【インタビュー】真空ホロウ、自身の名を冠した1stアルバム「すべてがリード曲として打ち出せる」
■トップの位置までいけている
■未来の“絵”が見えているんですよ
──そんな村田さんの音楽的なバックボーンは?
村田:オレは、女性ボーカル曲が、すごく好きなんです。globe、宇多田ヒカル、中島美嘉、セリーヌ・ディオン、マライア・キャリーとか。もっぱら女性ボーカル、歌姫たちですね。最近だと、アデルもよく聴いています。そういった、歌がスッと入ってくる曲が好きなんでしょうね。バンドで言えば、トゥールが好きで、これは3人とも共通しています。トゥールのベーシスト(ジャスティン・チャンセラー)がエフェクターをたくさん使っているから、真空ホロウのベースも、エフェクターをたくさん使って、変な音を出そうとしているんです(笑)。
──サウンド面での影響は、すごくよく分かりました。一方で、プレイスタイルとして、ベースがとてもメロディアスな部分と、歌を支える脇役に徹する部分のコントラストが印象的でした。そこは意図的に、使い分けているのですか?
村田:すごく根本的な話をすると……海外の音楽って、すごくいいサウンドが山ほどあるじゃないですか。ロックにしても、メタルにしても、歌謡テイストの曲にしても。そういうサウンドって、「日本人には出せないよ」って言われたりもするけど、でもオレは、“同じ人間なんだから、出せるだろう”と思っていて。そういったことをメンバーやエンジニアさんと、よく話すんです。自分たちには何ができて、その範囲はどこまでなのか。そこを、年齢を重ねながら学んで、拡げていくわけですよ。既にあるものだけじゃなくて、これとこれを組み合わせれば、もっとよくできるとか、あれとこれの組み合わせは、実はよくなかったといったことを、片っ端から学んでいくんです。そうすることで、日本人でも、海外のサウンドに近づけると思うし、いつか海外から評価を受けるサウンドを作れると思う。そして、自分たちの音楽が後々まで残っても、まったく恥じることのない音を作っていく。このことを肝に銘じながら、音楽を作っています。ただ、日本の音楽がダメなんてことはまったくなくて。すごく気持ちのいい音楽も、日本にはたくさんあるので、例えば歌謡テイストの曲を作る時も、海外の歌謡テイストじゃなくて、あえて日本の歌謡テイストを取り入れることだってあるわけです。だから自分は、ジャンルで考えずに、いいものは全部受け入れたい。何でも拒まない。その結果としてたどり着いたのが、今の自分のプレイ・スタイルだと思います。
──なるほど。
村田:そのうえで、むしろ最近は、もっと目立った方がいいようにも思っています。でも、前に出たくない時は、一切出たくない。そういったベースの浮き沈みは、特に真空ホロウのようなバンドだと、より重要になってくるんじゃないかって思っています。
──大貫さんは、どのような音楽に影響を受けてきたのですか?
大貫:僕が音楽を始めた原点は、X JAPANです。実は、最初に手にした楽器はギターで、そこからベースに変わって。それがある日、X JAPANを知って、Yoshikiさんのドラムに憧れて、ドラムを始めたんです。だから、パッと聴くと分からないかもしれませんが、フィルの連打とかに、Yoshikiさんの影響が出ていると思います。
──確かに、そういったテイストが散りばめられたドラミングですね。それと同時に、ギターやベースをやってきたという経験も大きいのでは?
大貫:それはあるかもしれませんね。他の楽器のことが分かっていると、「ここは合わせた方がいい」とか、そういう判断は、自然と出てくるように思います。
村田:彼とは5年くらい一緒にやってきて、去年くらいから、「うわぁっ!」と思うくらい、何も言わなくても2人のリズム感が分かってきたんです。やりたいことが、できるようになった手応えがあって。彼のことが理解できるようになったし、彼も、オレのことを理解してくれたと思うし。しかも、根底で通じる部分が多いんですよね。オレも、X JAPANやLUNA SEAも好きだし、彼が「この曲がカッコいい」と言えば、自分もそれを聴くようにしています。そうしたら、やっぱりオレも「カッコいいな」と思うことが多いんですよ。彼とは4つ年齢が離れているんですけど、音楽的にはすごく近いところにいるんです。唯一違ったのが、ラウドネスだけでしたね(笑)。
──ははは。松本さんにとって、この2人のリズム隊は、どのような存在ですか?
松本:何よりも安心感がありますし、あと、なぜか僕が聴いてこなかった、知らない音楽を、この2人が聴いているということが、すごく面白いと思っています。きっと、本当に好きなものは3人とも違うと思うし、経験も、年齢も違っていて、真空ホロウでなければ、絶対に出会わなかったはずです。そんな3つのブレインが、同じものを求めて、ここまでずっと一緒にいるということ自体が、すごく面白くて。スタジオでも、「こういったら、こうくるのか!」って、一人でこっそり笑ったりしています(笑)。
──では、最初に曲作りの話を聞きましたが、デモを2人に投げた時に、ある部分では、意図とは違うリアクションも期待している?
松本:そうですね。もちろん、自分が作ったものには自信がありますが、それは僕の中にしかないものですから、凝り固まってしまうと、どんどん音楽が小さくなってく気がするんです。そこに2人が突破口を開いてくれるというか。そこばかりを頼っているわけではないですけど、でも、すごく楽しみにしている部分でもありますね。自分では気付かないクドさだとか、他の人には伝わらないような表現を指摘してくれたりと、そういうバランスは、本当にいいと思います。
──みなさんのお話しを伺っていると、すごく主観的に音楽を作りながら、常にどこかで客観的でもあろうとしているような意識を感じます。その点について、ご自身としては、どう感じていますか?
村田:オレは昔からなんですけど、ライブでも、ステージにいる自分と、お客さんとして見ている自分がいて……何て言えばいいのかな、寝ている時に見る“夢”のように、何か夢のような見え方で、理想を追いかけたり、将来を見ている感覚が、自分の中にできあがっているんですよ。その夢では、未来の、トップの位置までいけている“絵”が見えているんですよね(笑)。
──完全な客観視とは、またちょっと違う視点というわけですか?
村田:1人なんだけど、2人の視点で見ているんですよね。本当に、どう表現したらいいのか、難しいんですけど。
──その視点は、音楽に限ったことではなく?
村田:人生において、そうなんです。人生設計図を見ているというか。音楽とまったく違う話になっちゃうんですけど、これまでオレって、運だけで生きてきたんですよ(笑)。その運というは、すべてが“絵”になって自分には見えていて、ことごとく実現してきたんです。ただ最近は、そろそろちゃんと努力しないと、次の運は手に入らないなと、薄々と感じ始めてもいて(笑)。そこも含めて、自分が将来、80歳のジジイになる時までの期待も持っているんです。だから音楽に対しても、常にそういった視点で取り組んでいきたいなって考えています。
──その視点に結び付くかどうか分かりませんが、3月に、名古屋と福岡で、新譜の曲をライブで披露するという<アルバム発売寸前親善パーティ>を開催しましたよね? その際のお客さんのリアクションというものは、期待していたものと、何か差分はありましたか? それとも、イメージした通りの手応えがありましたか?
村田:差分と言うよりは、今後の期待値が上がりました。僕らは、ライブで曲が育つと考えているので、そういう意味でも、曲に対する期待が増しましたね。
──その期待値は、真空ホロウとしてのものですか? それとも、観客目線として?
村田:両方で、強く感じました。6月から始まるツアーに向けて、今の期待値は右肩上がりです。そういう意味では、“いい差分”を感じることができました。
大貫:ライブと言う形で、新譜を初披露するということが初めてでしたから、自分たちなりに緊張感もありましたし、個人的な不安もあったんですが、お客さんの表情がとてもよくて、“受け入れてくれてる感”がすごく伝わってきました。今度のツアーは、アルバムが発売後ですから、次はみんなも曲を覚えて来てくれるでしょうし、僕らにとっても、お客さんにとっても、すごくいいツアーができるんじゃないかと、楽しみにしています。
松本:今までにないくらい、満足できたライブでしたね。お客さんの反応しかり、自分の表現しかり。ライブハウスの空間や、その中の空気、そういったものが、2公演とも……うん、すごくよかった。歌っていて、とても気持ちよかったです。点数をつけたら何点になるのか分からないですけど、このライブを最低ラインとして、ツアーでは、さらに上の状態に持っていけるよう、そこに向かって頑張っていけることに、今は、とても高揚しています。
──ツアーも楽しみにしています。それでは最後に、1stフルアルバム『真空ホロウ』の聴きどころをお願いします。
村田:全12曲、各曲アプローチが本当に多彩で、最初から最後まで、52分19秒があっという間に過ぎるアルバムを作ったつもりです。それほどの自信作ですから、まずはチラッとでも聴いてくれたら嬉しいですし、最初から最後まで1枚通して聴いてくれたら、作った甲斐があります。特に、アルバムの後半、ラストに向かっていく感じが肝なので、そこを楽しんでもらいたいですね。
大貫:言いたいことが、ほとんど言われてしまいましたけど(笑)、この作品を聴けば、真空ホロウが分かるという作品になっていますので、バラエティに富んだ曲たちを、ぜひチェックしていただけたらと思っています。
松本:僕らは、シンガロングを強要するバンドではないんですが、でも、カラオケでは歌って欲しいなという気持ちがあって。バンドサウンドはもちろんですが、歌詞だったり、メロディだったり、言葉と歌に目を向けてくれる人が増えたら、とても嬉しいです。特に「Tokyo Blue bug」は、バンドのライブに行かないような人の心も掴めたらと思って作りました。それこそ、場末のスナックでもいいですし(笑)、いろんな場所で、いろんな年代の方に聴いて、歌ってもらいたいですし、そういう音楽が作れたと自負しています。アルバムのジャケットでも、ミュージックビデオの映像でも、言葉でも、何でもいいので、少しでも何かが引っかかったら、ぜひ聴いてみてください。
取材・文◎布施雄一郎
■1st フルアルバム『真空ホロウ』
【初回生産限定盤(CD+DVD)】\3,426 +税(品番:ESCL-4398~4399)
【通常盤(CD)】\2,778 +税(品番:ESCL-4400)
1. 開戦前夜
2. 被害妄想と自己暗示による不快感 (“N”ew take ver.)
3. アナフィラキシーショック
4. MAGIC
5. 回想列車
6. CAGE
7. Highway My way
8. バタフライスクールエフェクト
9. Tokyo Blue bug
10. こどものくに
11. ミラードール
12. 虹
<初回生産限定盤DVD>
1. Highway My way Music Video 2. アナフィラキシーショック Music Video 3. 虹 Music Video 4. 回想列車 Music Video 5. Highway My way Making Video 6. アナフィラキシーショック (alternative ver.) 7. 虹 (alternative ver.)
■<真空ホロウ TOUR 2015梅雨 ~回想列車で全国へ。嘘です本当は機材車です。~>
[問]DUEK高松 087-821-2345
6月19日(金) 札幌COLONY 18:30/19:00
[問]WESS 011-614-9999
6月21日(日) 仙台enn2nd (ワンマン) 17:30/18:00
[問]GIP 022-222-9999
7月03日(金) 福岡Queblick (ワンマン) 18:30/19:00
[問]BEA 092-712-4221
7月05日(日) 大阪Pangea (ワンマン) 17:30/18:00
[問]GREENS 06-6882-1224
7月10日(金) 名古屋APOLLO BASE (ワンマン) 18:30/19:00
[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
7月18日(土) 東京キネマ倶楽部 (ワンマン) 17:00 /18:00
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999
※6/5・19公演以外ワンマン公演
※前売\2,800 (税込) D別 ※6/5高松と6/19札幌は2500円
■ライブ情報
「MAGIC OF LiFE 「Don't Stop Music Fes. 栃木」」
開場/開演: 12:00/13:00
前売: 3,500円
出演: Suck a Stew Dry / シナリオアート / Northern19 / Rhythmic Toy World / Lyu:Lyu
[問]フォールーラー 028-614-4044
■2015/04/26(日) 大阪 なんばHatch
「ラックライフ 2nd Single「アイトユウ」Release & 7th Anniversary Party「GOOD LUCK vol.33」」
開場/開演: 12:00/13:00
前売: 3,500円 (ドリンク代別)
出演: ラックライフ / GIMMICK_SCULT / HEADLAMP / H”palty / PURPLE HUMPTY / Self-Portrait / waybee / SHE'S / ircle / ココロオークション / sumika / ザ・マスミサイル / and more…
[問]サウンドクリエーター TEL.06-6357-4400
■2015/07/26(日) 東京晴海客船ターミナル特設ステージ
「MURO FESTIVAL 2015」
開場/開演: 11:00/11:30
前売/当日: 4,200円/4,700円 (ドリンク代別)
<第1弾発表 出演アーティスト>
アルカラ / BYEE the ROUND / CHERRY NADE 169 / ircle / Liaroid Cinema / My Hair is Bad / Rhythmic Toy World
[問] H.I.P. 03-3475-9999
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