ポール・マッカートニーとユースのプロジェクト、新作発表
ポール・マッカートニーとユース(キリング・ジョーク、ジ・オーブ)の2人によるプロジェクト、ザ・ファイアーマンが10年ぶりになんと歌声と共に戻ってきた。ザ・ファイアーマンが初めて自分達の声を前面に打ち出しているのだ。
2008年11月24日に発売決定となったニューアルバム『Electric Arguments』は、彼らにとって初めてヴォーカルが入ったアルバムとなっている。『Electric Arguments』は彼らの3作目となる新作だが、これまでの謎めいた2人に思い描くような過去の2作のアルバムとは異なっている。
1998年に『Rushes』を発表した際に行なわれた貴重なインタヴューの中で、「ザ・ファイアーマンが描く輪はつまり虹の橋の中のアンビエントな夢なんだ」と2人は自分達の音楽について語っている。1993年に発表された彼らのデビュー作『Strawberries Oceans Ships Forest』は一貫してエレクトロニックスに重きを置いたアンビエント・ダンス・アルバムで、しかもこの頃はザ・ファイアーマンの素性は知られていなかった。2人が他でもない、あのポール・マッカートニーとユースだとメディアに暴かれるまでは。
今はなき音楽誌メロディ・メイカーは、このプロジェクトを「ポール・マッカートニーがダンス・ミュージックと出会う…その結果生まれたものは驚く程素晴らしい。ザ・ファイアーマンはひとつのメロディから、アンビエント、トランス、そしてハウスと巧みにジャンルを行き交う、息を飲む程見事な変奏曲を作り出している」と褒め称えた。
2007年、ザ・ファイアーマンは活動を再開し『Electric Arguments』の制作に取りかかった。結果生まれた作品はこれまでとは全く違うものであった。
2008年初頭、ザ・ファイアーマンは『Electric Arguments』からの新曲「LifelongPassion」を地雷撲滅基金Adopt-A-Minefieldに寄付した。この新曲がザ・ファイアーマンの方向性の転換を示した。「Lifelong Passion」は、これまでの2作のサウンドに反して、ヴォーカルの入った従来の歌に根ざした新しいサウンドだったのだ。もちろん作品の発表と同時に憶測も飛び交った。中には“アーケイド・ファイアーとレッド・ツェッペリンをかけ合わせたようなもの”との情報筋もあり、情報は錯綜した。
『Electric Arguments』の制作には1年近くの年月がかかっているが、13曲を13日でレコーディングしたという。それぞれの曲が1日という時間の中で書かれレコーディングされているのだ。どんなアルバムにするのかといった青写真や構想を全く持たずにスタジオに入り、プロジェクトがひとり歩きをする流れに身を委ねたかのようだ。結果生まれた作品はバンドのこれまでのサウンドを予想しているオーディエンスを驚かすものとなった。
アルバムの幕を開ける「Nothing Too Much Just Out Of Sight」は昔ながらのロック・ナンバーで瞬時に人の注意を惹き付けるだろう。ヘヴィーなギター・リフに、ラウドなドラム、そして荒々しいボーカル…これまでのザ・ファイアーマンのどの曲とも違う。
アコースティックが心地いい2曲目の「Two Magpies」でいきなり方向転換し、落ち着きを取り戻す。そして3曲目の「Sing The Changes」は、すぐに覚えられるメロディに高揚感たっぷりのアップビートな曲となる。続く「ElectricArguments」でもそれは継続され、ザ・ファイアーマンが今度は自分達をどこに連れていってくれるのだろうと聞き手を魅了し続ける。アルバムのどの曲も独自性に溢れていながら、お互いに打ち解けあう13曲。一方「Light From Your Lighthouse」「Sun Is Shining」「Dance 'Til We're High」などは、過去2作品のジャンルを行き交う精神を保っている。
話はシンプルだ。要するにニューアルバム『Electric Arguments』は、ポール・マッカートニーが純粋な音楽的可能性にまだまだ興味を抱いていることを見事に証明している作品となっている。レコード会社のしがらみや締め切りなどとは無縁の、完全に自由なアーティスト性と創造性から産み落とされた作品こそが『Electric Arguments』、2008年のひとつのエポックとなるだろう。
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2008年11月24日に発売決定となったニューアルバム『Electric Arguments』は、彼らにとって初めてヴォーカルが入ったアルバムとなっている。『Electric Arguments』は彼らの3作目となる新作だが、これまでの謎めいた2人に思い描くような過去の2作のアルバムとは異なっている。
1998年に『Rushes』を発表した際に行なわれた貴重なインタヴューの中で、「ザ・ファイアーマンが描く輪はつまり虹の橋の中のアンビエントな夢なんだ」と2人は自分達の音楽について語っている。1993年に発表された彼らのデビュー作『Strawberries Oceans Ships Forest』は一貫してエレクトロニックスに重きを置いたアンビエント・ダンス・アルバムで、しかもこの頃はザ・ファイアーマンの素性は知られていなかった。2人が他でもない、あのポール・マッカートニーとユースだとメディアに暴かれるまでは。
今はなき音楽誌メロディ・メイカーは、このプロジェクトを「ポール・マッカートニーがダンス・ミュージックと出会う…その結果生まれたものは驚く程素晴らしい。ザ・ファイアーマンはひとつのメロディから、アンビエント、トランス、そしてハウスと巧みにジャンルを行き交う、息を飲む程見事な変奏曲を作り出している」と褒め称えた。
▲『Electric Arguments』 |
2008年初頭、ザ・ファイアーマンは『Electric Arguments』からの新曲「LifelongPassion」を地雷撲滅基金Adopt-A-Minefieldに寄付した。この新曲がザ・ファイアーマンの方向性の転換を示した。「Lifelong Passion」は、これまでの2作のサウンドに反して、ヴォーカルの入った従来の歌に根ざした新しいサウンドだったのだ。もちろん作品の発表と同時に憶測も飛び交った。中には“アーケイド・ファイアーとレッド・ツェッペリンをかけ合わせたようなもの”との情報筋もあり、情報は錯綜した。
『Electric Arguments』の制作には1年近くの年月がかかっているが、13曲を13日でレコーディングしたという。それぞれの曲が1日という時間の中で書かれレコーディングされているのだ。どんなアルバムにするのかといった青写真や構想を全く持たずにスタジオに入り、プロジェクトがひとり歩きをする流れに身を委ねたかのようだ。結果生まれた作品はバンドのこれまでのサウンドを予想しているオーディエンスを驚かすものとなった。
アルバムの幕を開ける「Nothing Too Much Just Out Of Sight」は昔ながらのロック・ナンバーで瞬時に人の注意を惹き付けるだろう。ヘヴィーなギター・リフに、ラウドなドラム、そして荒々しいボーカル…これまでのザ・ファイアーマンのどの曲とも違う。
アコースティックが心地いい2曲目の「Two Magpies」でいきなり方向転換し、落ち着きを取り戻す。そして3曲目の「Sing The Changes」は、すぐに覚えられるメロディに高揚感たっぷりのアップビートな曲となる。続く「ElectricArguments」でもそれは継続され、ザ・ファイアーマンが今度は自分達をどこに連れていってくれるのだろうと聞き手を魅了し続ける。アルバムのどの曲も独自性に溢れていながら、お互いに打ち解けあう13曲。一方「Light From Your Lighthouse」「Sun Is Shining」「Dance 'Til We're High」などは、過去2作品のジャンルを行き交う精神を保っている。
話はシンプルだ。要するにニューアルバム『Electric Arguments』は、ポール・マッカートニーが純粋な音楽的可能性にまだまだ興味を抱いていることを見事に証明している作品となっている。レコード会社のしがらみや締め切りなどとは無縁の、完全に自由なアーティスト性と創造性から産み落とされた作品こそが『Electric Arguments』、2008年のひとつのエポックとなるだろう。
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