【FUJI ROCKメモリー】the telephones、“感謝”と“称賛”が行き交った幸福のGREEN STAGE。
<FUJI ROCK FESTIVAL’15>が終了してから、2週間以上が過ぎた。邦楽勢がメインステージであるGREEN STAGEに多く出演したフジロック、名所であったオレンジコートが廃止されたフジロック、さらにはほぼ総じて天候に恵まれたフジロック。今回もさまざまな変化やドラマが描かれた日本を代表するこのロックフェスにおいて、活動休止直前のタイミングでGREEN STAGEでの初出演を果たしたのがthe telephonesだ。彼らもまた、メモリアルな瞬間をフジロックヒストリーに刻んだ。
◆the telephones ライブ画像
the telephonesが出演したのは、3日目にあたる7月26日(日)。直前のGREEN STAGEには[Alexandros]が登場し、初フジロックにしてメインステージの大舞台を担った。敬愛するノエル・ギャラガーと同じステージに立てることの感慨も表した白熱の演奏を見せ、会場を思いっ切りあたためた。そして13時20分、声援に包まれthe telephonesの4人が登場。その登場から、反射的にオーディエンスの身体は動き出していた。笑顔も会場中に溢れている。いつにも増してノブ(岡本伸明)の動きも覚醒しているようだ。その後も、巨大ヴィジョンにはこれでもか!と言うほど何度もノブのアップが映し出された(笑)。
「今日は天気がいいから、太陽をミラーボールにして苗場をディスコにしよーーゼーー!」という石毛 輝の甲高い扇動の声。そして「カモン、フジロック!」と発すると、彼らの1stシングル「Keep Your DISCO!!!」のヴィヴィッドなシンセが鳴り響き、いきなりの大盛り上がりとなった。
そもそも今回the telephonesは、UKの大注目バンドCatfish and the Bottlemenの代わりに急遽出演が決定したのである。しかも、バンド自身も公式な出演発表(7月23日)の前日に出演依頼を受けたという。だから石毛も、この出演は「運命」だとMCで言い表していた。「バンド組んだ時の夢が、フジロックのGREENに立つことだったんですよ。立って解散だね、って。そしたら、解散ではないんですけど、まさかの展開でGREEN STAGEにいます!── こうやって観に来てくれる人がいるから呼ばれたんだと思います。みんなに感謝します。ありがとう!」
実際に、彼らがこのタイミングで今回の晴れ舞台に立ったことは、きっと多くの音楽ファンにとって喜ばしい出来事だったと思う。2000年代後半から邦楽シーンを着実に盛り上げてきたthe telephonesだからこそ、受けられた大役の代打であった。ステージの中央に掲げられた「10th ANNIVERSARY DISCO!!!」のフラッグも、そこに堂々と誇らしげに存在して見えた。
そして、「僕達もめいっぱい楽しむんで、みんなも負けないように楽しんでください! よろしく!」と、活動休止前ラストアルバムとなる『Bye Bye Hello』から「Amber Romance」を演奏した。まるで風が吹き抜けていくような美しいメロディと伸びやかなサウンド。彼らは、10年の集大成としてではなく新たな表現を求めてニューアルバムを作ったことがよくわかる、新鮮なナンバーだ。
今回のステージは、地元さいたまスーパーアリーナで11月3日に行う彼らのライブイベント<the telephones Presents “Last Party ~We are DISCO!!!~” 」まで、あとわずかのライブしか残っていないタイミングであったが、妙な感傷的な雰囲気がなかったことは記しておきたい。バンドは感謝の気持ちを胸に、オーディエンスは彼らの活動に対する称賛の気持ちと寂しさを抱きながらも、今はとにかく鳴り響く音楽に集中して、思い切りフジロックを楽しんでいたのだろう。晴れ渡る空の下で広々と広がるその景色は、幸福なものとして非常に美しく映った。
彼らの10年とは、クラブとライブハウスの垣根を壊すパーティーバンドとして奮闘し、実際に各地を盛り上げてきた10年でもあったと思う。活動休止を控えたいま、さまざまな動きを見せるテレフォンズだが、苗場の地でも彼らの功績が一等輝くステージを見せてくれた。
取材・文=RYOKO SAKAI
<FUJI ROCK FESTIVAL’15>
2015年7月24日(金)25日(土)26日(日)
@新潟県 湯沢町 苗場スキー場
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