BARKS編集長004「ELTいっくん、その高品質サウンドの秘密を暴く」
▲メサ・ブギーのロード・キング。ダイヤモンド・プレート仕様になっている。 |
──ということは、MESA/BOOGIE DUAL Rectifier ROAD KING、Marshall 1987X、Fender Princeton Reverb×2が、ステージアンプですね?
伊藤:それだけあれば事足りますね。
──普通はロードキングだけで十分なんですけど(笑)。
▲キャビはマーシャル1960。スラントの入っていないBキャビを使っている。 |
▲ギターはキラー。メイプルネックの24フレット、ハム・シン・ハムのフロイドローズが基本の仕様のようだ。 |
▲ステージでは多くの音色を使い分けるため、このようなフットスイッチ必要となる。 |
──ロードキングはいつから使っているんですか?
伊藤:もう4年くらい経ちます。発売されるというのを聞いてすぐに手に入れた。まだ日本語マニュアルもできていなかった一番最初です。システムに組むために自分の家にもちこんでずいぶんと改造したりしましたよ。
──ギターテクに任せるのではなく、自身の手で音作りを重ねてきたんですね。
伊藤:そうですね。マーシャルのようなオーセンティックなアンプだとバイアス調整がめんどくさくてね(笑)。
──は? バイアス調整を自分でやるんですか?(編集部註:バイアス調整=パワー管を適正に稼動させるための基礎チューニング作業のこと。パワー管を交換するたびに毎回必要とする。)
伊藤:以前は、目いっぱいのチューニングでアンプ直で弾くのが好きだったんで、一曲録ったらパワー管がサヨナラ~って感じだったので、すっごくお金がかかって大変でしたよ(笑)。
──ヴァン・ヘイレンかっ!
伊藤:ですね(笑)。その点MESAはバイアス調整用のトリマーがないじゃないですか。レイティングが同じチューブを使うことで同じ音が出るんで、かなり助かっています。
──MESAは純正チューブを使うことでバイアス調整を不要とさせるコンセプトですが、プロにとって、その設計が重宝しているということですね。
伊藤:セットアップの時間が短縮できていますね。
▲記念にいっくんの手のひらを撮影。この手から、あのぶっといいっくんサウンドが奏でられるのだ。 |
伊藤:うーん…基本は直なので。今はもうケーブル(ギター・シールド)も何でも良いかなって感じ。アンプとギター本体は基本ですけど、あと絶対はずせないのが実は電源整合器。医療用の信濃電気の電源コンディショナーというのを長年使っています。あれがないと、チューニング(音作り)していてどこがだめなのかわかんない(笑)。
──安定した100Vを供給する電源機器ですね?
伊藤:整った100Vが出るんですが、心電図とか患者さん用に使う電源で、電源の波形が良くなるらしい。最初マニュピレーターのひとに薦められたんですけど、最初なんなんすかそれって感じ。100Vのコンセントにつないでその機械から出すのは100Vの電源ですから(笑)。でもそういうのを使わないといけないくらい、日本の家庭用電源は不安定。具体的に何が違うかっていうと、それを使うだけでEQやドライブを絞ってもそれまでと同じ音が出せるんです。だから立ち上がりが良くなる。一回つかったらもう手放せないです。
──音にとって電源の重要性はよく語られるものの、実際はほとんど軽視されていることが多いですよね。伊藤さんの現場の声は説得力あります。
伊藤:そこから117に昇圧したトランスに入れるんですけど、パワーケーブルもプロテウスというお気に入りのものを長年使ってます。芯線の中が液体になっているものです。
──んー、異常なほどのこだわりですなぁ。
伊藤:なるべく同じ環境で、電源が正常に来てチューブが正常であることがとにかく大事です。じゃないと今、チューニングのどこが悪いのかわかんなくなる。
──いわば、サウンドの健康管理ですね。
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