【ライブレポート】<SATANIC CARNIVAL'15>、「ライブハウスに一番近いフェスだと思います」

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PIZZA OF DEATH主催<SATANIC CARNIVAL'15>が2015年6月20日(土)、幕張メッセ国際展示場9-11ホールにて開催された。フェス当日の舞台裏リアルタイムレポートに続いて、全23バンドが10時間にわたって熱演を繰り広げたライブの詳細レポートをお届けしたい。

◆<SATANIC CARNIVAL’15> 画像

"シーンの居場所づくり"を命題に掲げ、2014年よりスタートしたPIZZA OF DEATHが主催する<STANIC CARNIVAL>。その第2回目が6月20日、幕張メッセ 国際展示場9-11ホールにて開催された。“STAN STAGE”と“EVIL STAGE”からなる2つのライブエリアを時間と体力の許す限り往復し、目撃した模様をレポートしていきたい。

▲SHIMA

まず、オープニングアクトとしてEVIL STAGEに登場したのはSHIMAだ。新作リリース直後ということもあり、午前11時という早い時間にも関わらず、EVIL STAGEを埋め尽くしたオーディエンス。EGACCHO(Vo)がその光景を眼前にして、「こんな人の集合体は観たことがない!」と驚きを隠せないほど。その期待に応えるように、バンドの代名詞でもあるZMSポーズをレクチャーし、とにかくゴキゲンにノリの良いロックンロールをぶっ放していく。その後も、ヘヴィからダンスまで網羅したサウンドを放ちながら、どんどん高みへと上り、最後にはEGACCHOが「甲子園に行けたことないけど、そんな気分です!」と口にするほど、しっかりとSHIMAの存在感をアピールした。

▲OVER ARM THROW

▲CRYSTAL LAKE

足早にSTAN STAGEへと移動すると、震えるほどの大歓声が湧く中、OVER ARM THROWのライブがスタートした。1曲目の「MUSIC」からフロアの盛り上がりは凄まじく、「オレたちの居場所を作ろうぜ!」と鈴野(B&Cho)が叫んでからの「Unity! Freedom! Opportunity!」、メンバーが躍動しまくりの「Thanks」、怒涛の流れで叩きつけた「All right all wrong」など、思わず菊池(Vo&G)が歌いながら笑みをこぼしてしまうほど突き進んでいく。

中盤、「ライブハウスと変わらないことをやるから、生きる場所はここだって見せてくれよ!」という鈴野の言葉もあったが、ライブハウスを根城にし、オーディエンスと双方向な関係性を築き上げながら活動する彼らだからこそ、"居場所づくり"をテーマにした<SATANIC CARNIVAL>の幕開けにふさわしいステージが繰り広げられたのだろう。このフェスの成功が約束されたようなパフォーマンスだった。

▲ROTTENGRAFFTY

▲BACKLIFT

そして、転換中のサウンドチェックで10-FEETの「その向こうへ」をプレイし、ライブを始める前から一気に会場全体のボルテージを上げたのはROTTENGRAFFTYだ。「STAY REAL」で抜群のスタートダッシュを決め、フロアの隅から隅までヒートアップ。N∀OKIとオーディエンスの掛け合いから見事な流れでなだれ込んだ「bubble bobble bowl」で多幸感に溢れるメロディーで熱狂を演出したかと思えば、NOBUYAが「オレらが目指してるモノはもっともっと上にある!」と、まだまだ足りないとばかりに叫んだ「D.A.N.C.E」でオーディエンスのタガを外し、フロアはまさに狂乱のダンスフロア。その勢いを保ったまま、とんでもない高揚感を描く「金色グラフティー」で締め括る。ライブバンドとしての強度の高さをみせつけまくり、実にドラマティックなステージであったと断言できる内容だった。

▲BUZZ THE BEARS

ROTTENGRAFFTYのライブを見届けてから急いで移動すると、EVIL STAGEはBUZZ THE BEARSの終盤戦。フロアへ足を踏み入れた瞬間、汗ばむような熱気と越智(G&Vo)の味わい深いボーカルが同時に飛び込んでくる。聴く者をグッと引き寄せるライブは、目を輝かせて体を揺らすオーディエンスの姿がなんとも嬉しくなるほど。ラストナンバーは、すぐ横で語りかけてくれるような温かさを持つ「全てを」だ。笑顔で手を挙げ声を上げ、クライマックスでは大合唱。9月にリリースするという新作の出来栄えも気になるところ。

▲WANIMA

そのまま待機していると、WANIMAがサウンドチェックでHi-STANDARDの「STAY GOLD」を奏でて、フロアから大喝采。テンションは十分すぎるほど高まり、松本(Vo&B)の「<STANIC CARNIVAL2015>、WANIMA、開催します!」と高らかに宣言してからゴキゲンに駆け出していくショートチューン「Hey! Lady」を放つのだから、もうたまらない。パンパンに膨れ上がったフロアも揺れに揺れ、矢継ぎ早にダイブも巻き起こる。尋常じゃないスピードでシーンを上り詰めているWANIMAの現状を改めて思い知らされた。

▲KEMURI

WANIMAの盛り上がりに後ろ髪を引かれながらSTAN STAGEのKEMURIへ。結成20周年を記念したベストアルバム『SKA BRAVO』をリリースしたばかりということもあってか、イントロで大きなどよめきが起こった「Prayer」、日本語とポップなメロディーが見事な調和を見せる新曲「Oo-zora」、オーディエンスを思いっきり高ぶらせ、コーラスでMONGOL800のキヨサク(B&Vo)が乱入した「Ato ichinen」といったように、この日は新旧織り交ぜた楽曲を繰り出していく。KEMURIの旨味をギュッと凝縮したパフォーマンスはまるで魔法のようであり、なんとも心を温かくしてくれる。伊藤が<STANIC CARNIVAL>へ謝辞を述べ、最後は心が弾むダンスナンバー「SUNNY SIDE UP!」で会場全体をハッピーなバイブスに包み込んでいった。

▲HAWAIIAN6

▲coldrain

高揚感を味わいながら足を運んだのがHAWAIIAN6のステージ。中盤からだったが、終始凄まじい興奮度だ。熱と汗がほとばしり、その空気感は完全にライブハウスそのもの。照明がシャットダウンするというトラブルにも見舞われたが、臆することなく己のサウンドを放ち続けていく。また、ライブの熱気に拍車をかけたのが、思わずニヤッとしてしまった秀逸なセットリストだ。

HATANO(Dr)がMCで、「PIZZA OF DEATHはこんな大きな会場を借りて、バカげたことをやってます。あの頃と何も変わってない。大好きです」と古巣への愛を語ったが、振り返ってみれば、この日披露したナンバーはすべてPIZZA OF DEATHからリリースした作品収録曲ばかり。終盤、「ETERNAL WISH,TWINKLE STAR」で畳み掛け、「RAINBOW, RAINBOW」で描いたとんでもないサークルを描いた光景は、ともて痛快だった。

▲RADIOTS

そのライブハウス感をさらに増幅させたのが、続いてEVIL STAGEに登場したRADIOTSだ。小細工なしで音と心をぶつけ合い、鋭い眼光でフロアを見渡す姿は、まさにパンクロックを具現化したようなスタイルだ。照明のトラブルにも、YOSHIYA(Vo)が「お前らがイカれてるからだ」と煽り、「テッペンなんかねえよ!」と繰り出したのは「No Named Sky」だった。HIROMITSU(G&Vo)がマンドリンでゴキゲンなイントロを奏で、そこから一気に激しくスピードアップ、いつも以上の熱さと激しさをみせつけてくれる。振り切ったメーターはそのままに放った「M-5」、そして「オレ、待ってられねえから行くぜ!」とYOSHIYAがフロアへ乗り込み、そのまま歌い上げた「M-7」と「UPRISING」は観る者すべてを鼓舞するエネルギーに満ち溢れていた。

▲MONGOL800

▲G-FREAK FACTORY

キヨサクの投げキッスからいきなり「あなたに」でフロアを温かく包み込み、色褪せないライブナンバー「DON'T WORRY BE HAPPY」でオーディエンスを踊らせまくったのはSTAN STAGEのMONGOL800。序盤から、「ここは沖縄より暑いぞ!」とキヨサクが口走るほどの賑わいを見せ、「OKINAWA CALLING」を挟んでから、前へ前へと吸い寄せられていくオーディエンスが物凄い大合唱を巻き起こしたのが「小さな恋のうた」だ。すべてがシンクロしたかのような状況は圧倒的であり、MONGOL800が生み出すポジティブなバイブスに思わず魅了されてしまった。

「一番ライブハウスに近いフェスだと思います」とキヨサクがSTANIC CARNIVALの実感を述べてから、まだ戦争反対という想いを曲にこめなければいけないというやるせなさを踏まえての新曲「himeyuri」を響かせ、ラストはなんとHi-STANDARDの「New Life」。喜びと笑みに満たされた、鮮やかなステージであった。

▲locofrank

駆け足でEVIL STAGEへと戻ると、locofrankが「Before It's too Late」を大熱演中。先日、BRAHMANのヨーロッパツアーにも同行した彼らは、そこでもいい経験を積んできたのだろう。破壊力たるや、半端じゃなかった。そのまま「reason」、「Grab Again」や「BE FULL」をフルスロットルで繰り出していき、木下(Vo&B)が「こんなライブハウスをそのまま持ってきたようなカーニバルが大好きです」と主催へ感謝の言葉を述べ、最後は猛烈なノリで「START」をぶっ放す。終わってみれば、ラスト前まで息継ぎなしの全9曲。研ぎ澄まされた、純度と温度がとてつもなく高いパフォーマンスを披露してくれた。

▲Fear, and Loathing in Las Vegas

▲怒髪天

熱烈なオーディエンスをかき分け、STAN STAGEへと移動。ラウドシーンのみならず、各所で猛威をふるい続けるFear, and Loathing in Las Vegasの登場だ。幕開けとなった「Rave-Up Tonight」からメンバーは放し飼いの獣のように暴れ回り、血気盛んにオーディエンスを扇動しながら、唸るようなサウンドで会場を制圧。もちろん、オーディエンスもそれに負けじと、大声をあげながら激しいモッシュとダンスで呼応していく。So(Vo&Prog)の「やりたいように、踊って踊って踊りまくろうぜ!」との叫んでからの新曲「Starburst」やSxun(G)の「<SATANIC CARNIVAL>へ来てる人はペース配分なんて考えてないですよね?」との煽りから飛ばした「Virture and Vice」でカオティックな様相をより加速させ、締めは突き抜けたエナジーを生み出す「Just Awake」。堂々とバンドが持つ力をアピールした。

▲Ken Yokoyama

▲The BONEZ

▲04 Limited Sazabys

STAN STAGEトリプルヘッドライナーの先陣を切るのはKen Yokoyamaだ。まずはじめに、横山健(Vo&G)があくまでPIZZA OF DEATHのフェスであり、横山健のフェスではないという、STANIC CARNIVALと自身の関係性を説明した。改めて主催者へ感謝を述べ、「黒幕として始めさせていただきます」と「Punk Rock Dream」からライブはスタート。この瞬間を待ちかねていたのだろう、序盤から物凄い数のオーディエンスが前へ駈け出していく。全身全霊で想いを伝えようと「Ten Years From Now」を奏で、「ライブハウスカルチャーやストリートカルチャーがギュッと詰まったものにしたい」という<SATANIC CARNIVAL>への願望を口にしてから、新曲「I Won't Turn Off My Radio」を披露。まだリリース前にも関わらず、オーディエンスから大合唱が起こるほどの浸透力を持った楽曲だ。

人も想いも一緒くたに混じり合い、美しい色彩を描いた「Save Us」、Ken Bandのテーマソングでもある「Let The Beat Carry On」では横山がマイクをフロアへ投げ入れ、オーディエンスの歌い出しから楽曲をスタートし、会場が凄まじいテンション感で高ぶっていく。そこから、再び横山がマイクをフロアへ渡し、「言いたいことがあるなら言ってくれよ。マイクは返ってこなくていいです」と言ってから始めた「Believer」。この大合唱が本当に凄かった。広い幕張メッセを覆い尽くすような声が響き渡り、<STANIC CARNIVAL>としての最高潮のひとつであったに違いないだろう。

▲GOOD4NOTHING

STAN STAGEの熱を噛み締めつつEVIL STAGEへと向かうと、まさにGOOD4NOTHINGのスタート直前。こちらはこちらでいい期待感が充満していた。その空気の中、冒頭にU-tan(Vo&G)の「おっきいライブハウスへようこそ!」という言葉から「Stick With Yourself」でスイッチを入れ、大いに盛り上げていく。サビでの会場全体の弾けっぷりがヤバかった「Cause You're Alive」、ダイブしたオーディエンスが「一瞬たりとも逃したくない!」という気持ちからか、足早にフロアへ戻っていく姿がとても印象的だった「Right Now」など、彼らの旨味がギュッと詰まった楽曲たちを矢継ぎ早に繰り出していった。

彼らは現場叩き上げのライブバンドであり、その底力は言うまでもないが、それ以上に心に残ったのがそれぞれの表情の豊かさ。時折、おどけた顔をしつつも、どんなときも想いにたぎったいい顔をしているのだ。その姿に無我夢中で見入ってしまった全9曲。きらびやかで輝かしいライブだった。

▲SHANK

▲10-FEET

EVIL STAGEのトリを飾るのは長崎が誇るメロディックバンド、SHANKだ。「Good Night Darling」で襲いかかり、自然発生的にフロアから湧いたハンズクラップで「Two sweet coffees a day」をドロップしていく。横殴りの雨のように押し寄せるサウンド、その中でヴォーカルは決してブレることがない。やはりと言うべきか歴戦のライブバンドだけあって、その佇まい威風堂々たるもの。MC中にフロアへ物販を投げ入れるという彼ららしい遊び心もありつつも、そのまま攻め手は緩めず、レコーディングが終わったばかりという新曲「Take me back」、爆発的な瞬発力を誇る「Cigar Store」と続けていく。バンドの激情とオーディエンスの興奮が混じり合い、ここがクライマックスかと思いきや、そこから叩きつけたラスト2曲が本当に凄まじかった。

厳かな歌い出しから一気に前のめりへ攻める「Set the fire」、溢れ出る想いをまっすぐに発する「Long for the Blue moon」と連発。フロアでは尋常じゃない数のダイブも起こり、ライブハウスらしい絶景が描かれたのであった。その後、冷めやらぬオーディエンスの呼びかけに応え、アンコールとして2曲を披露。見事にEVIL STAGEを締め括った彼らのステージは、今後の素晴らしき展開を期待させるに十分であった。

▲FACT

そして、大トリを飾るのはSTAN STAGEのFACTだ。年内で解散することを発表しており、見逃せないと駆け寄ったオーディエンスも数多く、会場の隅から隅まで埋め尽くすほど。SEとして流した「haze」をバックにステージに登場し、始まったライブはまさに怒涛の連続だった。Hiro(Vo)の「行こうぜ!」の声から「worm」で思いっきり感情を吐き出し、気持ちの昂りが止まらない「drag」を放つのだからたまらない。ステージ後方に設置された巨大スクリーンの映像とのシンクロ具合も素晴らしく、彼らのパフォーマンスにどんどん引っ張られてしまう。まさにFACTならではの世界観。

その後も、オーディエンスが盛大なジャンプと高く突き上げた拳で応えた「ape」、しっかりと立ち向かわないと押しつぶされそうになるほどの圧力を持つ「slip of the lip」と立て続けに突き刺してくる。本編ラストは「もし、力を余らせてるヤツがいたら、振り絞ってここまで来いよ!」とHiroの煽りから「a fact of life」へ。もう、ちょっとしたパニック状態とでも言うべきか、少しでも前へ駆け出す人、思い思いに叫ぶ人や力の限り体を揺らす人がそこら中に溢れ、それぞれのスタイルでFACTのサウンドを全身で浴びながら、気持ちを解放していく。なんだかとても胸が熱くなってしまった。

当然、鳴り止まないコールを受け、ステージに再び姿を現すメンバー。Hiroが「ひと言しか言えません。ありがとうございます」とオーディエンスに感謝の言葉を伝え、いろんな意味をこめて選んだという「rise」へ。しっかりと前を見据えながら、思いの丈を吐き出すように、自らに問いかけるように放っていく。烈々とした気迫と透き通るような想いが染みわたり、<STANIC CARNIVAL>の幕を閉じるにふさわしい、とても印象的なシーンであった。

全23バンドが出演し、約10時間にもわたって開催された<STANIC CARNIVAL>は、幕張メッセという大規模会場であり、様々な分野のブースが所狭しと並ぶ、いわゆるフェスであることは間違いない。しかし、多くのバンドが口にしていたように細かい配慮が行き届きつつも、本当にライブハウスをそのまま大きくしたようなフェスであった。熱気と激情が充満し、最低限のルールはあれど、思いのまま自由に楽しみ、主催者と出演者と参加者が同じ高みを目指して築きあげるフェス。是非、また2016年の開催を期待したい。

取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎Yuji Honda/Teppei Kishida/瀧本”JON…”行秀/Tetsuya Yamakawa(Showcase)


■<SATANIC CARNIVAL'15>
presented by PIZZA OF DEATH RECORDS

2015年6月20日(土) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
【SATAN STAGE】
OVER ARM THROW / ROTTENGRAFFTY / KEMURI / coldrain / MONGOL800 / Fear, and Loathing in Las Vegas / Ken Yokoyama / 10-FEET / FACT
【EVIL STAGE】
SHIMA(オープニングアクト) / Crystal Lake / BACK LIFT / BUZZ THE BEARS / WANIMA / HAWAIIAN6 / RADIOTS / G-FREAK FACTORY / locofrank / 怒髪天 / The BONEZ / 04 Limited Sazabys / GOOD4NOTHING / SHANK
チケット:\8,500

◆BARKS内<SATANIC CARNIVAL>特集
◆<SATANIC CARNIVAL> オフィシャルサイト
◆PIZZA OF DEATH オフィシャルサイト
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