足早にSTAN STAGEへと移動すると、震えるほどの大歓声が湧く中、OVER ARM THROWのライブがスタートした。1曲目の「MUSIC」からフロアの盛り上がりは凄まじく、「オレたちの居場所を作ろうぜ!」と鈴野(B&Cho)が叫んでからの「Unity! Freedom! Opportunity!」、メンバーが躍動しまくりの「Thanks」、怒涛の流れで叩きつけた「All right all wrong」など、思わず菊池(Vo&G)が歌いながら笑みをこぼしてしまうほど突き進んでいく。
ROTTENGRAFFTYのライブを見届けてから急いで移動すると、EVIL STAGEはBUZZ THE BEARSの終盤戦。フロアへ足を踏み入れた瞬間、汗ばむような熱気と越智(G&Vo)の味わい深いボーカルが同時に飛び込んでくる。聴く者をグッと引き寄せるライブは、目を輝かせて体を揺らすオーディエンスの姿がなんとも嬉しくなるほど。ラストナンバーは、すぐ横で語りかけてくれるような温かさを持つ「全てを」だ。笑顔で手を挙げ声を上げ、クライマックスでは大合唱。9月にリリースするという新作の出来栄えも気になるところ。
HATANO(Dr)がMCで、「PIZZA OF DEATHはこんな大きな会場を借りて、バカげたことをやってます。あの頃と何も変わってない。大好きです」と古巣への愛を語ったが、振り返ってみれば、この日披露したナンバーはすべてPIZZA OF DEATHからリリースした作品収録曲ばかり。終盤、「ETERNAL WISH,TWINKLE STAR」で畳み掛け、「RAINBOW, RAINBOW」で描いたとんでもないサークルを描いた光景は、ともて痛快だった。
▲RADIOTS
そのライブハウス感をさらに増幅させたのが、続いてEVIL STAGEに登場したRADIOTSだ。小細工なしで音と心をぶつけ合い、鋭い眼光でフロアを見渡す姿は、まさにパンクロックを具現化したようなスタイルだ。照明のトラブルにも、YOSHIYA(Vo)が「お前らがイカれてるからだ」と煽り、「テッペンなんかねえよ!」と繰り出したのは「No Named Sky」だった。HIROMITSU(G&Vo)がマンドリンでゴキゲンなイントロを奏で、そこから一気に激しくスピードアップ、いつも以上の熱さと激しさをみせつけてくれる。振り切ったメーターはそのままに放った「M-5」、そして「オレ、待ってられねえから行くぜ!」とYOSHIYAがフロアへ乗り込み、そのまま歌い上げた「M-7」と「UPRISING」は観る者すべてを鼓舞するエネルギーに満ち溢れていた。
▲MONGOL800
▲G-FREAK FACTORY
キヨサクの投げキッスからいきなり「あなたに」でフロアを温かく包み込み、色褪せないライブナンバー「DON'T WORRY BE HAPPY」でオーディエンスを踊らせまくったのはSTAN STAGEのMONGOL800。序盤から、「ここは沖縄より暑いぞ!」とキヨサクが口走るほどの賑わいを見せ、「OKINAWA CALLING」を挟んでから、前へ前へと吸い寄せられていくオーディエンスが物凄い大合唱を巻き起こしたのが「小さな恋のうた」だ。すべてがシンクロしたかのような状況は圧倒的であり、MONGOL800が生み出すポジティブなバイブスに思わず魅了されてしまった。
駆け足でEVIL STAGEへと戻ると、locofrankが「Before It's too Late」を大熱演中。先日、BRAHMANのヨーロッパツアーにも同行した彼らは、そこでもいい経験を積んできたのだろう。破壊力たるや、半端じゃなかった。そのまま「reason」、「Grab Again」や「BE FULL」をフルスロットルで繰り出していき、木下(Vo&B)が「こんなライブハウスをそのまま持ってきたようなカーニバルが大好きです」と主催へ感謝の言葉を述べ、最後は猛烈なノリで「START」をぶっ放す。終わってみれば、ラスト前まで息継ぎなしの全9曲。研ぎ澄まされた、純度と温度がとてつもなく高いパフォーマンスを披露してくれた。
▲Fear, and Loathing in Las Vegas
▲怒髪天
熱烈なオーディエンスをかき分け、STAN STAGEへと移動。ラウドシーンのみならず、各所で猛威をふるい続けるFear, and Loathing in Las Vegasの登場だ。幕開けとなった「Rave-Up Tonight」からメンバーは放し飼いの獣のように暴れ回り、血気盛んにオーディエンスを扇動しながら、唸るようなサウンドで会場を制圧。もちろん、オーディエンスもそれに負けじと、大声をあげながら激しいモッシュとダンスで呼応していく。So(Vo&Prog)の「やりたいように、踊って踊って踊りまくろうぜ!」との叫んでからの新曲「Starburst」やSxun(G)の「<SATANIC CARNIVAL>へ来てる人はペース配分なんて考えてないですよね?」との煽りから飛ばした「Virture and Vice」でカオティックな様相をより加速させ、締めは突き抜けたエナジーを生み出す「Just Awake」。堂々とバンドが持つ力をアピールした。
▲Ken Yokoyama
▲The BONEZ
▲04 Limited Sazabys
STAN STAGEトリプルヘッドライナーの先陣を切るのはKen Yokoyamaだ。まずはじめに、横山健(Vo&G)があくまでPIZZA OF DEATHのフェスであり、横山健のフェスではないという、STANIC CARNIVALと自身の関係性を説明した。改めて主催者へ感謝を述べ、「黒幕として始めさせていただきます」と「Punk Rock Dream」からライブはスタート。この瞬間を待ちかねていたのだろう、序盤から物凄い数のオーディエンスが前へ駈け出していく。全身全霊で想いを伝えようと「Ten Years From Now」を奏で、「ライブハウスカルチャーやストリートカルチャーがギュッと詰まったものにしたい」という<SATANIC CARNIVAL>への願望を口にしてから、新曲「I Won't Turn Off My Radio」を披露。まだリリース前にも関わらず、オーディエンスから大合唱が起こるほどの浸透力を持った楽曲だ。
人も想いも一緒くたに混じり合い、美しい色彩を描いた「Save Us」、Ken Bandのテーマソングでもある「Let The Beat Carry On」では横山がマイクをフロアへ投げ入れ、オーディエンスの歌い出しから楽曲をスタートし、会場が凄まじいテンション感で高ぶっていく。そこから、再び横山がマイクをフロアへ渡し、「言いたいことがあるなら言ってくれよ。マイクは返ってこなくていいです」と言ってから始めた「Believer」。この大合唱が本当に凄かった。広い幕張メッセを覆い尽くすような声が響き渡り、<STANIC CARNIVAL>としての最高潮のひとつであったに違いないだろう。
▲GOOD4NOTHING
STAN STAGEの熱を噛み締めつつEVIL STAGEへと向かうと、まさにGOOD4NOTHINGのスタート直前。こちらはこちらでいい期待感が充満していた。その空気の中、冒頭にU-tan(Vo&G)の「おっきいライブハウスへようこそ!」という言葉から「Stick With Yourself」でスイッチを入れ、大いに盛り上げていく。サビでの会場全体の弾けっぷりがヤバかった「Cause You're Alive」、ダイブしたオーディエンスが「一瞬たりとも逃したくない!」という気持ちからか、足早にフロアへ戻っていく姿がとても印象的だった「Right Now」など、彼らの旨味がギュッと詰まった楽曲たちを矢継ぎ早に繰り出していった。
EVIL STAGEのトリを飾るのは長崎が誇るメロディックバンド、SHANKだ。「Good Night Darling」で襲いかかり、自然発生的にフロアから湧いたハンズクラップで「Two sweet coffees a day」をドロップしていく。横殴りの雨のように押し寄せるサウンド、その中でヴォーカルは決してブレることがない。やはりと言うべきか歴戦のライブバンドだけあって、その佇まい威風堂々たるもの。MC中にフロアへ物販を投げ入れるという彼ららしい遊び心もありつつも、そのまま攻め手は緩めず、レコーディングが終わったばかりという新曲「Take me back」、爆発的な瞬発力を誇る「Cigar Store」と続けていく。バンドの激情とオーディエンスの興奮が混じり合い、ここがクライマックスかと思いきや、そこから叩きつけたラスト2曲が本当に凄まじかった。
厳かな歌い出しから一気に前のめりへ攻める「Set the fire」、溢れ出る想いをまっすぐに発する「Long for the Blue moon」と連発。フロアでは尋常じゃない数のダイブも起こり、ライブハウスらしい絶景が描かれたのであった。その後、冷めやらぬオーディエンスの呼びかけに応え、アンコールとして2曲を披露。見事にEVIL STAGEを締め括った彼らのステージは、今後の素晴らしき展開を期待させるに十分であった。
その後も、オーディエンスが盛大なジャンプと高く突き上げた拳で応えた「ape」、しっかりと立ち向かわないと押しつぶされそうになるほどの圧力を持つ「slip of the lip」と立て続けに突き刺してくる。本編ラストは「もし、力を余らせてるヤツがいたら、振り絞ってここまで来いよ!」とHiroの煽りから「a fact of life」へ。もう、ちょっとしたパニック状態とでも言うべきか、少しでも前へ駆け出す人、思い思いに叫ぶ人や力の限り体を揺らす人がそこら中に溢れ、それぞれのスタイルでFACTのサウンドを全身で浴びながら、気持ちを解放していく。なんだかとても胸が熱くなってしまった。