【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実 Vol.16「バンドのスタイルが確立された『ロックス』と、絶頂期でありながら地獄への入口にもなった『ドロー・ザ・ライン』」


◆トム・ハミルトン画像

前回に引き続き、トムはこの敏腕プロデューサーの貢献度の高さを強調する。
「まさにあの時期、つまり『ロックス』当時というのは、ジャックと一緒に仕事をしながら僕らがエアロスミスならではのサウンドを確立しつつあった時期だと思う。ジャックがその場で手助けをしてくれたことで、みんなのアイデアが採用されることになった。だからこそ楽しかったし、みんな上機嫌だった。ベーシック・トラックはリハーサル・ルームでできあがって、それをレコード・プラントのリモート・トラックに持ち込んだ(注:この作品のレコーディングは、巨大な倉庫に同スタジオの機材を持ち込みながら行なわれている)。そしてそこでの作業が終わると、今度はニューヨークのレコード・プラントに場を移して、そこでオーヴァーダブが行なわれたんだ。実際、スティーヴンはそこでヴォーカル・パートを書き上げたんだよ。あの頃こそが、当時の自分たちにとってはピークだったと思う。ところがその次のアルバム、『ドロー・ザ・ライン』(1977年)になると脱線していくことになるわけだけどね(笑)」

「もっと正確に言うならば、このバンドにドラッグが入り込んできた箇所というのを書き換えたいね。みんなパーティをして楽しむのが大好きなのは当然だけど、しばらくそういうことを続けていると、馬鹿騒ぎしたいときばかりじゃなく、たとえば朝、ベッドから起き上がるためにドラッグに手を出すようになっていたりすることがある。習慣というか悪癖というか。それが僕たちにとっての、成功の不幸な副産物だった。突然大金が転がり込んできて、メンバーたちも毎日のようには会わなくなり、数ヵ月もの間、お互いに口をきくこともなくなってくる。すると、そういうものに手を出してしまいがちになる。それがまさに、あの頃だった。だから僕は、できることなら『ドロー・ザ・ライン』に関わり始めた最初の頃に戻りたいね。そして、“常にアルバムの曲たちがちゃんとまとまるまでスタジオには足を踏み入れなかった”というふうに書き換えたいよ」
かなり赤裸々な話だが、ここまで堂々と話すことができるのは、エアロスミスの現在が、過去とは違った次元で充実した状態にあるからこそだろう。そしてトムの赤裸々トークは、もうしばらく続く。果たしてこの連載は第何回まで続くのか? 次回をお楽しみに。
取材/文:増田勇一
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