ジョセフ・ウィリアムズ インタビュー

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ジョセフ・ウィリアムズ インタビュー Part.3




――このピアノとヴォーカルというスタイルは、今後の作品でも続けていく予定ですか?

ジョセフ:世の中にはカヴァーしたい曲が山のようにある。今回は24曲だったけど、軽くあと20枚は作れるくらいあるよ(笑)。でもずっとこのスタイルでやるというわけじゃないんだ。このスタイルは長い期間かけたシリーズみたいにやっていくんじゃないかな。次のアルバムはこのスタイルじゃないけど、またいつかやりたくなるはずだからね。

――TOTOについても少しお伺いします。改めて、TOTOに参加することになったきっかけを教えてください。

ジョセフ:ポーカロ一家とは小さい頃からの知り合いなんだ。父とジョー・ポーカロも知り合いだったし、兄はルークやジョン・ピアスなんかとバンドをやっていて、地元の幼なじみみたいな関係でずっと仲がよかったんだ。TOTOが結成されてからは、僕は一人のファンとしてよくライヴを見に行っていたよ。その後、TOTOのヴォーカリストがいなくなった頃に、ちょっとスタジオに遊びに来ないかって誘われてね。そのとき彼らが真剣にシンガーを探してるなんて知らなかったんで、“Gonna take a lot to...”(裏声で「Africa」を歌い始める)なんてボビーのマネをして遊んでたんだ(笑)。後で聞いたところによると、シカゴのジェイソン・シェフが、“ジョセフを誘ってみろよ”ってメンバーに薦めてくれてたらしいんだ。後日、一緒にやろうってジェフから誘われたから、すぐにOKしたよ。ずっとよく知ってた仲間だったから、スムースに参加することができたね。

――TOTOの音楽とあなたの音楽は接点も多かったと思いますが、違う部分もありましたか?

ジョセフ:もともと僕の持っていた曲やアイデアは、TOTOの音楽に近かったんだ。そういうアイデアを持っている部分も含めて、彼らは僕を参加させたんじゃないかな。一人のファンとして、TOTOがこうしたらいいんじゃないかという第三者的なアドバイスもできたから、その点は喜んでもらってたよ。TOTOってポップでロックだけど、すごくクラシカルな部分もある。だから僕の音楽とはかなり重なっていたね。

――参加した2枚のアルバムではあなたもたくさん曲を書いていたし、その時期TOTOの人気も再び高まっていった。好調に見えていたのに、なぜバンドを離れることになったんですか?

ジョセフ:理由になりそうなことはいくつもあるけど、それが色々と重なったんだ。スタジオは楽しかったよ。何の問題もなかった。でもライヴは毎晩3時間以上だし、歴代の素晴らしいシンガーの曲も歌わなきゃならない。僕の歌だけじゃなく初期のボビーの歌も、『アイソレーション』のファーギーの曲だってね。それにTOTOは素晴らしいプレイヤーたちのバンドだから、みんなプレイに集中したくてフロントマンに色々なことをやらせたがるんだ。そうなると負担が増えて喉も傷めるし、毎晩ベストを尽くすのは難しくなる。それは彼らにとってもマイナスだし、そういう悪循環でバンドを離れなきゃならなくなってしまったんだ。今だったら別の解決方法があると思うんだけど、当時は若かったからね。

――TOTOでは名ドラマーのジェフ・ポーカロとも共演しましたが、彼はあなたにとってどんな存在でしたか?

ジョセフ:ああ、ジェフが亡くなったのは本当に残念だ。彼は僕にとって兄貴みたいな存在だったんだよ。彼とデヴィッド・ペイチがいたから色々なことが始まったし、僕にはいい思い出もたくさんある。ジェフはセッションドラマーとして、すべての人間が第一希望に挙げるプレイヤーだったよね。それは人柄が素晴らしかったからなんだと思うよ。もちろんプレイがすごいのは言うまでもない。TOTOのレコーディングでも彼はいつもパーフェクトだったし、彼がプレイしていたからバンドが成立していたんだ。それにユーモアのセンスも抜群だったし、絵を描く才能も優れていて、とにかく偉大な芸術家だったな。僕がバンドを離れた後もいつも気にかけてくれて、なにかと世話をしてくれたんだ。彼のプレイに影響を受けたドラマーは世界中にたくさんいるし、亡くなったのは世界的にあまりに大きな損失だよ。

――では最後に今後について。次のアルバムの予定は決まってますか?

ジョセフ:ああ、今ちょうど次のソロアルバムを作ってるところだよ。今度はがらっと変わって、もっとエネルギッシュなロックアルバムさ。スティーヴ・ルカサーとかスティーヴ・ポーカロ、デヴィッド・ペイチなんかも参加してて、TOTOに近いスタイルのサウンドになるね。半分以上はもうできてるんだ。今年中に出したいね。

――そうしたらまた日本に来てくれますか?

ジョセフ:もちろんそのつもりさ。アルバムが完成したらライヴをしに来たいと思ってるよ。

●取材・文●田澤 仁

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