【BARKS編集部レビュー】BOSS eBAND JS-8はアマチュアギタリストが夢に見たプレーヤー

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BOSSから発売されているeBAND JS-8。発表された当初から気になっていたオーディオ・プレーヤーだ。このJS-8は、オーディオプレイヤー+ギターエフェクトという、アマチュア・ギタリストが夢にまで見た機能を持っている。このJS-8を実際に使ってみて、マシンコンセプトと機能の高さに唸ってしまった。アマチュア・ギタリスト垂涎のアイテムJS-8。これはお勧めだ。

このJS-8の肝は、とにかくウルトラ簡単な操作で、自分の好きな楽曲とセッションができること。箱から出して電源をつなぎギターをインプット。SDカードやUSBメモリー、もしくはPCから転送した楽曲を読み込んで[PLAY]ボタンを押すだけ。本当に、これだけでセッションができるのだ。これだけでも十分な機能なのに、さらに楽曲のスピードが自由自在に変えられる。もちろん音程が変わることがないので、あの憧れの高速ギターソロを一緒に弾くことができるのだ。

■曲をバックにしてのギターの練習が楽しい

ということで、早速、ドリーム・シアターの「This Dying Soul」を読み込み、“こんなもの、原曲と同じ速度でプレイできるわけがない”と諦めていた、終盤1分にわたって繰り広げられるジョン・ペトルーシとジョーダン・ルーデスのユニゾン・ソロに挑戦してみることにした。無謀か!

[A←→B]ボタンでソロの最初と最後を設定し、とりあえず80%の速度に設定。おお、遅い遅い。音程が変わることなく速度だけが落ちる。60%、50%と落としていく。これは弾きやすい。音質の劣化もなく、自分のギターがドリーム・シアターと同じ土俵で鳴る。また、原曲の音を消すこともできるので、左、右、センターのどこかの部分を消し、ギターの音を無くして、自分だけの音で共演することもできるのだ。

んでちょこっと弾いたあと、どうしようもない事実に気付く。無謀だった! 速度を落としても弾けない。だが、これはJS-8の機能とは何の関係もない。このフレーズを弾こうとする自分の実力の問題なのである。こんな変態的な指使いができるわけがない。

ということにいまさら気づき、無難なところで、ミスター・ビッグの「ダディ,ブラザー,ラヴァー,リトル・ボーイ」のポール・ギルバート師匠によるギターソロに挑戦。同じようにギターソロの最初と最後を設定して速度を半分にしてみる。これなら弾ける。原曲の速度では、慌てふためいていたのが、嘘のように楽に弾ける。あまりに楽しいので、[REC」ボタンを押して、ポール・ギルバートとのツインリードを録音してみた。そして速度を戻して再生。弾けたつもりが、まったくのひどいものだと気づくのに時間はかからなかった。もっと練習しなきゃダメという事実を突き付けられる。ということで、[A←→B]ボタンを4小節くらいに設定して、しばし練習。これも簡単。JS-8が延々繰り返してくれるので、納得いくまで練習ができる。それも何のストレスもなく、だ。

いまさらだが、カセットテープで同じフレーズを“キュルキュル”と何度も何度も巻き戻して聴きながら弾き続け、隣の部屋にいた親に“頼むから違うところ弾いてくれ”と怒鳴りこまれたことが懐かしい。さらに、音程を変えずに速度を落とすなんてこともできなかった。PCのDAWに取り込んでテンポを変えて、なんてことができるようになったのも最近の話だ。なおかつ非常に面倒くさかった。

楽曲を取り込むことも実に簡単だ。CDプレーヤーとJS-8をオーディオケーブルで直結して取り込むこともできるし、付属の「Song List Editor」ソフトを使ってPCと接続してインポートすることもできる。すでに携帯プレーヤー用としてPCに入っている楽曲があれば、それをインポートするのが容易い。メディアはSDカードやUSBメモリーが使えるので、ここで苦労することもないだろう

■アンプとしても十二分に威力を発揮

JS-8は、以上のようなオーディオ・プレーヤーとしての側面もすぐれているが、では、それを堪能するための音質という面ではどうなのかというと、そこはさすがBOSSブランド。至れり尽くせりの機能と音質が、実に簡単な操作で実現できるように設計されている。

まずは内蔵エフェクトだ。42種類のアンプ・モデリングやGT-10直系の本格的なBOSSマルチエフェクトが搭載されているので、自分の好みの音作りが、かなりの広い範囲で可能になっている。これも設定は実に簡単。アンプ、エフェクト、イコライザー、ノイズ・サプレッサー、ディレイ、リバーブの7つのエフェクトを1つのエフェクト・パッチで同時使用できる。

アンプ・モデリングは、クランチからディスト―ション系まで、高音質で“使える”モデリングが揃っている。ロックファンなら、MS 1959 I、MS SCOOP、BOSS METALなどのハイゲインなサウンドがオススメ。クランチ系なら名機JC-120のクリーンサウンドは、やはりどんなところで鳴らしても納得の音質だ。42種類もあるので、どこかに自分好みのサウンドが見つかるはず。さらにFX系も、歪み系から空間系までバッチリ。パラメータの設定も実にわかりやすいので、好みの音に設定するにも、そんなに頭を悩ませることもない。

さて、JS-8の出音であるが、このサイズなのにたっぷりな音量、そして音質。試奏したのは狭い四畳半の部屋。ここでは、ボリュームは半分くらいで十分。フルテンにしてしまうと、近所から苦情が出ることが確実なくらいの大音量になった。もちろんPHONES端子完備なので、夜間はヘッドホンをつないで十分に楽しみたい。音質もこの小さなスピーカーから出ているとは思えないほどの迫力がある。低音部ではさすがに大口径のスピーカーには及ばないものの、このクラスでは納得のズシンとくる太さ。中音域から高音域の伸びは十分すぎるほどで、きらびやかなサウンドはこもりもなく、このままレコーディングに使っても何の問題もない。

このほかにも、フットスイッチやエクスプレッション・ペダルの接続でセッティングを瞬時に切り替えたり、PCとのUSBオーディオ・インターフェースとしてDAWにギターやマイクから入力したりと、できることは数多い。これ一台で、音楽生活を十分に楽しめそうだ。

弾いていると、まあ、時間の経つのの早いこと。ギターに熱中して空が白み始めるまで弾き続けた学生時代が懐かしい。このJS-8が手元にあれば、そういうギター三昧の生活にまた没入してしまいそうだ。ギターはあるのに、エフェクターやアンプをつなげて弾くのは面倒くさい、アンプにガリが出てて音を鳴らせない、なんてことでギターにご無沙汰しているお父さんに、絶対にオススメのマシンだ。もちろん、これからギターを極めようという若いギタリストに勧めたいのは言うまでもない。

text by BARKS編集部 森本

<おもな仕様>
記憶容量:SD/SDHCメモリーカード=128M~32Gバイト
データタイプ:JS-8ソング(録音・再生)、MP3=ビットレート64kbps~320kbps(再生のみ)、WAV=量子化ビット数8/16/24ビット(再生のみ)
外部メモリー:USBメモリー
内蔵スピーカー:ステレオ
USB:オーディオ、ファイル転送(マスストレージ)
接続端子:GUITAR/MIC INジャック(標準タイプ)、AUX INジャック(ステレオミニタイプ)、PHONESジャック(ステレオミニタイプ)、LINE OUTジャック(RCAピンタイプ)、CTL1,2/EXPジャック(TRS標準タイプ)、USBコネクター(Aタイプ)、USBコネクター(Bタイプ)、DC IN
外形寸法:264×166×201mm(WDH)
質量:1.63kg
付属品:ACアダプター(PSB-1U)、SDカード(1GB)

◆eBand (JS-8)
価格:オープン

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