河村隆一、約6時間半で100曲を歌い世界記録樹立

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河村隆一がギネス記録に挑むライヴ<“限界のその先へ”100の物語 ~終章(エピローグ)~>が5月3日に日本武道館で開催され、同日の21時前、100曲目を突破。ギネス・ワールド・レコーズで定められている「8時間以内に100曲歌うソロアーティスト」の世界記録を樹立した。

◆河村隆一 画像@2010.05.03<“限界のその先へ”100の物語 ~終章(エピローグ)~>

今回のライヴは「前人未到の6.5時間の間に100曲を歌う」というコンセプト。河村隆一はかつて、2008年2月3日に日本武道館で4時間半の間に71曲を歌ったことはあるが、それを上回る6時間半(もしくはそれを超える)という長時間ライヴも、100曲という曲数を歌いきるというのも初となる(なお、今回、ギネスに申請されるカテゴリーは「8時間以内に100曲歌うソロアーティスト」。これは、1時間、8時間、24時間というギネスの基準に基づく)。また、当初この世界記録挑戦ライヴは3月13日に予定されていた。しかし、先の東日本大震災の影響を受けて公演は一旦延期へ。河村隆一自身、新たな気持ちと新たな想いを胸に、この公演に挑んだのだった。

通常のライヴから照明をトータルで30パーセント削減し、過剰な演出をなくしたステージには8名のバンドメンバーが待ち構える。そして、1stアルバム『Cranberry Soda』収録の「ORANGE」から、粛々と河村隆一の挑戦が始まった。

ファンの中には、前人未到の世界、限界へと挑戦する河村隆一を心配に思っていた人もいたことだろう。しかし、河村自身は、というと、前半に、「みんなの想い、パワーを借りて歌っていきたい。…なーんて、多分大丈夫だから。調子はいいんだよ。絶好調。」と、ステージでお茶目に微笑をこぼしていた。もちろんその言葉に偽りはなく、アーティストサイドも、今回、河村隆一に“緊急事態”が発生した際について、備えなどは「特にございません」とのこと。つまり、本人はそれだけ万全のコンディションであり、かつ、河村隆一によって新たなギネス記録が樹立されるということをスタッフの誰も疑わなかった。裏返せば、誰もがそれだけの自信と確信を持ってライヴに臨んでいたのだ。

ライヴは、ニューアルバム『THE VOICE』に収録された「愛はきらめきの中に…」「虹の彼方に」「雨音はショパンの調べ」の初披露カヴァー曲を含めて、河村隆一がソロとして発表した楽曲による3部構成。それぞれのパートは、ひとつの超大作映画を観ているかのようなイメージで組み上げたということで、途中には武道館全体をキャンパスに見立てたような、壮大な映像による演出も取り入れられた。

14時からスタートした第1部では、デビューシングル「I love you」や「BEAT」「Love is...」「Glass」といった、河村隆一の大ヒット曲を次々に披露したほか、『Cranberry Soda』『LOVE』といった、1997年リリースのアルバムに収録された楽曲の割合も多めのセットが展開。次の曲のイントロが始まるたび、当時の出来事をノスタルジックに思い出した、というファンもいたはずだ。一方の第2部はクラシカルな楽曲が多く、河村隆一の衣装もそれに合わせたシックなものになっていた。

2010年リリースのアルバム『Sora』収録の「大空の記憶」からの第3部がスタートしたのは、20時前。幕間に体の熱を取り、吸入器で喉を潤していたとはいえ、すでに6時間近く歌い続けていた河村隆一。しかしその歌声は、ライヴ前半の本人の言葉を裏付けるかのように衰えを知らない。ヴォーカリストとして、アスリートのようなタフネスさと強靭な喉でオーディエンスを圧倒する。

「これだけ長時間、よく付き合ってくれたね。どうもありがとう。みんなにあんまり負担をかけない程度に、これからもチャレンジしますんで。チャレンジが、僕を育てると思います。100曲目は、みんなと歌いたくてこの曲を選びました。」

2011年5月3日、20時37分。河村隆一は、100曲目となる「緑の詩」をまばゆいほどの光に照らされて、堂々のパフォーマンスで歌い始める。そして見事に歌い終えると、深々と一礼。「100曲って大変だね」と苦笑しながらも、「この景色が見たかった! 誰も見たことがない景色が見たかった!」と、記録を樹立した感動を素直な言葉で表現した。

結局この日、河村隆一は「深愛~only one~」まで、全104曲を披露。公演終了後には、ギネス・ワールド・レコーズ・ジャパン 日本支社 社長のフランク・フォーリー 氏がステージに登場し、その場でギネス認定。河村隆一に認定証が手渡された。河村隆一は、マイクを通さずに「どうもありがとう!」と叫び、瞬間を見守った8000人のオーディエンスとともに世界記録樹立の喜びを分かち合った。

text by y.tsuji(編集部 つ)
◆河村隆一 オフィシャルサイト
◆BARKS LUNA SEA チャンネル
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