増田勇一の欧州日記(最終回)
すでにDIR EN GREYの欧州ツアー終了から2ヵ月。さらにこの欧州日記も前回分の更新から実に約3週間が経過しているわけだが、何がなんでも本日、8月26日の<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>開幕までに完結させねば(←少し「冷血なりせば」っぽい気がする。そんなことはどうでもいいのだが)。というわけでこの日記、今回をもって強引に終了させることにする。
◆増田勇一の欧州日記(最終回) ~写真編~
そんなことはともかく、この日、DIR EN GREYが出演するのは、そのMOTLEY CRUEがヘッドライナーを務めるセカンド・ステージで、全9バンドのうち5番目という出演順。ステージへの登場時刻は午後4時過ぎとなっている。こうしたフェスでは当然のごとくリハーサルなど皆無なわけで、昔のようにヘアメイクやら何やらに追われていた頃と違い(そのために“会場入り”が午前中だった時代があったことが、今はもはや信じがたい)、メンバーたちにはさほどすべきことがない…のかな、と思っていたら、この日のプレス対応チーム、薫とDieは、さまざまな現地メディアからの10本を超える取材を一気に消化することになった。“ライターときどき通訳”の僕としては他人事ではない。しかも炎天下、ステージの裏にあたるプレス・エリアでのインタビューとなると、暑いのはさておき、常に爆音のBGMが流れている状態にあるわけで、質問が聞き取りにくいうえに自分も大声で英語を喋らないとならなくなる。意外とこれが、体力を消耗するものなのだ。
しかし相変わらず向こうの取材はメリハリがきいているというか落差が大きいというか。しっかりと予備知識を蓄えてきて音楽的な質問で攻めてくるジャーナリストもいれば、意味不明の冗談で受けを狙ってくる(んだけども、こちらには本当に訳がわからず笑えない)だけの人も。余談ながら筆者にも遠い昔、某雑誌の企画意図に沿って彼らに「お正月の思い出は?」みたいな質問をしたところ、「ホンマにそんなこと訊きたいと思ってます? 仕事とはいえ増田さんも大変やなあ(笑)」とメンバーたちから同情(!?)の言葉を投げかけられたことがあった。なんと思慮深い人たちなのだろうか。
プレス・エリアでは他の出演バンドたちも同じように多数の取材をこなし、ケータリングの巨大テントでは各バンドや関係者が入り交じって食事を楽しんでいる。これもフェスならではの風景。この日、DIR EN GREYの面々が歓談したり、一緒に写真に納まったり、再会を果たしたりしたのは、KOЯNやMOTLEY CRUE、LACUNA COIL、STEADLUR、前日のパリで共演したばかりのKILLSWITCH ENGAGEといったバンドのメンバーたち。隣の楽屋のダフ・マッケイガンにももちろん会った。ニッキー・シックスにDIR EN GREYについて説明すると、「UKでのフェス初参戦がこれ? 最高にクールな話じゃないか。しかも俺たちと同じステージに出てくれるなんて光栄に思うよ」と、ロックスター然としていてしかもオトナな言葉が返ってきた。彼と同じくらいあちこちで“記念撮影攻め”に遭っていたのがLIMP BIZKITのウェス。ま、彼の現在のあの風貌を考えれば、姿をみつけたら誰でも一緒に写真を撮りたくなるのが当然という気もするが。
肝心のライヴについては、まさにこの日に至るまでの経過が結実したかのような、とても凝縮感のあるものになった。ツアー初日、<ROCK IM PARK>でのつまずきから転じたポジティヴな流れが、ここでひとつのピークに達したという言い方も可能だろう。具体的なことはすでにあちこちで報じられてきたから改めて書くまでもないはずだが、このバンドについてほぼ無知な人たち、「日本のバンドでありながら『KERRANG!』の表紙にまでなってるコイツらってナニモノなんだ?」といった好奇心からそこに居合わせたような人たちにも、彼らの発するものは確実に届いたはずだ。それは、彼らの演奏中にその場を立ち去ろうとする観客がほとんど見当たらなかった事実にも裏付けられている。確実に<DOWNLOAD>の歴史に爪痕を残したDIR EN GREY。メンバーたちにとって長年の願望でもあったこのフェスへの初参戦は、成功に終わったと言っていいはずだ。
そしてその後もDIR EN GREYの欧州ツアーは続き、僕たち同行チームは名残惜しさを引きずりつつ、翌朝には帰国の途につくことになった。そして6月末、このツアーの全行程を終えて帰国したメンバーたちは、そのまま骨休めをする間もなく地下作業期間へと突入し、いよいよ8月26日、<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>が開幕を迎えるわけである。というわけで、えらくのんびりしたペースで更新を続けてきた『欧州日記』は、これにて終了。しかしDIR EN GREYに関する情報更新は、むしろここから加速度をつけていくことになるので、皆さん、日々のBARKSチェックをお忘れなく!
増田勇一
◆増田勇一の欧州日記(最終回) ~写真編~
そんなことはともかく、この日、DIR EN GREYが出演するのは、そのMOTLEY CRUEがヘッドライナーを務めるセカンド・ステージで、全9バンドのうち5番目という出演順。ステージへの登場時刻は午後4時過ぎとなっている。こうしたフェスでは当然のごとくリハーサルなど皆無なわけで、昔のようにヘアメイクやら何やらに追われていた頃と違い(そのために“会場入り”が午前中だった時代があったことが、今はもはや信じがたい)、メンバーたちにはさほどすべきことがない…のかな、と思っていたら、この日のプレス対応チーム、薫とDieは、さまざまな現地メディアからの10本を超える取材を一気に消化することになった。“ライターときどき通訳”の僕としては他人事ではない。しかも炎天下、ステージの裏にあたるプレス・エリアでのインタビューとなると、暑いのはさておき、常に爆音のBGMが流れている状態にあるわけで、質問が聞き取りにくいうえに自分も大声で英語を喋らないとならなくなる。意外とこれが、体力を消耗するものなのだ。
しかし相変わらず向こうの取材はメリハリがきいているというか落差が大きいというか。しっかりと予備知識を蓄えてきて音楽的な質問で攻めてくるジャーナリストもいれば、意味不明の冗談で受けを狙ってくる(んだけども、こちらには本当に訳がわからず笑えない)だけの人も。余談ながら筆者にも遠い昔、某雑誌の企画意図に沿って彼らに「お正月の思い出は?」みたいな質問をしたところ、「ホンマにそんなこと訊きたいと思ってます? 仕事とはいえ増田さんも大変やなあ(笑)」とメンバーたちから同情(!?)の言葉を投げかけられたことがあった。なんと思慮深い人たちなのだろうか。
プレス・エリアでは他の出演バンドたちも同じように多数の取材をこなし、ケータリングの巨大テントでは各バンドや関係者が入り交じって食事を楽しんでいる。これもフェスならではの風景。この日、DIR EN GREYの面々が歓談したり、一緒に写真に納まったり、再会を果たしたりしたのは、KOЯNやMOTLEY CRUE、LACUNA COIL、STEADLUR、前日のパリで共演したばかりのKILLSWITCH ENGAGEといったバンドのメンバーたち。隣の楽屋のダフ・マッケイガンにももちろん会った。ニッキー・シックスにDIR EN GREYについて説明すると、「UKでのフェス初参戦がこれ? 最高にクールな話じゃないか。しかも俺たちと同じステージに出てくれるなんて光栄に思うよ」と、ロックスター然としていてしかもオトナな言葉が返ってきた。彼と同じくらいあちこちで“記念撮影攻め”に遭っていたのがLIMP BIZKITのウェス。ま、彼の現在のあの風貌を考えれば、姿をみつけたら誰でも一緒に写真を撮りたくなるのが当然という気もするが。
肝心のライヴについては、まさにこの日に至るまでの経過が結実したかのような、とても凝縮感のあるものになった。ツアー初日、<ROCK IM PARK>でのつまずきから転じたポジティヴな流れが、ここでひとつのピークに達したという言い方も可能だろう。具体的なことはすでにあちこちで報じられてきたから改めて書くまでもないはずだが、このバンドについてほぼ無知な人たち、「日本のバンドでありながら『KERRANG!』の表紙にまでなってるコイツらってナニモノなんだ?」といった好奇心からそこに居合わせたような人たちにも、彼らの発するものは確実に届いたはずだ。それは、彼らの演奏中にその場を立ち去ろうとする観客がほとんど見当たらなかった事実にも裏付けられている。確実に<DOWNLOAD>の歴史に爪痕を残したDIR EN GREY。メンバーたちにとって長年の願望でもあったこのフェスへの初参戦は、成功に終わったと言っていいはずだ。
そしてその後もDIR EN GREYの欧州ツアーは続き、僕たち同行チームは名残惜しさを引きずりつつ、翌朝には帰国の途につくことになった。そして6月末、このツアーの全行程を終えて帰国したメンバーたちは、そのまま骨休めをする間もなく地下作業期間へと突入し、いよいよ8月26日、<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>が開幕を迎えるわけである。というわけで、えらくのんびりしたペースで更新を続けてきた『欧州日記』は、これにて終了。しかしDIR EN GREYに関する情報更新は、むしろここから加速度をつけていくことになるので、皆さん、日々のBARKSチェックをお忘れなく!
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