ゴリラズのニュー・プロジェクト、モンキーとは?
いよいよ、デーモン・アルバーン、というよりゴリラズのニュー・プロジェクト、モンキーが日本に上陸する。デーモンとジェイミー・ヒューレットの2人は、今度は中国の古典に挑戦。2007年、西遊記を基にしたチャイニーズ・オペラの制作に携わった彼らは、それだけでは満足せず、さらに進化させたアルバム『Monkey: The Journey To The West』を作り出した。
子供のころ、堺正章主演のドラマが大好きだったという2人にとって、日本はこのプロジェクトの第3の故郷と呼べるかもしれない。だからこそ、同作品を日本でリリースするのを楽しみにしているという。中国の古典と西洋のテクノロジーをうまく融合し、芸術作品と呼べるほど完成度の高いアルバムを作り上げたとは思えない、脱力系のお2人に、アルバムやニュー・プロジェクトのことだけでなく、コラボの過程、日本文化からの影響など興味深い話を聞くことができた。
――まず最初に、お2人がいつ、どのようにして知り合ったのかを教えてください。
ジェイミー: 90年だったかな、多分、ブラーのデビュー・アルバムがリリースされる直前だ。共通の友人を通じて知り合ったんだ。
デーモン:でも、最初はぜんぜん仲良くならなかった。10年くらい経って、やっとお互い好きになれるかもって思ったんだ。
ジェイミー:それまでは全く話をしなかったよ。何かこう大きな力が働いていたんだろうね、2人が話さないようにって…。何でだかわかんないけど、とにかく話をしなかった。なのに、ある日突然話してみたら、スゴク気が合ったんだ。
――ゴリラズに続いてモンキー、猿好きなんですか(笑)?
ジェイミー:まあ言うならば、僕たちみんな猿だよね。しかも僕ら2人は申年生まれだし。なんか不思議なつながりがあるのかな。
――モンキーという新しいユニットを結成することになった経緯を教えてください。
デーモン:フランスのシャトレー(歌劇場)から声がかかったんだ。その前にマンチェスター・インターナショナル・フェスティバルでゴリラズのショーをやってたんでね。監督のチェン・シゼンと一緒に仕事をしてみないかってアプローチされたんだ。それから何回か、中国を旅した。内陸のほうにも…。あんまり西洋の人が行かないようなすごい場所にも行ったよ。南部のほうとか、本当の中国を知る絶好のチャンスになった。それで、徐々にステージのためのビジュアル言語というか、音楽言語のようなものを作り上げていったんだ。現代の中国を反映しながらも、当然、西遊記にもリンクするものをね。
――最初はあまり乗り気ではなかったということですが?
デーモン:知らないものにそう簡単に携わるわけにはいかないだろう…。中国の音楽は、西洋の音楽とは構造からして全く違うんだ。デタラメでやることだってできたよ。今までは中国の音楽っていうと、安っぽい真似事ですまされることが多かった。例えば映画だと、30 年代の上海っていうと、いかにも月並みな音楽を使ったりして…。本当にここには小さなパレットしかなかった。それが最大のチャレンジだったよ。退屈で陳腐なものじゃなく、純粋に面白い音楽を作るってことがね。
――日本制作の西遊記(ドラマ)を見ていたそうですが?
デーモン:そうそう、80 年代のイギリスではすごく流行っていたよ。
ジェイミー:僕らの世代はすごく西遊記に親しみがあると思う。
――西遊記の中で好きなキャラクターは?
デーモン:孫悟空と猪八戒だね。絶対にこの2人だ。とても人間らしくて。
――アルバムはオペラのサントラではないとのことですが、劇中に使われている音楽とアルバムに収録されている音楽の違いはなんですか?
デーモン: そう、サントラではない。まず、サウンド・パレットが違う。ステージでは、エレクトロニックな音やプログラミングをたくさん使うわけにはいかない。これには2つの理由がある。まず、音的に、繊細な声やアコースティックな楽器にエレクトロニックな音をあわせるのは難しい。スタジオでは簡単にできるけどね。それにアルバムのほうは、一応、オペラのストーリーを追ってはいるものの、アルバムとして聞けるようになっているというか、演劇ではない。ボーカルも違うし、ミックスも違うし…、中身が全く違う。ただ、この一連のクリエイティブな活動を形にしたかったというか…、とても現代的なアルバムになっていると思う。今までの(アルバムの)ように、曲に続いて曲が入っているっていうのとは違う。最近のポップミュージックの解毒剤といってもいいかもしれない。
――中国の楽器を使い現地のミュージシャンと共演していますが…
デーモン:琵琶、古筝…、北京にいたときにたくさんの楽器を知ることが出来た。(地元のミュージシャンとの共演は)不思議なものだね…、言葉が一切通じないというのは。だって、周りを見ても文字がわからない。中国にいるときは本当に何もわからない状態だったんだ。周りで何が起きているのか見当がつかない。でも、だからこそ余計に周りを良く観察することにはなったけどね。
ジェイミー:まさにその通りだった(笑)。本当に何が起きているのか、見当すらつかなかった!
デーモン:全てはジェスチャーや、頭の中でつなぎあわせてやっていたんだ。北京語で会話なんて全くしなかった。いろんなところに行ったけどね。外国人でいるのを楽しんだよ。
――今作の制作にあたって、一番大変だったことは何ですか?
デーモン:僕にとっては、知的な音楽をつくることかな。なんというか、ありがちなものではなくて、独創的で知的で、真似ごとではないもの。
ジェイミー:自分がやりたかったことや、興味を持っていることをやるのは、いつだってチャレンジだと思う。ベストを尽くすという意味で、常にチャレンジだ。だからこそ面白くて、始めればどんどん先に進む。
――逆に、一番楽しかったことは何ですか?
デーモン:北京まで行って、大きな合唱団を使ったり、いろいろと実験的してみたり、旅しながら記録していった音楽だったり…、これらが全てうまく組み合わさるようにしていくプロセスそのものも素晴らしかった。
ジェイミー:北京では仕事の後、美味しい料理を食べることが出来たし、足のマッサージで一日が終わることもあった。そのまま赤ちゃんみたいにぐっすり寝ることが出来て、最高だったよ!
――1番の聴きどころを教えてください。
デーモン:さあ…、わからないなあ。
ジェイミー:最後じゃない(笑)?
デーモン:最後? だな・・・(苦笑)
ジェイミー:この作品は普通のアルバムと違って、シングルがあるわけじゃないし、全部を通して一つの作品だから、僕が思うに全部が聴きどころなんじゃないかな。全部聴かないとわからない。聴くことが一つの経験っていうか、どこかへ旅するような感覚じゃないかな。中断されずに、いいステレオで、緑茶でも飲みながら…、どこかへ行くイメージで。
――このアルバムでのライヴ活動は?
デーモン:ああ、やるつもりだよ。
――どんなパフォーマンスを計画してるのでしょう?
デーモン:さあ、まだわからないな。まあ、まずはこのアルバムを受け入れてもらえるかどうかだ。もし興味を持ってもらえれば、ライヴをやってもいいと思う。僕は、是非やりたいと思ってるけどね。パフォーマンスとしても成り立つ内容のものだから。アップビートにして、パワフルなドラムマシーンやエレクトロニックなベース音を使えば、とてもうまくいくと思う。
――初めて、アルバムを聞いたきどう思われましたか?
ジェイミー:いろんな段階でこのアルバムを聞いてきたから…
デーモン:同じビルの中で常にチームとして作業をしてきたし、全てに関して一緒にやってきたから…、ゴリラズと一緒だよ。このアルバムは僕とジェイミーと一緒に作ってるんだ。ゴリラズのレコードだといっても過言ではない。
――それではジェイミーの意見も大事だと?
デーモン:ぜ~んぜん。
ジェイミー:僕は音楽は作れない。僕はアーティストで、彼はミュージシャン。だからこそこのチームはうまくいくんだ。
デーモン:そうじゃなければ、お互いは必要ないよ。
ジェイミー:音楽のことでぶつかることは無い。僕は音楽のことは全くわからないからね。と同時に、僕はデーモンのすることをスゴク気に入っている。西遊記のような面白いストーリーに刺激を受けずにはいられないし、デーモンの作った音楽にもね。僕は彼の作った音楽を聴いて、頭の中で映画を見るようにイメージを作り上げるんだ。僕たちの西遊記をね。それでデザインや絵を描き始める。
デーモン:僕たちは本当に別のことをやってるから…。意見が合うことなんてない(笑)。
ジェイミー:(笑)
デーモン:でもホントだろ。君の頭の中から出てくるイメージは、僕が音楽を作るときにイメージしていたものと全く違う。
ジェーミー:そうそう。
デーモン:ただときどき、こうキーポイントとなるところはある。例えば最初の頃、アルバムに入れる孫悟空の声を聞かせた時に、ジェイミーはまるで50年代の台湾のテレビの司会者みたいだって言ってた。まさに僕の頭の中にあったイメージもそうだった。
ジェミー:基本的に全て同時に進めていくんだ。音楽を作って、それからビジュアルを作って、というわけじゃない。同じタイミングで、進めていく。それが最高の方法だと思うよ。本来、音楽とビジュアルは一緒であるべきなんだ。それなのに、どこかでそれが見失われちゃった。曲が出来て、それで誰かにビデオ製作を依頼して…、もちろんその人には曲の意味や、どうやって曲ができたかなんてことはわからない。最初から一緒に作ることが出来れば、結果はずっとずっといいものになるのに。
――お2人の関係をどう称しますか?
ジェイミー:ただの友達だよ。子供たちも一緒に遊ぶし、一緒に仕事もする。シンプルで、楽しい関係だ。
――ストレスもなく?
デーモン:ぜんぜん。ただ、うまくやってけるんだ。
ジェイミー:お互いすごく素直に、本音で話せるしね。スゴクいいよ。何か問題があれば、すぐに直接話し合う。それで、素早く解決する。デーモンが「ジェイミー、黙れ!」って言えば、僕は「いや、お前が黙れ!」って言い返す。それでOKだ。
――ビジュアルを制作する際、中国の画家で参考にした人はいたのですか?
ジェイミー:中国の美術の本をたくさん見たし、それに旅をしながら何千枚も写真を撮った。全部参考にした。頭の中にたくさん入ってるよ、ベースになった。
デーモン:それに僕ら、スタジオ・ジブリの大ファンなんだ。アジアの文化からは本当にいろいろと影響をうけていると思うよ。
ジェイミー:とてもビジュアル的な文化だ。
――好きな日本人のクリエイターは?
ジェイミー:まずは当然、宮崎駿だよね。彼抜きには始まらない。あとは『AKIRA』を作った人。名前は何回覚えようとしても忘れてしまうんだけど。 『AKIRA』は最高に好きなアニメのひとつだね。デーモンの言うとおり、アジアの文化にはスゴク影響を受けてる。素晴らしいと思うよ。何より、食べ物が最高だ(笑)! もう一生、それだけを食べ続けてもいいな。中華料理と日本料理、この2つを食べれるんなら、僕は本当に満足だ。
――日本のファンへメッセージをお願いします。
ジェイミー:日本のみんな、こんにちは。前回の来日からずい分時間が経ってるので、早く行きたいなって思ってる。
デーモン:今回こうやって『Monkey: Journey to the West』の話ができて、嬉しいよ。最後に日本に行ったのは、ものすごく前だ。またみんなに会うことができそうで嬉しい。
ジェイミー:西遊記を知るきっかけとなった国に行くんだ。
デーモン:つまり、僕ら流の西遊記を持って帰るってことになるな。
ジェイミー:アリガト!
アルバム『Monkey: The Journey To The West』は10月22日発売。日本語のオフィシャル・サイトbeggarsjapan.com/monkeyjourneytothewestもオープンした。オペラはこの後、UKでの再演だけでなく、日本での上演も予定されているという。奇しくも申年である2人のモンキーの旅は、まだまだ始まったばかりだ。
◆モンキー・オフィシャルサイト
Ako Suzuki, London
子供のころ、堺正章主演のドラマが大好きだったという2人にとって、日本はこのプロジェクトの第3の故郷と呼べるかもしれない。だからこそ、同作品を日本でリリースするのを楽しみにしているという。中国の古典と西洋のテクノロジーをうまく融合し、芸術作品と呼べるほど完成度の高いアルバムを作り上げたとは思えない、脱力系のお2人に、アルバムやニュー・プロジェクトのことだけでなく、コラボの過程、日本文化からの影響など興味深い話を聞くことができた。
――まず最初に、お2人がいつ、どのようにして知り合ったのかを教えてください。
ジェイミー: 90年だったかな、多分、ブラーのデビュー・アルバムがリリースされる直前だ。共通の友人を通じて知り合ったんだ。
デーモン:でも、最初はぜんぜん仲良くならなかった。10年くらい経って、やっとお互い好きになれるかもって思ったんだ。
ジェイミー:それまでは全く話をしなかったよ。何かこう大きな力が働いていたんだろうね、2人が話さないようにって…。何でだかわかんないけど、とにかく話をしなかった。なのに、ある日突然話してみたら、スゴク気が合ったんだ。
――ゴリラズに続いてモンキー、猿好きなんですか(笑)?
ジェイミー:まあ言うならば、僕たちみんな猿だよね。しかも僕ら2人は申年生まれだし。なんか不思議なつながりがあるのかな。
――モンキーという新しいユニットを結成することになった経緯を教えてください。
デーモン:フランスのシャトレー(歌劇場)から声がかかったんだ。その前にマンチェスター・インターナショナル・フェスティバルでゴリラズのショーをやってたんでね。監督のチェン・シゼンと一緒に仕事をしてみないかってアプローチされたんだ。それから何回か、中国を旅した。内陸のほうにも…。あんまり西洋の人が行かないようなすごい場所にも行ったよ。南部のほうとか、本当の中国を知る絶好のチャンスになった。それで、徐々にステージのためのビジュアル言語というか、音楽言語のようなものを作り上げていったんだ。現代の中国を反映しながらも、当然、西遊記にもリンクするものをね。
――最初はあまり乗り気ではなかったということですが?
デーモン:知らないものにそう簡単に携わるわけにはいかないだろう…。中国の音楽は、西洋の音楽とは構造からして全く違うんだ。デタラメでやることだってできたよ。今までは中国の音楽っていうと、安っぽい真似事ですまされることが多かった。例えば映画だと、30 年代の上海っていうと、いかにも月並みな音楽を使ったりして…。本当にここには小さなパレットしかなかった。それが最大のチャレンジだったよ。退屈で陳腐なものじゃなく、純粋に面白い音楽を作るってことがね。
――日本制作の西遊記(ドラマ)を見ていたそうですが?
デーモン:そうそう、80 年代のイギリスではすごく流行っていたよ。
ジェイミー:僕らの世代はすごく西遊記に親しみがあると思う。
――西遊記の中で好きなキャラクターは?
デーモン:孫悟空と猪八戒だね。絶対にこの2人だ。とても人間らしくて。
――アルバムはオペラのサントラではないとのことですが、劇中に使われている音楽とアルバムに収録されている音楽の違いはなんですか?
デーモン: そう、サントラではない。まず、サウンド・パレットが違う。ステージでは、エレクトロニックな音やプログラミングをたくさん使うわけにはいかない。これには2つの理由がある。まず、音的に、繊細な声やアコースティックな楽器にエレクトロニックな音をあわせるのは難しい。スタジオでは簡単にできるけどね。それにアルバムのほうは、一応、オペラのストーリーを追ってはいるものの、アルバムとして聞けるようになっているというか、演劇ではない。ボーカルも違うし、ミックスも違うし…、中身が全く違う。ただ、この一連のクリエイティブな活動を形にしたかったというか…、とても現代的なアルバムになっていると思う。今までの(アルバムの)ように、曲に続いて曲が入っているっていうのとは違う。最近のポップミュージックの解毒剤といってもいいかもしれない。
――中国の楽器を使い現地のミュージシャンと共演していますが…
デーモン:琵琶、古筝…、北京にいたときにたくさんの楽器を知ることが出来た。(地元のミュージシャンとの共演は)不思議なものだね…、言葉が一切通じないというのは。だって、周りを見ても文字がわからない。中国にいるときは本当に何もわからない状態だったんだ。周りで何が起きているのか見当がつかない。でも、だからこそ余計に周りを良く観察することにはなったけどね。
ジェイミー:まさにその通りだった(笑)。本当に何が起きているのか、見当すらつかなかった!
デーモン:全てはジェスチャーや、頭の中でつなぎあわせてやっていたんだ。北京語で会話なんて全くしなかった。いろんなところに行ったけどね。外国人でいるのを楽しんだよ。
――今作の制作にあたって、一番大変だったことは何ですか?
デーモン:僕にとっては、知的な音楽をつくることかな。なんというか、ありがちなものではなくて、独創的で知的で、真似ごとではないもの。
ジェイミー:自分がやりたかったことや、興味を持っていることをやるのは、いつだってチャレンジだと思う。ベストを尽くすという意味で、常にチャレンジだ。だからこそ面白くて、始めればどんどん先に進む。
――逆に、一番楽しかったことは何ですか?
デーモン:北京まで行って、大きな合唱団を使ったり、いろいろと実験的してみたり、旅しながら記録していった音楽だったり…、これらが全てうまく組み合わさるようにしていくプロセスそのものも素晴らしかった。
ジェイミー:北京では仕事の後、美味しい料理を食べることが出来たし、足のマッサージで一日が終わることもあった。そのまま赤ちゃんみたいにぐっすり寝ることが出来て、最高だったよ!
――1番の聴きどころを教えてください。
デーモン:さあ…、わからないなあ。
ジェイミー:最後じゃない(笑)?
デーモン:最後? だな・・・(苦笑)
ジェイミー:この作品は普通のアルバムと違って、シングルがあるわけじゃないし、全部を通して一つの作品だから、僕が思うに全部が聴きどころなんじゃないかな。全部聴かないとわからない。聴くことが一つの経験っていうか、どこかへ旅するような感覚じゃないかな。中断されずに、いいステレオで、緑茶でも飲みながら…、どこかへ行くイメージで。
――このアルバムでのライヴ活動は?
デーモン:ああ、やるつもりだよ。
――どんなパフォーマンスを計画してるのでしょう?
デーモン:さあ、まだわからないな。まあ、まずはこのアルバムを受け入れてもらえるかどうかだ。もし興味を持ってもらえれば、ライヴをやってもいいと思う。僕は、是非やりたいと思ってるけどね。パフォーマンスとしても成り立つ内容のものだから。アップビートにして、パワフルなドラムマシーンやエレクトロニックなベース音を使えば、とてもうまくいくと思う。
――初めて、アルバムを聞いたきどう思われましたか?
ジェイミー:いろんな段階でこのアルバムを聞いてきたから…
デーモン:同じビルの中で常にチームとして作業をしてきたし、全てに関して一緒にやってきたから…、ゴリラズと一緒だよ。このアルバムは僕とジェイミーと一緒に作ってるんだ。ゴリラズのレコードだといっても過言ではない。
――それではジェイミーの意見も大事だと?
デーモン:ぜ~んぜん。
ジェイミー:僕は音楽は作れない。僕はアーティストで、彼はミュージシャン。だからこそこのチームはうまくいくんだ。
デーモン:そうじゃなければ、お互いは必要ないよ。
ジェイミー:音楽のことでぶつかることは無い。僕は音楽のことは全くわからないからね。と同時に、僕はデーモンのすることをスゴク気に入っている。西遊記のような面白いストーリーに刺激を受けずにはいられないし、デーモンの作った音楽にもね。僕は彼の作った音楽を聴いて、頭の中で映画を見るようにイメージを作り上げるんだ。僕たちの西遊記をね。それでデザインや絵を描き始める。
デーモン:僕たちは本当に別のことをやってるから…。意見が合うことなんてない(笑)。
ジェイミー:(笑)
デーモン:でもホントだろ。君の頭の中から出てくるイメージは、僕が音楽を作るときにイメージしていたものと全く違う。
ジェーミー:そうそう。
デーモン:ただときどき、こうキーポイントとなるところはある。例えば最初の頃、アルバムに入れる孫悟空の声を聞かせた時に、ジェイミーはまるで50年代の台湾のテレビの司会者みたいだって言ってた。まさに僕の頭の中にあったイメージもそうだった。
ジェミー:基本的に全て同時に進めていくんだ。音楽を作って、それからビジュアルを作って、というわけじゃない。同じタイミングで、進めていく。それが最高の方法だと思うよ。本来、音楽とビジュアルは一緒であるべきなんだ。それなのに、どこかでそれが見失われちゃった。曲が出来て、それで誰かにビデオ製作を依頼して…、もちろんその人には曲の意味や、どうやって曲ができたかなんてことはわからない。最初から一緒に作ることが出来れば、結果はずっとずっといいものになるのに。
――お2人の関係をどう称しますか?
ジェイミー:ただの友達だよ。子供たちも一緒に遊ぶし、一緒に仕事もする。シンプルで、楽しい関係だ。
――ストレスもなく?
デーモン:ぜんぜん。ただ、うまくやってけるんだ。
ジェイミー:お互いすごく素直に、本音で話せるしね。スゴクいいよ。何か問題があれば、すぐに直接話し合う。それで、素早く解決する。デーモンが「ジェイミー、黙れ!」って言えば、僕は「いや、お前が黙れ!」って言い返す。それでOKだ。
――ビジュアルを制作する際、中国の画家で参考にした人はいたのですか?
ジェイミー:中国の美術の本をたくさん見たし、それに旅をしながら何千枚も写真を撮った。全部参考にした。頭の中にたくさん入ってるよ、ベースになった。
デーモン:それに僕ら、スタジオ・ジブリの大ファンなんだ。アジアの文化からは本当にいろいろと影響をうけていると思うよ。
ジェイミー:とてもビジュアル的な文化だ。
――好きな日本人のクリエイターは?
ジェイミー:まずは当然、宮崎駿だよね。彼抜きには始まらない。あとは『AKIRA』を作った人。名前は何回覚えようとしても忘れてしまうんだけど。 『AKIRA』は最高に好きなアニメのひとつだね。デーモンの言うとおり、アジアの文化にはスゴク影響を受けてる。素晴らしいと思うよ。何より、食べ物が最高だ(笑)! もう一生、それだけを食べ続けてもいいな。中華料理と日本料理、この2つを食べれるんなら、僕は本当に満足だ。
――日本のファンへメッセージをお願いします。
ジェイミー:日本のみんな、こんにちは。前回の来日からずい分時間が経ってるので、早く行きたいなって思ってる。
デーモン:今回こうやって『Monkey: Journey to the West』の話ができて、嬉しいよ。最後に日本に行ったのは、ものすごく前だ。またみんなに会うことができそうで嬉しい。
ジェイミー:西遊記を知るきっかけとなった国に行くんだ。
デーモン:つまり、僕ら流の西遊記を持って帰るってことになるな。
ジェイミー:アリガト!
アルバム『Monkey: The Journey To The West』は10月22日発売。日本語のオフィシャル・サイトbeggarsjapan.com/monkeyjourneytothewestもオープンした。オペラはこの後、UKでの再演だけでなく、日本での上演も予定されているという。奇しくも申年である2人のモンキーの旅は、まだまだ始まったばかりだ。
◆モンキー・オフィシャルサイト
Ako Suzuki, London