MGMT、最新作はサーフィンとB.イーノとレディー・ガガの悪夢?

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ついに、MGMTの新作『コングラチュレイションズ』が登場する。

2002年コネチカット州ミドルタウンにて、ふたりの芸術大学生アンドリュー・ヴァンウィンガーデンとベン・ゴールドワッサーにより結成されたMGMTは、2006年にメジャーのソニー/コロムビアと契約後、拠点をNYブルックリンに移し、2008年メジャー・デビュー作『オラキュラー・スペクタキュラー』から3つのヒット作「Time to Pretend」「Electric Feel」「Kids」を連発、時代を席巻した。

2008年間ベスト・アルバムやベスト・シングルに軒並み顔を出し、現在までロングセラー化しているデビュー・アルバムに続く、注目のセカンド・アルバムが『コングラチュレイションズ』である。

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ロック・スター然とした存在に対しての皮肉を歌ったヒット曲「Time to Pretend」で華々しいメジャー・デビューを飾ったものの、大成功によって自らが“そのような存在”になってしまったMGMT。違和感と大きすぎる期待に直面しながらも、本人たち曰く「ただ楽しんで作ることができた」というこの最新作は、サーフィンと名声…もしくは名声による圧力がメイン・テーマになっており、ジャケット・アートワークも、まさに名声のブレッシャーに呑み込まれそうなイメージが表現されているかのようだ。

全9曲で構成された新作には、メンバーがレコーディングで滞在したマリブでハマったサーフィンと海からの影響が全体に流れているという。

アルバムは「It's Working」で幕を開ける。「サーフィンをやっててめちゃくちゃいい波に乗ったとき“It's working !”って言うのさ。これは最高の気分でサーフィンするようなヴァイブの曲」とアンドリューが語る楽曲だ。そして、ネオアコ/インディ・シーンのカリスマ、ダニエル・トリーシーからインスパイアされたという「Song For Dan Treacy」や、「ロシア北極圏でのサーフィンという共通のテーマがあるものの、まるで8つの異なる曲をひとつにしたような」12分に及ぶ「Siberian Breaks」、「トランシルヴァニア(※ドラキュラ城として知られるブラン城で著名なポートランドの地名)の聖堂みたいなところでブライアン・イーノを見出すような吸血鬼パンク・ロック・ソング」「Brian Eno」といった楽曲が続いていく。

“名声”について大きく触れられている作品のひとつが、ラス前の、その名も「Lady Dada's Nightmare」なる楽曲。この曲は部分的にカニエ・ウェストやレディー・ガガからの影響も作品に込めた「まるで悪夢のようなサウンド」のインスト・ナンバーで、それは彼らが“名声を得ること”によって考えさせられてきたことや、同じデビュー作にして、ずば抜けた成功を果たしているレディー・ガガほどのレベルに至った時、その名声の行き着く先というのはどういったものなのか、ということについて考え続けてきたことなどが表現されているのだとか。

アルバムを締めくくるキャッチーなアルバム・タイトル・トラック「Congratulations」も“名声”がテーマに敷かれている。その「おめでとう」は、前作がヒットして“スター”となってしまった自分たちへの皮肉と、さらに世界的経済危機についても歌っているとのこと。

自らのアートにサーカズム(皮肉)と問題提起を知的に込めるという“クセ“は新作でも健在。これこそがMGMTたらしめている点のひとつなのであろう。歌詞の内容もサウンドもシゲキ的な『コングラチュレイションズ』、ご注目を。

なお、現在、オフィシャルサイト(海外)にて「Flash Delirium」のMP3ファイルが無料ダウンロード可能となっている。

『コングラチュレイションズ』
2010年4月7日 日本先行リリース
SICP-2609 期間限定スペシャル・プライス\2,100(税込)
1. It's Working
2. Song for Dan Treacy
3. Someone's Missing
4. Flash Delirium
5. I Found a Whistle
6. Siberian Breaks
7. Brian Eno
8. Lady Dada's Nightmare
9. Congratulations
※36ページ・スペシャル・ブックレット付
※解説・歌詞・対訳付

<FUJI ROCK FESTIVAL '10>
7/30(金)、31(土)、8/1(日)
@新潟県湯沢町苗場スキー場

◆MGMTオフィシャルサイト
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