[クロスビート編集部員リレー・コラム] 副編集長播磨編「レモン・トゥリーズ」

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何年経っても、時々思い出して聴きたくなってしまうレコードがある。そんな中の一枚が、レモン・トゥリーズ『Open Book』である。煌めきを放ちながら鳴るジャングリィ・ギターも、力強くタイトにボトムを支えるリズム隊もいいが、特に魅力的なのはポップな王道グッド・メロディとそれを彩る厚いコーラスだ。

端的に言うとブリティッシュ・ギター・バンドだが、パワー・ポップ、サイケ、ソウル、R&B、フォークなど幅広い音楽のエッセンスを含み、オーソドックスながら創意に富む。そもそも僕はこのアルバムを1993年の年間ベスト10の1枚に選んでいて、選出の基準の一つがいつも「10年後も聴いているか(予定)」なので、当初からかなり気に入っていたということだ。

バンドの中心人物はガイ・チェンバースで、ほとんどの曲は彼の手によるもの。彼はウォーターボーイズにいたカール・ウォーリンガーが始めたバンド、ワールド・パーティ(末期オアシス~現ビーディ・アイのドラマー、クリス・シャーロックも一時いた)に80年代後半から90年頭まで在籍していたが、自分の曲をやりたくて脱退、レモン・トゥリーズを立ち上げた。バンドでは彼を含む3人のメンバーが歌っているし、元々それほどエゴの強い人じゃなかったんだろう。

残念ながらこのレモン・トゥリーズがわずか1枚のアルバムだけで解散して以降はロビー・ウィリアムスを中心とするポップ・アーティストらへの楽曲提供者、プロデューサーとして名を馳せ、自分は表舞台に出ていない。

そして僕はまたある日、このアルバムを思い出して探し、棚から引っ張り出して聴くのだ。

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