【ライヴレポート】河村隆一、バラードオンリーのスペシャル・ライヴ<Ryuichi Kawamura Live 2013「Life」>
◆河村隆一<Ryuichi Kawamura Live 2013「Life」>~拡大画像~
実はこの前日にも隆一は同会場で<RyuichiKawamura SpecialNight 「Ballad Man」>という公演を行ったばかりだった。一夜限りとなったこちらの公演は今回のツアーとはまったく異なった内容で、河村隆一初の試みとして自身のバラード曲だけを集めて、そのなかでもファンのリクエストが多かった曲を歌っていくというバラードオンリーのスペシャルなライヴを行なったのだ。「Love is...」「静かな夜は二人でいよう」などのふくよかな包容力を持った楽曲から「Glass」「激痛」「愛は」など河村隆一の真骨頂ともいえる深く切ない哀しみを帯びた曲まで、歌が始まると、そのずば抜けた歌唱力で観客をどっぷりその楽曲の世界観に浸らせながらも、MCでは「自分は胸が痛くなるような暗いバラードを作るけど、根は明るい性格です」といって場内を笑わせるなど、バラードオンリーのライヴでも隆一らしく、集まったファンを楽しませつつ観客に感動を与えていった。
そこから喉を休める暇もなく迎えた翌日、隆一は前日にあれだけバラードナンバーばかりを熱唱しておきながらも、それ以上にタフな歌いっぷりで最新作に収録された楽曲をとことん歌い尽くした。
今回のライヴツアーは、アルバム『Life』を引っさげてのツアーということで、なんとライヴの本編は『Life』収録曲オンリーで構成! しかも、それらをアルバムの曲順通りに披露していくということで、こちらはこちらでスペシャルなライヴに彼は挑んでいたのだ。
サックスをフィーチャーしたアーバンなバンド・サウンドで、大人っぽくオシャレに「Holy Song」でコンサートが幕を開けると、1曲目から隆一自らギター・ソロを弾き、「星と翼とシグナル」では間奏のギター・ソロパートを長めにするなど、今回のツアーはアルバム同様河村隆一が体感してきたロック・ミュージックを体現。隆一のピアノの弾き語りから始まった「Sea of Love」からはそれまでキラキラしていた声のトーンをいっきに切なくて重厚感あるものにシフト。命という重いテーマと向き合った「七色」はそのクライマックス、楽器がピアノだけになった瞬間に口からマイクを遠ざけて半生声に近い状態の声で隆一が歌を届け、場内の時間と空気をぴたっと静止させた。演奏が終わり、再び時間が動き出したとき、会場は巨大な感動の嵐に包まれた。
MCではLUNA SEAのメンバーであるINORANとSUGIZOに関する話題も飛び出した。2人が『Life』のために書き下ろしてくれた「トパーズの丘」と「永遠の詩」という楽曲について話しだしたときだ。「トパーズの丘」を聴いたときは「INORANはいまこんな感じの曲が好きなんだ」と思い「永遠の詩」については「SUGIZOらしいキレイなメロディで、さすがはスギちゃん、痒いところに手が届く」と感じたことを会場に集まったファンに嬉しそうに伝えていた。
また、今回アルバムのリリースイベントとしてツアーとは別に各地で行なってきた“握手会ミニライヴイベント”についての話題になったときは「みなさんから曲やライヴの感想が直接聞けるから、すごく嬉しいんですよ。だから、きっとLUNA SEAではできないんだろうけど(笑)、でもやってみたいんだよね」と発言。「(ライヴで)ガンガン頭振った後にさ、その姿で“ありがとう”って握手すんの(一同笑)。でも(LUNA SEAは)初めてのことに対してはなかなか腰が重たいバンドなので……。でも、やりたいね。この10年以内には(笑)」と宣言して、観客を喜ばせた。
そうして迎えた後半、アルバムのなかでもっとも深く突き刺さる重く切ないバラード「My Love」を歌う場面では、感情の高ぶりがピークに達したとき、舞台に膝まずき、身を屈めて歌うシーンもあった。だが「the earth~未来の風~」が始まるとその声が一転。天空から降り注ぐような光を帯びた温かい歌声で舞台を動きながら観客を誘い、場内に“ルルル~”という合唱を巻き起こしていった。そうして、最後はピアノが奏でるバラード「女優~枯れ葉に落ちる優しい雨のように~」を穏やかな表情でそっと語りかけるように歌って、本編は終了。
アンコールはいきなり隆一が「No Micでお届けします」といって「Love is...」を予想外のマイクレスでプレゼント! そして「I love you」からは再びサックスを交えたバンド・バージョンで「F114B」、「ジュリア」のダンスまで疾走感溢れるアッパーチューンを連発。アンコールは最後まで楽しく踊りまくってこの日のライヴは幕を閉じた。
ツアー終了後は、舞台『銀河英雄伝説 第四章 前篇 激突前夜』がスタート。そして、12月にはクラシックコンサートイベント出演やクリスマスディナーショー開催も決定している隆一。LUNA SEAを含め、今後のソロ活動からも目が離せない。
取材・文●東條祥恵
NEW ALBUM『Life』
CD+DVD:AVCD-38742/B \3,990(tax in)
CDのみ:AVCD-38743 \3,150(tax in)
[CD]
1.Holy Song
2.Life
3.星と翼とシグナル
4.Sea of Love
5.七色
6.トパーズの丘
7.Love & Peace
8.永遠の詩
9.My Love
10.Miss you
11.the earth ~未来の風~
12.女優 ~枯葉に落ちる優しい雨のように~
[DVD]
Miss you(Music Video)
◆河村隆一 オフィシャルサイト
◆avex
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