FUN.、初来日で見せた記念すべきサクセスストーリー
去る7月11日、まさに満を持しての国内リリースが実現したFUN.のメジャー・デビュー・アルバム、『サム・ナイツ~蒼い夜~』が各方面で好反応を得ている。今年最大の全米ヒット・シングルというべき「伝説のヤングマン~ウィー・アー・ヤング~」もさらに広く深く浸透しつつあり、ますますこの新星に対する注目度が高まっている今日この頃だが、まさにそんなさなか、東京での一夜限りの来日公演が実現した。
◆FUN.画像
7月21日、会場となった渋谷duo MUSIC EXCHANGEは超満員の大盛況。公演チケットがあらかじめソールドアウトに至っていたのみならず、当日は多数の関係者も詰めかけ、このグループに対する注目度と期待度の高さをうかがわせた。
ステージにはヴォーカルのネイト・ルイス、ギター担当のジャック・アントノフ、鍵盤や管楽器などを操るマルチ・プレイヤーのアンドリュー・ドストという3人のメンバーを中心としながら、3人のサポート・ミュージシャンたち(うち1人はキーボードやサックス、アコースティック・ギターをこなす女性)が配されている。そして彼らの本邦初公演は、前述のメジャー・デビュー作からの「ワン・フット」で幕を開け、同楽曲で巻き起こった拍手はそのまま手拍子となり、続く「Walking The Dog」でもその熱気は少しも冷めることがない。ちなみにこちらは日本未発売の1stアルバム『AIM AND IGNITE』(2009年)に収録されている楽曲。場内を埋め尽くしていたのが、昨日や今日になってFUN.を知った人ばかりではないことの証しだろう。
とはいえ、過剰な予備知識や心の準備がなくても、すぐさまココロとカラダに染み込んでくるところがFUN.の音楽の魅力のひとつでもある。ひねりのきいたアレンジや演奏ぶりには彼らの音楽マニアぶりがうかがえるが、そうしたマニアックさ以上に際立っているのは各楽曲のポップ・ソングとしてのクオリティの高さと、ネイトの歌声の素晴らしさ。あくまで伸びやかで、しかも繊細にして力強い歌声を持つ彼は、同時に、魅力的なキャラクターの持ち主でもある。客席からの声援に照れを隠しきれずにいるその表情には、客席から「可愛い!」との声まで飛ぶほどだった。そのネイト以上に繊細さを感じさせるアンドリューも、眼鏡がトレードマークのはずなのに眼鏡なしで演奏していたジャックにしても、なんだか初めて遭遇する人たちのような気がしない、どこか親しみやすいキャラクターを持ち合わせている。
また、筆者的にはジャックがVOXアンプを使用してクイーンのブライアン・メイそっくりのサウンドを再現している事実にも目を丸くさせられた。敢えて言うなら、音と外見的イメージに不思議なギャップがあるのだ。アンドリューにしても、街ですれ違っただけでは誰も彼がこんなマルチ・ミュージシャンだとは気付かないだろうし、ネイトがこんなすごい歌声の持ち主だとも思わないだろう。見た目はあまりにも普通なのに、いざステージに立つとまったく普通ではない。いわば隣の家に住む“普段はあまり目立たない若者”が実はスーパースターだった、みたいな感覚。それをオーディエンスの多くも味わっていたのではないだろうか。
ステージは曲を重ねていくごとに熱を高め、終盤、ついに「伝説のヤングマン~ウィー・アー・ヤング~」が披露されたときには、そこが渋谷のライヴハウスだとは思えないほどの大合唱が巻き起こっていた。実はこの日の午前中、僕は彼らにインタビューしていたのだが、そのなかでネイトは「小さな会場だろうが巨大なスタジアムだろうが、とにかくオーディエンスの大合唱で埋め尽くされたようなライヴをやれるようでありたいんだ」と語っていた。が、それは実際、彼らにとっての願望ではなく現実になっているのだ。
一夜限りのライヴは、アンコールで披露された「サム・ナイツ」を含めても1時間ちょっとというコンパクトなものではあったが、あらかじめ期待値高めに設定されていたにもかかわらず、僕の満足度は100%を超えていた。そして同時に感じさせられたのは、彼らをこの規模の会場で観られたことの貴重さだ。ステージ上のネイトは満面の笑顔で「またすぐに戻ってくる。何度も何度も日本に来ることを約束する!」と語っていたが、この夜のライヴは、FUN.にこれほどの至近距離で接することができた最初で最後の機会として記憶されることになるのではないだろうか。あの場に居合わせたすべての人たちがそれを実感したはずだし、これから先に続いていく彼らのサクセスストーリーを見守っていきたいと感じたに違いない。
というわけで、3人とのインタビュー記事はごく近いうちに、たっぷりと。是非、お楽しみに。
増田勇一
<FUN.日本公演>
2012年7月21日
@渋谷 duo music exchange
1.ONE FOOT
2.WALKING THE DOG
3.WHY AM I
4.ALL ALONE
5.IT GETS BETTER
6.AT LEAST
7.CARRY ON
8.GAMBLER
9.PRETTY GIRLS
10.BAR LIGHTS
11.伝説のヤングマン~ウィー・アー・ヤング~
12.STONES
encore
1.SOME NIGHTS
◆FUN.オフィシャルサイト
◆FUN.画像
7月21日、会場となった渋谷duo MUSIC EXCHANGEは超満員の大盛況。公演チケットがあらかじめソールドアウトに至っていたのみならず、当日は多数の関係者も詰めかけ、このグループに対する注目度と期待度の高さをうかがわせた。
ステージにはヴォーカルのネイト・ルイス、ギター担当のジャック・アントノフ、鍵盤や管楽器などを操るマルチ・プレイヤーのアンドリュー・ドストという3人のメンバーを中心としながら、3人のサポート・ミュージシャンたち(うち1人はキーボードやサックス、アコースティック・ギターをこなす女性)が配されている。そして彼らの本邦初公演は、前述のメジャー・デビュー作からの「ワン・フット」で幕を開け、同楽曲で巻き起こった拍手はそのまま手拍子となり、続く「Walking The Dog」でもその熱気は少しも冷めることがない。ちなみにこちらは日本未発売の1stアルバム『AIM AND IGNITE』(2009年)に収録されている楽曲。場内を埋め尽くしていたのが、昨日や今日になってFUN.を知った人ばかりではないことの証しだろう。
とはいえ、過剰な予備知識や心の準備がなくても、すぐさまココロとカラダに染み込んでくるところがFUN.の音楽の魅力のひとつでもある。ひねりのきいたアレンジや演奏ぶりには彼らの音楽マニアぶりがうかがえるが、そうしたマニアックさ以上に際立っているのは各楽曲のポップ・ソングとしてのクオリティの高さと、ネイトの歌声の素晴らしさ。あくまで伸びやかで、しかも繊細にして力強い歌声を持つ彼は、同時に、魅力的なキャラクターの持ち主でもある。客席からの声援に照れを隠しきれずにいるその表情には、客席から「可愛い!」との声まで飛ぶほどだった。そのネイト以上に繊細さを感じさせるアンドリューも、眼鏡がトレードマークのはずなのに眼鏡なしで演奏していたジャックにしても、なんだか初めて遭遇する人たちのような気がしない、どこか親しみやすいキャラクターを持ち合わせている。
また、筆者的にはジャックがVOXアンプを使用してクイーンのブライアン・メイそっくりのサウンドを再現している事実にも目を丸くさせられた。敢えて言うなら、音と外見的イメージに不思議なギャップがあるのだ。アンドリューにしても、街ですれ違っただけでは誰も彼がこんなマルチ・ミュージシャンだとは気付かないだろうし、ネイトがこんなすごい歌声の持ち主だとも思わないだろう。見た目はあまりにも普通なのに、いざステージに立つとまったく普通ではない。いわば隣の家に住む“普段はあまり目立たない若者”が実はスーパースターだった、みたいな感覚。それをオーディエンスの多くも味わっていたのではないだろうか。
ステージは曲を重ねていくごとに熱を高め、終盤、ついに「伝説のヤングマン~ウィー・アー・ヤング~」が披露されたときには、そこが渋谷のライヴハウスだとは思えないほどの大合唱が巻き起こっていた。実はこの日の午前中、僕は彼らにインタビューしていたのだが、そのなかでネイトは「小さな会場だろうが巨大なスタジアムだろうが、とにかくオーディエンスの大合唱で埋め尽くされたようなライヴをやれるようでありたいんだ」と語っていた。が、それは実際、彼らにとっての願望ではなく現実になっているのだ。
一夜限りのライヴは、アンコールで披露された「サム・ナイツ」を含めても1時間ちょっとというコンパクトなものではあったが、あらかじめ期待値高めに設定されていたにもかかわらず、僕の満足度は100%を超えていた。そして同時に感じさせられたのは、彼らをこの規模の会場で観られたことの貴重さだ。ステージ上のネイトは満面の笑顔で「またすぐに戻ってくる。何度も何度も日本に来ることを約束する!」と語っていたが、この夜のライヴは、FUN.にこれほどの至近距離で接することができた最初で最後の機会として記憶されることになるのではないだろうか。あの場に居合わせたすべての人たちがそれを実感したはずだし、これから先に続いていく彼らのサクセスストーリーを見守っていきたいと感じたに違いない。
というわけで、3人とのインタビュー記事はごく近いうちに、たっぷりと。是非、お楽しみに。
増田勇一
<FUN.日本公演>
2012年7月21日
@渋谷 duo music exchange
1.ONE FOOT
2.WALKING THE DOG
3.WHY AM I
4.ALL ALONE
5.IT GETS BETTER
6.AT LEAST
7.CARRY ON
8.GAMBLER
9.PRETTY GIRLS
10.BAR LIGHTS
11.伝説のヤングマン~ウィー・アー・ヤング~
12.STONES
encore
1.SOME NIGHTS
◆FUN.オフィシャルサイト
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