【ライブレポート】小林太郎×松本明人、弾き語りで奏でた＜On a Starless Night〜ホシノナイヨルニ〜＞に「『Black Star』とは違う魅力」

ワルメン応援＆リズムゲームの人気スマホアプリ『Black Star -Theater Starless-』。ゲーム内でシンガー役を務める小林太郎、松本明人(真空ホロウ / 健康)によるアコースティックライブ＜On a Starless Night〜ホシノナイヨルニ〜　Supported by BLACKSTAR＞が11月6日にeplus LIVING ROOM CAFE&DINING、11月7日にSHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて、2日間にわたり開催された。ここでは、その最終日のステージをレポートする。

◆小林太郎×松本明人 画像(30点)

『Black Star ~Theater Starless~』ではこれまで3枚のアルバムやライブDVDがリリースされ、2019年9月のゲームサービス開始から3年ですでに100曲を超える曲が発表されている。またゲームだけでなく、9人のシンガーと12人を超えるダンサーを交えたリアルでダイナミックなライブ＜BALCK LIVE＞や＜BLACK TOUR＞も開催されて、ゲームを超えたファンも獲得。しかし今回はぐっと趣を変えて、小林太郎と松本明人がアコースティックギターを片手に『Black Star』の曲を弾き奏でるというスペシャルなステージだ。



会場に入って観客がまず目にしたのは、ステージ上にずらりと並んだ9本の様々なギター。その後のふたりのMCによると、この9本のギターは『Black Star』のシンガーをイメージしたという。今日はいつもとは違ったふたりだけのステージだが、しっかりと『Black Star』を背負ってのライブだという粋な演出だ。ちなみに7本は松本の、2本が小林の所有ギターだった。

普段のショーアップされた『Black Star』のライブとは違い、ふらりとカジュアルにステージに登場した小林と松本。中央にふたつ並ぶ椅子に腰をかけてアコースティックギターを手に取り、ふたりで軽く音合わせをするようにギターを爪弾いて1曲目「Just a loser」へ。通常は９人で歌唱されている曲だが、楽曲、メロディとふたりの“歌”の強さをシンプルに引き立てるアコースティックアレンジで、会場が一気にふたりの奏でる音に引っ張りこまれていくのがわかる。



伸びやかなボーカルやハーモニーの余韻覚めやらぬなか、お互いを紹介し合って、今回のライブについてや、後ろにずらりと並ぶギターの話などをする小林と松本だが、このふたり、とにかくトークが止まらない。ボケとツッコミなのか、ボケ同士なのか、独特の間とテンポを持ったふたりの話に、観客の間に漂っていた緊張感があっという間にほぐれていった。『Black Star』では1年だが、遡れば知り合って7年だという勝手知ったる仲。ギターも歌もトークも、コンビネーション抜群だ。

「これまでの『Black Star』とは違う、弾き語りの魅力をお伝えできれば。今日は最後まで楽しんでいってください」──小林太郎





松本はその挨拶からパーカッシヴにギターを奏で、小林のフレーズはビートの隙間を彩るようにして「Caprice of love」へ。そして続けざまに「波のままに」を情熱的に、艶っぽいボーカルで歌い紡いでいく。それぞれ、普段はアーティストとして、小林太郎はフライングVを手に90sグランジ／オルタナを根にした馬力あるサウンドでパワフルなボーカルを響かせ、一方、松本は真空ホロウで多彩なサウンドを横断しながらきらびやかなギターサウンドと圧倒的なスキルを持つ深いボーカルで魅せる。また、ともに卓越したギタリストでもあるゆえに、アコースティックアレンジも色鮮やかだ。エモーショナルな「沈まぬ月」から、抑えたプレイでいながら歌を詩的に彩っていき、ゲーム内では対決曲だったという「雨傘」に切れ目なく繋いでいった。

中盤ではそれぞれソロの時間を作って、よりディープに『Black Star』の世界を掘り下げていく。約1年前に『Black Star』のシンガーに加わって、それまでの15年のバンド活動とはちがう新しい扉を開いたと語った松本は、「Snowflake」と真空ホロウの曲「満天の星」も披露。ゲームや『Black Star』ファンに、シンガーのバックボーンを知ってもらういい機会でもある。また小林のソロパートでは、自身の曲である「星わたり」を披露。ロックをルーツとしながらも、小林太郎の憂いある歌心が冴える曲だ。



再びふたりが揃った後半は「Seaside escape」からスタート。ふたり並ぶとよりセッションのエンジンが全開で、「No Way Out」と続け、ふたりからも歓喜の声が上がる。

「めちゃくちゃ楽しい！」──松本明人

一方で、自分のオリジナル曲のアコースティックアレンジとは違って、独自の世界観が大好きなファンがいる『Black Star』の楽曲たちをアレンジするのは、難しさもあったとふたりは語る。しかし、その歌声と歌の世界をじっくりと味わうように聴き入り、曲が終わるたびに大きな、惜しみない拍手を送る観客の姿をみれば、今回のステージがいかに特別なものになったかがわかる。ふたりもその手応えを感じただろう。ラストは「Fragile lake」、そして今回のイベントをやるきっかけになった曲であり、今年の夏のツアー最終日に誕生日だった小林に、小林の持ち曲をアコースティックで弾き語った動画を松本がプレゼントしたというエピソードと共に「雪花」を披露。いちだんと大きく、長い拍手が会場に響きわたった。



アンコールに応えて再びステージに登場したふたりは、今回のライブのために書き下ろし、11月8日に配信リリースとなった「ホシノナイヨルニ」(松本作詞作曲)、「On a starless Night」(小林作詞作曲)を聴かせた。そして「やっぱり締めはこの曲でしょう」と大きな手拍子がわき起こるなかで「BLACKSTAR」をアグレッシヴにプレイして＜On a Starless Night〜ホシノナイヨルニ〜＞の熱く饒舌な弾き語りの夜を締めくくった。

取材・文◎吉羽さおり