている。また、10thアルバムを記念して制作されたスペシャルBOXにはアルバムに加え、ミュージックビデオをはじめレコーディング風景などをとらえたドキュメント映像収録DVDが付属する。さらには収録全曲のバンドスコアと、最新のJをとらえた写真集がパッケージされるなど、完全保存版と言うべき仕上がりだ。それらすべてについて語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■いいタイトルかなって。1stの『PYROMANIA』が
■あのとき放った炎は永遠だっていうね

──ニューアルバム『eternal flames』は内側から簡単には消えない火をつけられるようなアルバムだと感じました。ロックでソリッドでパンクスピリッツに貫かれていて、1本の道を切り開いて進んできたJさんだからこその強さ、男っぽさがある。どんな意識で久しぶりのアルバムに取り組んだんですか?

J:10枚目の節目になるアルバムだからこそ、力を入れすぎずに自然なフォームで、自分が追いかけ続けてきた音をより強いアティチュードで詰め込みたいと思っていたんですけど、そう思っていること自体が意識しているということなので(笑)、今だからこそ鳴らさなきゃいけない音は意識していました。

──先ごろ行われた<FC Pyro.会員限定バースデイライヴ>では、アルバム制作にかなり長い時間を費やしたと話していましたが、自身の中で“まだまだ”って納得できないところがあったからなんですか?

J:レコーディングがスタートしたのは遥か1年以上前で、自分が鳴らすべき音を含めて、ずーっと探していたものがあったんですね。1曲1曲を作り上げていく過程で“この曲は本当に今までの俺や今の俺を表現できているんだろうか”って、ちゃんと感じるまでの時間が必要だった。出来たばかりの頃は「OK!」ってテンションが上がるじゃないですか。でも、1~2週間たって聴き直してみると“この曲はこういうふうにも響くんだ”とか、“こういう力強さを持っていたんだ”とか、曲の持つ多面性を感じることができるので、そこからまた突き詰めていったんですよね。絶対的なアルバムを作りたいと思っているがゆえに、1曲1曲のフォルムというか形を探っていったし、“この曲の次にこの曲が来たら、どういう印象になるんだろう”っていうシュミレーションもずっとしていた。でも、時間をかけたことが今回、プラスに向かったなって。

──1度、壊してアレンジし直してみたりとか?

J:そう。

──とても有意義な悩み方だったわけですね。

J:本当に最高のアルバムを作りたいという一点だけを見つめる中で時間が進んでいった感じでしたね。制作中はLUNA SEAの25周年アニヴァーサリーイヤーのツアー<LUNA SEA 25th ANNIVERSARY TOUR THE LUNATIC-A Liberated Will->も並行して行なっていたし、自分自身のソロのライヴもあったけれど、全てがいい刺激になったんだよね。

──LUNA SEAのツアー、そして6月に行われた<LUNATIC FEST.>が今回のアルバムに影響を及ぼしたところがあるとしたら、どんなところですか?

J:思った以上に自分たちがやってきたことの重さとか歴史を各地の会場やフェスで感じたよね。だからこそ、バンドとしても俺個人としても、やるべきこと、立つべきところがあるんじゃないかって。カッコよくいたいと思ったし、いつだって自分が出す答えは何かを射抜いていたい。その場で思いついたものではなく、もっと確信めいたものを提示していきたい。いちミュージシャンとしてもバンドとしてもカッコよくありたい。それはずっと感じてましたね。

──まさに今、言ってくれたことを見据えて作ったのがアルバム『etarnal flames』なわけですね。

J:そう。ロックミュージックって世代で語られることが多い音楽じゃない? 例えば、昔から「若いヤツらの音楽だよ」って言われている一方で、今ではオッさんたちが喜んでいる音楽でもあってさ(笑)。でも、その両方の世代を行き来できる音はあるはずだし、俺はそういう音を鳴らしたかった。自分自身、ずっと不変のサウンドを追いかけてきたし、あらためて“自分が燃え上がるような気持ちになれるのは、そういう音だったんじゃないの?”って。だからこそ、今の俺がカッコいいと思うものを明確に打ち出したかったので、完成したときの達成感は大きかった。

──両方の世代を行き来できるロックが詰まっていることが、今作の揺るぎないパワー、力強さに繋がっていると思います。アルバムのタイトルを直訳すると“不滅の炎”、“不変の炎”という意味だけれど、燃やすための燃料は決して“衝動”だけではない。強さ、包容力、愛、いろんなものが燃料となって簡単には消えない炎が燃え上がっているイメージがありました。

J:ホントにまさにそういうことで、衝動の大切さ、素晴らしさも理解しているけれど、同時にその危うさや儚さも知っている。ただ単純に「衝動だよな」って言えない年齢でもあるし。だけど、リアルに衝動があったら、今の俺はどうそれを表現する?って。「こういう衝動だってあるんだよ」っていうものを提示したかったしね。

──アルバムのタイトルは全ての曲が出揃ったあとに付けたんですか?

J:そうだね。1stアルバムから“火”にまつわるタイトルを数多く付けているので、10枚目の節目に全く触れないのもなと思って(笑)。

──ははは。むしろ究極のタイトルじゃないですか?

J:ははは。いいタイトルかなって。1stの『PYROMANIA』があのとき放った炎は永遠だっていうね。

◆インタビュー(2)へ
この記事をポスト

この記事の関連情報