【BARKS編集部レビュー】BOSS「RC-1」はシンプルながらツボをおさえ、視認性抜群のインジケーターで快適操作できる実戦的仕様のルーバー
■アンドゥ/リドゥや動作順序の変更も可能
録音がうまくいかなかったとしても、ペダルの操作で直前の録音の取り消しなどを行なうことができる。ペダルを2秒踏み続けるとアンドゥで、直前のオーバーダブを取り消すことができる。録音を消去して最初からやり直すときも、停止中に2秒踏めばいい。また、再生中、オーバーダブ中に2秒踏み続けるとリドゥ、つまり直前のアンドゥを取り消して、消したフレーズを復活させることができる。これを利用すれば、いくつも重ねたフレーズのうちひとつだけを、出したり消したりするパフォーマンスも可能だ。それにはペダルを2秒踏む必要があるのでタイミングを合わせにくい場合もあるかもしれないが、それも後述する外部ペダルを使えば解決できる。
「RC-1」のペダルを踏んだときの動作の順序を変更することも可能だ。出荷時の設定は録音→オーバーダブ→ループ再生の順だが、ペダルを押しながら電源をオンにする(プラグをOUTPUT Aに差し込む)と、録音→ループ再生→オーバーダブの順に変更できる。上記のように、一度ループ再生して合わせてみたい、という場合は、設定を変更しておくとやりやすくなるだろう。
ちなみに「RC-1」ではステレオで12分まで録音を行なうことができ、録音したフレーズは、電源を切ってもキープされている。じっくりと自宅でループを作っておき、ライヴでそれに乗せて一人でパフォーマンスを行なうといった使い方もできるだろう。
■ループの状態を光って知らせる視認性抜群のループ・インジケーター
▲円形に配置されたLEDが赤と緑に光るインジケーター。状態がわかりやすいだけではなく、タイミングもとりやすくなる。
まず録音のときは、多くのLEDが赤く点灯して、パトランプのようにぐるぐると回転する。オーバーダブのときは、時計の6時付近の位置から赤と緑が交互に点灯しながら時計回りに1回転して消灯、次に1か所(LED2つ分)が緑に一瞬点灯してすぐ消灯、このパターンを繰り返す。ループ再生の場合はすべて緑で、オーバーダブと同様の動作になる。表示は赤と緑で色がはっきりしているので、ライヴなど暗いところでも現在の状態が一目でわかるだろう。自分のフレーズがどんどん重なってくると、録音しているのか、ただ重ねて弾いているだけなのか混乱しそうだが、このインジケーターのおかげでそんなことはまったくない。余計なことに神経を使う必要はなくなり、演奏に集中できるのはありがたい。
このインジケーターの便利なところは、状態がわかりやすいだけではなく、タイミングもとりやすくなるということだ。最初に録音するときは、ただ連続して赤く回転するだけなのだが、ループ再生やオーバーダブのときは、回転と一瞬の1か所点灯の組み合わせのパターンが、ループの長さに応じて短いときは2回、それより長いときは4回または8回繰り返される。つまり、2小節や8小節といった偶数小節数のフレーズなら、これで小節のアタマや拍のタイミングも見ることができるのだ。
さらに、一瞬点灯するLEDの位置も、6時の位置から時計回りに移動していくので、もうすぐループが終わる、など、ループの中で今どのあたりをプレイしているのかもよくわかる。オーバーダブの開始や停止など、次にペダルを踏むタイミングもとてもわかりやすくなる。もちろん、演奏の内容を判別しているわけではないので、奇数拍フレーズなどでは合わないし、偶数拍でも必ずしも正確に拍のタイミングで点灯するわけではないのだが、ものすごくわかりやすい目安になってくれる。
■外部ペダルを使えば操作性はさらに向上、オススメはツインペダルの「FS-7」
シンプルで操作に迷うことのない「RC-1」だが、さらに操作性を向上させる方法がある。それは外部ペダルを使うことだ。「RC-1」には外部ペダル用の端子が用意されていて、外部ペダルスイッチを接続することができる。この端子はステレオプラグに対応していて、2つのモノラル標準プラグに分岐するケーブルを使えば2台のペダルスイッチを使えるし、「FS-6」や「FS-7」のように1台で2つのペダルスイッチを持つ機種にも対応している。外部ペダルで行なえるのは、停止と消去、それにアンドゥ/リドゥの2種類の操作なので、ペダルスイッチが2つあると便利だ。
▲上下対称にスイッチを配置したタイプのペダル「FS-7」がオススメ。「FS-7」ならAペダルを1度踏むだけで停止ができるのが便利
中でもとくにオススメしたいのが「FS-7」だ。「FS-7」は、マルチエフェクターの「ME-80」から採用された、上下対称にスイッチを配置したタイプのペダル。スイッチが上下に配置されているから本体もコンパクトだし、「FS-7」は上下のスイッチを足裏と爪先で操作できるから、2つのスイッチ間で足を移動させる必要がなくなるのだ。
ちなみに「FS-7」はとても多機能なフットスイッチだ。「RC-1」で使う場合はステレオから2本のモノラルに分岐するケーブルで接続するが、モノラルケーブル2本で2つのエフェクターと接続することもできる。また、基本的にはACアダプターで駆動するのだが、他のエフェクターに電源を供給できる分岐ケーブルが付属しているから、多数のエフェクターを使う場合にも配線が複雑にならなくてすむ。動作はラッチ(踏むたびにオン/オフ切り替え)とモーメンタリー(踏むとオン、離すとオフ)を変更可能で、ACアダプターがなくてもモーメンタリー動作が可能。「RC-1」はモーメンタリー動作で使用するので、この組み合わせの場合はACアダプターは不要、上記のコントロール用のケーブルを接続するだけで使える。
実際に「FS-7」を「RC-1」に接続して使ってみると、本当にストレスなく色々な操作ができることがわかる。ステレオプラグのL側を「FS-7」の上側のAに、R側を「FS-7」下のBに接続すると、「FS-7」のAペダルで再生やオーバーダブの停止と消去を行なえる。2秒踏み続ければ消去を行なえるが、とくに便利なのは停止の操作だ。「RC-1」では2度ペダルを踏む必要があるが、「FS-7」ならAペダルを1度踏むだけで停止ができる。リズムに乗ってプレイしながら、正確にループが終わるタイミングでペダルを2回踏むのは難しいが、1回なら簡単にできる。とくにライヴで使う場合には便利だ。そしてBペダルではアンドゥとリドゥを行なえる。こちらも「RC-1」本体では2秒踏み続けなければいけないが、「FS-7」なら一度踏むだけでOK。前述のように、ひとつのフレーズだけを消したり出したり、といった操作も一瞬だ。とくにライヴでは「FS-7」などの外部ペダルは本当に重宝するだろう。
とにかくシンプルな「RC-1」だが、フレーズ・ループをするのに必要な機能をきちんと備えているし、わかりやすいインジケーターのおかげで快適に操作できる。コンパクトで電池駆動可能、ストリート・ライヴも含め場所を選ばず使うことができるし、外部ペダルへの対応や動作の設定が変更できるなど、まさにツボをおさえたルーパーといえる。ループ入門にもぴったりの一台だ。
主な仕様
「RC-1」規定入力レベル:-20dBu
入力インピーダンス:1MΩ
規定出力レベル:-20dBu
出力インピーダンス:1kΩ
推奨負荷インピーダンス:10kΩ以上
最大録音時間:約12分
コントロール:ペダル・スイッチ、LEVELつまみ
インジケーター:CHECKインジケーター、LOOPインジケーター
接続端子:INPUT A(MONO)端子=標準タイプ、INPUT B端子=標準タイプ、OUTPUT A(MONO)端子=標準タイプ、OUTPUT B端子=標準タイプ、STOP/UNDO端子=TRS標準タイプ、DC IN端子
電源:アルカリ電池(9V形)、ACアダプター(PSA-100=別売) ※充電式ニッケル水素充電池は使用できません。
消費電流:95mA
連続使用時の電池の寿命:アルカリ電池=約3時間(使用状態によって異なります)外形寸法 / 質量:幅 (W)73 mm奥行き (D)129 mm高さ (H)59 mm / 質量440 g
「FS-7」
接続端子:A端子=TRS標準タイプ(※標準プラグも接続できます)、B端子=標準タイプ、DC IN端子
インジケーター:A、B
コントロール:[MODE]スイッチ、[POLARITY]スイッチ
電源:ACアダプター(PSA-100=別売)
消費電流:25mA
外形寸法 / 質量:幅 (W)62 mm奥行き (D)131 mm高さ (H)60 mm / 質量290 g
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