サラ・ブライトマン、新作『冬のシンフォニー』を語る パート3
10月29日に日本先行発売されたサラ・ブライトマンの最新アルバム『冬のシンフォニー』が好調な売れ行きをみせている。
まだ聴いていないという人のために、3曲の楽曲試聴を楽しんでいただく準備ができた。1曲目は、スウェーデンが誇るポップスバンドABBAの「アライヴァル」。歌詞の中に出てくる言葉が、クリスマスから年末の雰囲気を出しているところが、サラのお気に召したというこの曲、クリスマスムード満点のアレンジとサラの楽しそうな歌唱が魅力だ。
そして世界的に有名なスピリチュアルソング「アメイジング・グレイス」。これまでに世界中の歌姫によって歌われた曲だが、サラバージョンは壮大で圧倒的なオーケストラアレンジで、その崇高な世界観を見事に表現している。
そしてクリスマスに相応しいタイトルの「アイ・ビリーヴ・イン・ファーザー・クリスマス」。この曲、プログレッシヴロック・バンドEL&Pのグレッグ・レイクの作品だ。グレッグが1975年にソロデビュー・シングルとして発表したもので、ピート・シンフィールドが歌詞を書いているというプログレ・ファンには懐かしい曲だろう。オーケストラアレンジで、サラが清々しく歌っている。
さて、10月22日から、連続3回でお届けしているサラの最新インタビュー。今回は、新作のビジュアル面での工夫やクリスマスの思い出などを語ってくれている。あの素晴らしいジャケット写真がどういう経緯で撮影されたのか、サラの特徴ともいえるジャケット写真の美しさに言及したインタビューだ。
サラのメッセージ映像と『冬のシンフォニー』イメージ映像も公開中。楽曲試聴と一緒にお楽しみくださいね。
◆「アライヴァル」楽曲試聴
◆「アメイジング・グレース」楽曲試聴
◆「アイ・ビリーヴ・イン・ファーザー・クリスマス」楽曲試聴
◆サラからのメッセージとイメージ映像
では、インタビュー第三回目(最終回)をどうぞ。
◆ ◆ ◆
――冬景色をバックにしたジャケットも印象的です。ビジュアルのコンセプトについても教えてもらえますか。
サラ・ブライトマン(以下、サラ):ビジュアルに関しても毎回じっくり構想を練ります。今回は、前作『神々のシンフォニー』から今回の『冬のシンフォニー』、さらにワールド・ツアーにつながる流れのなかで一貫性を持たせたいと考えました。主軸となるコンセプトは、アンデルセンの童話『マッチ売りの少女』です。人間の核心をつくメッセージを秘めたこの物語を入口に、私達がこれから向かう未来の世界を表現したいと思いました。それが全体のコンセプトですが、新作のジャケットに関しては、ロシアの近代絵画のような冬景色をイメージしました。
――では、タイトルを『冬のシンフォニー』にしたのも、前作『神々のシンフォニー』との関連性があるということですか。
サラ:もちろんそうですが、実際にアルバムがシンフォニー・オーケストラと共演したシンフォニック・サウンドだったことが一番の理由です。さらにクリスマス・ソングを多く収録していますが、それだけではなく、真冬に抱く感情とか、冬の澄んだ夜空、寒さ、雪を思い浮かべ、さらに間もなく訪れる新年に思いを馳せるといった歌も歌っているので、クリスマスとはせず、『冬のシンフォニー』というタイトルにしました。
――話をジャケットに戻しますが、当然撮影も暑い時期に行なっているかと思います。この冬景色はCGなのですか。
サラ:それが違うんですよ。満月の夜にロンドンのとある場所に、人工降雪機で雪を実際に降らせて撮影しました。だから、撮影中は凍えそうなほど寒くて(笑)。
――そこまでこだわって撮影をしたんですね。では、スタジオでは何か冬を演出するための工夫はされましたか。
サラ:他のアーティストからも、夏にクリスマス・アルバムをレコーディングする苦労を聞いていたので、最初は心配をしていました。クリスマスの気分になれないのではと。でも、実際は夏の太陽を浴びないようにと、外出を避けたくらいです。スタジオが地下にあり、夏を感じない環境だったのが良かったと思います。ミュージシャンも意識的に気分を夏から冬の切り替えてくれていたので、その点で苦労することはなかったですね。
――ところで、クリスマスの記憶で一番の想い出は何になりますか。
サラ:全てのクリスマスが大切な想い出です。子供の頃はもちろん、大人になってもクリスマスは特別なシーズン。たとえその年があまりいい年じゃなかったとしても、クリスマスになると、幸せな気持ちで満たされます。それってとても大切なことですよね。
――その大切な時期をどのように過ごすことが多いですか。
サラ:家族と一緒に過ごすクリスマスが一番好きです。イギリスにいる時は、母とショッピングに出かけ、教会のミサに参列するのが恒例となっています。ただ、今年は残念なことに家族と過ごせそうにありません。ワールド・ツアーの途中で、マイアミでクリスマスを迎えることになりそうなので…。
―――最後に4年ぶりとなるワールド・ツアーについて、どんな演出になるのか、教えてもらえますか。
サラ:これまで以上に最新テクノロジーを駆使した演出を考えています。たとえば、ステージ上に動く3Dの世界を再現させるとか。かなり複雑な仕組みの演出になる予定です。すでに9ヶ月もその準備に携わっています。言葉で全てを説明するのは難しいのですが、とにかく実験的な試みが多いので、オーディエンスには新しい経験をしていただけると思います。楽しみにしていてください。(了)
(2008年秋 取材・文●服部のり子)
◆iTunes Store サラ・ブライトマン(※iTunesが開きます)
◆サラ・ブライトマン・オフィシャルサイト
まだ聴いていないという人のために、3曲の楽曲試聴を楽しんでいただく準備ができた。1曲目は、スウェーデンが誇るポップスバンドABBAの「アライヴァル」。歌詞の中に出てくる言葉が、クリスマスから年末の雰囲気を出しているところが、サラのお気に召したというこの曲、クリスマスムード満点のアレンジとサラの楽しそうな歌唱が魅力だ。
そして世界的に有名なスピリチュアルソング「アメイジング・グレイス」。これまでに世界中の歌姫によって歌われた曲だが、サラバージョンは壮大で圧倒的なオーケストラアレンジで、その崇高な世界観を見事に表現している。
そしてクリスマスに相応しいタイトルの「アイ・ビリーヴ・イン・ファーザー・クリスマス」。この曲、プログレッシヴロック・バンドEL&Pのグレッグ・レイクの作品だ。グレッグが1975年にソロデビュー・シングルとして発表したもので、ピート・シンフィールドが歌詞を書いているというプログレ・ファンには懐かしい曲だろう。オーケストラアレンジで、サラが清々しく歌っている。
さて、10月22日から、連続3回でお届けしているサラの最新インタビュー。今回は、新作のビジュアル面での工夫やクリスマスの思い出などを語ってくれている。あの素晴らしいジャケット写真がどういう経緯で撮影されたのか、サラの特徴ともいえるジャケット写真の美しさに言及したインタビューだ。
サラのメッセージ映像と『冬のシンフォニー』イメージ映像も公開中。楽曲試聴と一緒にお楽しみくださいね。
◆「アライヴァル」楽曲試聴
◆「アメイジング・グレース」楽曲試聴
◆「アイ・ビリーヴ・イン・ファーザー・クリスマス」楽曲試聴
◆サラからのメッセージとイメージ映像
では、インタビュー第三回目(最終回)をどうぞ。
◆ ◆ ◆
――冬景色をバックにしたジャケットも印象的です。ビジュアルのコンセプトについても教えてもらえますか。
サラ・ブライトマン(以下、サラ):ビジュアルに関しても毎回じっくり構想を練ります。今回は、前作『神々のシンフォニー』から今回の『冬のシンフォニー』、さらにワールド・ツアーにつながる流れのなかで一貫性を持たせたいと考えました。主軸となるコンセプトは、アンデルセンの童話『マッチ売りの少女』です。人間の核心をつくメッセージを秘めたこの物語を入口に、私達がこれから向かう未来の世界を表現したいと思いました。それが全体のコンセプトですが、新作のジャケットに関しては、ロシアの近代絵画のような冬景色をイメージしました。
――では、タイトルを『冬のシンフォニー』にしたのも、前作『神々のシンフォニー』との関連性があるということですか。
サラ:もちろんそうですが、実際にアルバムがシンフォニー・オーケストラと共演したシンフォニック・サウンドだったことが一番の理由です。さらにクリスマス・ソングを多く収録していますが、それだけではなく、真冬に抱く感情とか、冬の澄んだ夜空、寒さ、雪を思い浮かべ、さらに間もなく訪れる新年に思いを馳せるといった歌も歌っているので、クリスマスとはせず、『冬のシンフォニー』というタイトルにしました。
――話をジャケットに戻しますが、当然撮影も暑い時期に行なっているかと思います。この冬景色はCGなのですか。
サラ:それが違うんですよ。満月の夜にロンドンのとある場所に、人工降雪機で雪を実際に降らせて撮影しました。だから、撮影中は凍えそうなほど寒くて(笑)。
――そこまでこだわって撮影をしたんですね。では、スタジオでは何か冬を演出するための工夫はされましたか。
サラ:他のアーティストからも、夏にクリスマス・アルバムをレコーディングする苦労を聞いていたので、最初は心配をしていました。クリスマスの気分になれないのではと。でも、実際は夏の太陽を浴びないようにと、外出を避けたくらいです。スタジオが地下にあり、夏を感じない環境だったのが良かったと思います。ミュージシャンも意識的に気分を夏から冬の切り替えてくれていたので、その点で苦労することはなかったですね。
――ところで、クリスマスの記憶で一番の想い出は何になりますか。
サラ:全てのクリスマスが大切な想い出です。子供の頃はもちろん、大人になってもクリスマスは特別なシーズン。たとえその年があまりいい年じゃなかったとしても、クリスマスになると、幸せな気持ちで満たされます。それってとても大切なことですよね。
――その大切な時期をどのように過ごすことが多いですか。
サラ:家族と一緒に過ごすクリスマスが一番好きです。イギリスにいる時は、母とショッピングに出かけ、教会のミサに参列するのが恒例となっています。ただ、今年は残念なことに家族と過ごせそうにありません。ワールド・ツアーの途中で、マイアミでクリスマスを迎えることになりそうなので…。
―――最後に4年ぶりとなるワールド・ツアーについて、どんな演出になるのか、教えてもらえますか。
サラ:これまで以上に最新テクノロジーを駆使した演出を考えています。たとえば、ステージ上に動く3Dの世界を再現させるとか。かなり複雑な仕組みの演出になる予定です。すでに9ヶ月もその準備に携わっています。言葉で全てを説明するのは難しいのですが、とにかく実験的な試みが多いので、オーディエンスには新しい経験をしていただけると思います。楽しみにしていてください。(了)
(2008年秋 取材・文●服部のり子)
◆iTunes Store サラ・ブライトマン(※iTunesが開きます)
◆サラ・ブライトマン・オフィシャルサイト
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