ケレン・アン、まるで映画のようなコンセプト・アルバム『101階からのスケッチ』

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ケレン・アンの壮大なコンセプト・アルバム『101階からのスケッチ』が11月23日にリリースとなった。まるで映画のような101階から見た日常の物語を綴った作品だ。

◆「シュガー・ママ」PV映像

ケレン・アンは、フランス、ニューヨーク、イスラエルを中心に活躍するシンガーソングライター。2000年にアルバムでデビュー。翌年2001年のアンリ・サルヴァドールのアルバム『サルヴァドールからの手紙』をプロデュースし、このアルバムに収録された彼女の楽曲「温室/Jardin d'hiver」が空前のヒットを記録。自身としては5枚のソロ・アルバムをリリースし、今やフランスを代表するアーティストのひとりだ。

『101階からのスケッチ』は彼女が台湾一の高層ビル:台北101の最上階まで登った時に思いついた構想によるものだという。アルバムは、ケレン・アン自身が目撃者に扮し、高層ビルの101階から覗いた日常が描かれている。少し酔っぱらった2人の男女が帰ってきて、開口一番に女が“私の名前はトラブルよ”と男に告げる「マイ・ネーム・イズ・トラブル」、どこかでパーティの音が聞こえてくる部屋でアルバムを眺めながら昔の彼との関係を取り戻したいと考えている女の子「あなたと居たい」、とある計画を練っている裕福な年増女と若い愛人「シュガー・ママ」、ナイトクラブで起きた殺人事件を歌う「共犯者」…と、短編映画集のような構成だ。

ラストの表題曲「101」は、本人曰く「アルバム全体、もしくは私の人生の一時期を総括」しているもの。この曲で彼女は、各数字に対応する様々な事象を挙げながら、高層ビルのエレベーターのように101から1までカウントダウンしていく。この数字の中には意味のないものが無作為に選ばれているように聞こえるが、ケレン・アンにとって全て意味あるものが挙げられた壮大な詩になっているのだという。アルバム制作中に彼女の父が重病で倒れるという災難を経験からは、その父の人生最期の数時間に思い浮かんだ言葉(14カ月にも及ぶ闘病でのモルヒネ投与、その75歳の父親が迎えた75回目の春)が度々登場し、イスラエルで生まれ彼女に関連した宗教的言葉も出てくる。

『101階からのスケッチ』は全ての楽曲の歌詞が大きな意味を持つコンセプト・アルバムのため、より深い理解のためには解説や歌詞の日本語訳が付いている国内盤の購入がお薦めだ。なお、日本盤にはボーナス・トラックとして「10月7日」という曲が追加収録されているが、このアルバムのコンセプトを濁すような作品ではなく、インストのこの曲が、まるで短編映画集のエンディングテーマのように響くもの。こちらにもご注目を。


『101階からのスケッチ』
2011年11月23日発売
TOCP-71205 2,500円(税込)
※歌詞・対訳・ライナーノーツ(新谷洋子氏)・日本盤ボーナス・トラック付
1.マイ・ネーム・イズ・トラブル / My name is trouble
2.あなたと居たい / Run with you
3.かわいい女性たち / All the beautiful girls
4.シュガー・ママ / Sugar Mama
5.いちばん大切なもの / She won't trade it for nothing
6.炎の中から / You were on fire
7.共犯者 / Blood on my hands
8.ツアーバスからの歌 / Song from a tour bus
9.奇妙な天気 / Strange weather
10.101
11.10月17日 / October17 *日本ボーナス・トラック

◆ケレン・アン・オフィシャルサイト
◆ケレン・アン・オフィシャルサイト(海外)
◆BARKS洋楽チャンネル
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