リヴァース・クオモ、もうひとりなんかじゃないぞぉ

ポスト
<フジロック09>3日目のヘッドライナーとしての出演を控えるウィーザーだが、ウィーザーのフロントマン、リヴァース・クオモが7月1日にソロ・アルバム『ノット・アローン』をリリースした。日本盤は特別にCD+DVD仕様で発売となっており、DVDはもちろん字幕付という喜ばしい内容だ。

今回リヴァース・クオモが出したソロ作品は、ファンと一緒にライヴをするという珍企画を収めたライヴ盤である。そもそも、そのライヴはソロ作品第2弾目『アローン2』のリリース記念として、2008年11月にアメリカ・ロングビーチにあるレコード店Fingerprintsで行なわれたインストア・イベントのもの。

シンプルなインストア・パフォーマンスだが、ただ演奏するのはつまらないと「集まったファンとライヴをやってしまう」という催しに。しかも、事前に演奏曲は決めず、楽譜さえも用意せず、ファンが各々得意な楽器を持って来て、その場で演奏曲をリヴァースと共に決め、ぶっつけで演奏し歌うというものだ。むちゃ振りとはまさしくこのことだが、自分で振っているんだからしょうがない。果たしてどうなることやらと、誰もが首を傾げたが、ふたを開けば奇跡のように素晴らしい演奏になってしまった。

しかもファンとして見逃せないのは、あのリヴァースがファンとコミュニケーションをとり、さらに場を仕切り、めちゃくちゃ楽しそうにしている様子だ。その空気こそ、まさしくフジロックのピースフルな雰囲気を彷彿させるものじゃないか。ちなみに、イベントでは最後にウィーザー屈指の難曲が選ばれてしまいリヴァース自身唖然としつつも、ファンの力を借り大成功。達成感に満ち溢れたリヴァースも必見なのだ。

『ノット・アローン』は、ライヴのみならず、ウィーザーの熱狂的ファンであるコッポラ・ファミリーの俳優ジェイソン・シュワルツマンによるインタビューや、ハーバード大学在学中の珍エピソード、名曲の誕生エピソードを語りまくるラジオ・インタビューなど、リヴァースの素顔に迫れる貴重な素材もギッシリ。もちろん日本盤は字幕付、ラジオ・インタビューは訳付。ボリュームたっぷりのドキュメンタリーは字幕付でよかった。海外ではライヴCDとDVDは別パッケージでリリースされているので、2 in 1の日本盤は超お得というわけだ。

『アローン』(2007年)、『アローン2』(2008年)と寂しいタイトルを引っさげてソロを重ねたリヴァースだが、ここにきて堂々と“ひとりじゃないぞぉ”と『ノット・アローン』を世に提示。よかったー。リヴァース、君はひとりなんかじゃないぞー。フジロックで待ってるぜ。
この記事をポスト

この記事の関連情報