【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第15回 「Heart Of Gold」で聴く7インチの世界

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D.W.ニコルズの鈴木健太です。

今回は7インチの話。レコードにおける“シングル”、それが7インチ。見ての通り中心部に大きな穴が開いている場合が多いので“ドーナツ盤”とも呼ばれます。


7インチにももちろんオリジナル盤はあります。しかしこの7インチ、色んなお店で日本盤はたくさん見かけるのですが、US / UKオリジナル盤は、もの自体が少ないらしくなかなか見かけないので、ほしいものには滅多に巡り会えません。さらにUK / USオリジナルの7インチにはジャケットなるものがないので、目当てのものを探すのも大変です。そしてシングルなので当然ながら片面1曲ずつ、一枚に2曲しか入っていません。

しかしこの7インチ、憎いことに音がいいのです。…と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、音が太かったり厚みがあったり、音にパンチが効いているのです。

それには根拠があります。

まず、アルバムなど普通のレコード(12インチ)と7インチでは回転数が違います。12インチは33rpmですが、7インチはそれに比べて速く、45rpm。ということは単純に考えて、同じ時間では7インチの方が12インチよりも長い距離を針が走ることになります。つまり、レコード針は同じ時間では7インチの方がよりたくさんのレコード溝に刻まれた情報量を読んでいるということになるのです。音が濃いという言い方もできるかもしれません。

さてそうなってくるとやはり、好きなシングル曲は7インチで聴いてみたい、という衝動に駆られるわけです。がしかし、先程も述べたように欲しいものに出会える確率は相当に低いので、根気よく探し続けなければなりません。だからレコード屋へ行くたびに、時間に余裕さえあれば血眼になって7インチの棚を漁っています。

そしてある日、ついに素晴らしい7インチに出会いました。「Neil Young / Heart Of Gold」USオリジナルの7インチ・シングル。以前も取り上げたNeil Youngですが、彼の代表作『Harvest』に収録されている、これまた彼の代表曲。邦題は「孤独の旅路」。B面には「Sugar Mountain」が収録されています。

その音の凄さは予想を遥かに上回るものでした。ひたすら太く、そしてザクザクしていて生々しい。思わず感嘆の声をあげてしまうほどでした。
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