[クロスビート編集部員リレー・コラム] 荒野編「スペースメン3」
10月にジャパン・ツアーを終えたばかりのスペクトラム。リーダーのソニック・ブームがMGMTの次作『Congratulations』を共同プロデュースしたというニュースもあり、絶妙なタイミングでの来日だった。ライヴではスペースメン3時代の楽曲も披露。ちょうど来日前にディスクユニオンがスペースメン3の初期アルバムを3枚再発していたのでご紹介しよう。
ソニック・ブームがゴス・バンド出身のジェイソン・ピアース(後にスピリチュアライズド)とスペースメン3を結成したのは82年。デビュー・アルバム『サウンド・オブ・コンフュージョン』はヴェルヴェット・アンダーグラウンドやカンの影響をモロに反映したサウンドで、インプレッションズの「エーメン」をヘヴィにした「ヘイ・マン」や、ストゥージズ「TVアイ」のほぼ替え歌など、まだロック・バンド然とした輪郭を保っていた。
しかし2作目『パーフェクト・プリスクリプション』ではリズム隊の存在感が希薄になり、一気にダウナーに。単調なギター・リフの繰り返しが強烈な酩酊感を醸し出す。ブルースやゴスペルに対する憧憬も滲ませた本作は、80'sサイケの傑作と呼ぶに相応しい。
1988年のライヴを収めた「パフォーマンス」は、MC5のカヴァーを含むアグレッシヴな内容。ロックンロールするジェイソンと、ミニマルなフレーズを弾き続けるソニック・ブームとのコントラストがはっきり見えてきて面白い。
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