ヴェルヴェット・リヴォルヴァー『リベルタド』への道(1)
2004年6月発表の『コントラバンド』以来約3年ぶりとなるヴェルヴェット・リヴォルヴァーの第2作、『リベルタド(LIBERTAD=スペイン語で“自由”の意)』が6月27日、日本先行リリースされる。
まさに今、発売日まで1ヵ月を切った状況にあるわけだが、ここでは彼らがこれまで歩んできた道のりを、筆者が過去3年間に彼らとの接触のなかで拾ってきた肉声やエピソードとともに振り返りつつ、さまざまな局面から2007年最強のロックンロール・アルバムというべき『リベルタド』のメカニズムを解き明かしていきたいと思う。
まず第1回の今回は、『コントラバンド』発表以前の話から。
僕が“ヴェルヴェット・リヴォルヴァーとしての”彼らに初遭遇したのは2004年1月20日のこと。もちろん各メンバーと対峙したことはそれ以前にも多々あったが、この5人が同じ場所に居合わせる図を目撃したのは、その日が初めてだった。場所はサンセット・ストリップにある『RAINBOW BAR&GRILL』。当時、完成間近な状態にあった『コントラバンド』の試聴会がそこのVIPルームで行なわれたのだ。『ROXY』や『WHISKEY』といった由緒正しいクラブとも近いこのレストランは、ロック・ミュージシャン御用達の店としても知られ、なかでもモーターヘッドのレミーは超常連。僕自身もレミーやオジー・オズボーンと店内で出くわしたことがある。
試聴会(というかパーティー)は、メンバー自身が1曲ずつ紹介/解説しながら爆音で鳴らす、という形式で行なわれ、5人は別室に閉じこもるわけでもボディガードに脇を固められるわけでもなく、フロアにひしめく所属レコード会社の各国担当者や僕のようなプレスの人間と談笑する、という実になごやかな雰囲気のものだった。ただしほとんどの関係者たちはピザをつまみにビールを呑んでいるものの、メンバーたちは基本的にノン・アルコールという不思議(だけれどもある意味いまどきありがち)な光景ではあったが。
パーティー中に音源が披露されたのは、『コントラバンド』収録曲のうち8曲。すべてを聴き終えたところでメンバーたちと話をしたところ、ダフ・マッケイガンは「レコーディング作業そのものは基本的に終わっている。今の世の中にとって“受け入れられる音”であるはずだと思う」と語り、デイヴ・クシュナーは「レコーディング自体が楽しかった。これから先、いろんな意味で忙しくなるのが楽しみだ」と笑顔を見せていた。さらにスラッシュは、こんなふうに語っていた。
「アルバムってものは、ひとつ完成した時点で完結するものであって、そのあとで何かと比べたりするべきものじゃないと思う。たとえば『アペタイト・フォー・ディストラクション』については今も当然ながら誇りに思ってるけど、それ以降、自分が関わってきた作品はどれも自分なりにその時点でのベストだったと思ってるし、常に、ひとつ前の作品を超えてきたって思ってる。でも、このアルバムに満足してるってこと自体は間違いないよ。今はとにかく、ツアーがしたくてたまらないね」
そしてマット・ソーラムに「今年の“ALBUM OF THE YEAR”はこれで決まりですね!」と告げると、彼は笑いながら「“ALBUM OF THE DECADE”の間違いだろ!」と返答。こちらが「これから先の10年、次のアルバムを作らないって意味じゃないですよね?」と切り返すと、さらに大爆笑していた。
そして実際、確かに3年間という時間経過は短くはなかったけれども、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーは確実に約束を守ってくれたわけである。ただし、上記のマットの発言には、結果、ひとつの訂正を加えなければならなくなった。『コントラバンド』は残念ながら“ALBUM OF THE DECADE”にはなり得ない。なにしろそれを上回る強力作、『リベルタド』を彼ら自身が作りあげてしまったのだから。
次回はこのパーティーの翌日に行なわれた“ヴェルヴェット・リヴォルヴァー:公式第一声”ともいうべきインタビューの模様を振り返りつつ、最新情報もあわせてお届けする予定だ。また、ごく近いうちにこの場所でお会いしましょう。
文●増田勇一
まさに今、発売日まで1ヵ月を切った状況にあるわけだが、ここでは彼らがこれまで歩んできた道のりを、筆者が過去3年間に彼らとの接触のなかで拾ってきた肉声やエピソードとともに振り返りつつ、さまざまな局面から2007年最強のロックンロール・アルバムというべき『リベルタド』のメカニズムを解き明かしていきたいと思う。
まず第1回の今回は、『コントラバンド』発表以前の話から。
僕が“ヴェルヴェット・リヴォルヴァーとしての”彼らに初遭遇したのは2004年1月20日のこと。もちろん各メンバーと対峙したことはそれ以前にも多々あったが、この5人が同じ場所に居合わせる図を目撃したのは、その日が初めてだった。場所はサンセット・ストリップにある『RAINBOW BAR&GRILL』。当時、完成間近な状態にあった『コントラバンド』の試聴会がそこのVIPルームで行なわれたのだ。『ROXY』や『WHISKEY』といった由緒正しいクラブとも近いこのレストランは、ロック・ミュージシャン御用達の店としても知られ、なかでもモーターヘッドのレミーは超常連。僕自身もレミーやオジー・オズボーンと店内で出くわしたことがある。
試聴会(というかパーティー)は、メンバー自身が1曲ずつ紹介/解説しながら爆音で鳴らす、という形式で行なわれ、5人は別室に閉じこもるわけでもボディガードに脇を固められるわけでもなく、フロアにひしめく所属レコード会社の各国担当者や僕のようなプレスの人間と談笑する、という実になごやかな雰囲気のものだった。ただしほとんどの関係者たちはピザをつまみにビールを呑んでいるものの、メンバーたちは基本的にノン・アルコールという不思議(だけれどもある意味いまどきありがち)な光景ではあったが。
パーティー中に音源が披露されたのは、『コントラバンド』収録曲のうち8曲。すべてを聴き終えたところでメンバーたちと話をしたところ、ダフ・マッケイガンは「レコーディング作業そのものは基本的に終わっている。今の世の中にとって“受け入れられる音”であるはずだと思う」と語り、デイヴ・クシュナーは「レコーディング自体が楽しかった。これから先、いろんな意味で忙しくなるのが楽しみだ」と笑顔を見せていた。さらにスラッシュは、こんなふうに語っていた。
「アルバムってものは、ひとつ完成した時点で完結するものであって、そのあとで何かと比べたりするべきものじゃないと思う。たとえば『アペタイト・フォー・ディストラクション』については今も当然ながら誇りに思ってるけど、それ以降、自分が関わってきた作品はどれも自分なりにその時点でのベストだったと思ってるし、常に、ひとつ前の作品を超えてきたって思ってる。でも、このアルバムに満足してるってこと自体は間違いないよ。今はとにかく、ツアーがしたくてたまらないね」
そしてマット・ソーラムに「今年の“ALBUM OF THE YEAR”はこれで決まりですね!」と告げると、彼は笑いながら「“ALBUM OF THE DECADE”の間違いだろ!」と返答。こちらが「これから先の10年、次のアルバムを作らないって意味じゃないですよね?」と切り返すと、さらに大爆笑していた。
そして実際、確かに3年間という時間経過は短くはなかったけれども、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーは確実に約束を守ってくれたわけである。ただし、上記のマットの発言には、結果、ひとつの訂正を加えなければならなくなった。『コントラバンド』は残念ながら“ALBUM OF THE DECADE”にはなり得ない。なにしろそれを上回る強力作、『リベルタド』を彼ら自身が作りあげてしまったのだから。
次回はこのパーティーの翌日に行なわれた“ヴェルヴェット・リヴォルヴァー:公式第一声”ともいうべきインタビューの模様を振り返りつつ、最新情報もあわせてお届けする予定だ。また、ごく近いうちにこの場所でお会いしましょう。
文●増田勇一
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