コールドプレイ、初ジャパン・ツアー最終日、武道館公演をレポ!

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意外なことに、コールドプレイはこれが初の本格的なジャパン・ツアー。今や世界で有数の観客動員数を誇るバンドとしては意外な事実だが、それだけ日本で彼らへの注目が遅かったというのも残念ながら事実。だが、2度に渡るフジロックでの圧倒的なパフォーマンスが効いたのか、今では彼らもここ日本で武道館2公演を完売させるほどのアクトになっている。そして会場にはなんと、クリス・マーティンの妻にしてハリウッド屈指の人気女優グウィネス・パルトローが娘アップルちゃんを抱いて観客席に着席! 開演前から会場はその事実だけで十分にホットだった。

「ビートルズが演奏した伝説の地」に敬意を評してか、オープニングのBGはビートルズの「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」。なかなか気の効いた演出だが、やはり詰め掛けた観衆は、ステージの背後にある乱反射する光のボードが万華鏡のように光り、そこにコールドプレイの4人が立った時に一気に沸き立った! ツアー最終公演のため疲れがあったのか、クリスの声はいつも以上に裏返り気味だった。しかし、深い低音とファルセットの組み合わせは相変わらず唯一無二。それを支える演奏も、一聴するとマイルドなようで案外骨太で、神秘的かつドラマティック。この“稀代の声”と“スケールの大きさ”、そして“シンプルな親しみやすさ”の融合こそ、彼らをここまで大きくした理由なんだということをのっけから理解させられた。

そんな彼らを後ろから鮮やかに照らし出す光線による艶やかな演出は、アリーナ・バンドに成長しながらも俗っぽい平凡さに陥らず、アートな雰囲気を保ったまま自然と大きくなったことをうかがわせて痛快だ。演奏曲目的には3曲目に早くも一番人気の代表曲「イエロー」でいきなり山場。普通のバンドなら明らかに早すぎるこの展開も、このバンドの持つ説得力のある名曲の多さと、クリスによる敷き居の高さゼロの和やかなMC展開によって飽きることなく持って行かれる。「スピード・オブ・サウンド」「サイエンティスト」「トラブル」「クロックス」……、そして「イン・マイ・プレイス」に「フィックス・ユー」……。選曲的にも一般ファンが望むものとして抜けがない。

どう考えても、とりたてて欠点のない素晴らしいライヴ。文句はつけようがない。だから、唯一注文があるとすれば、その全てにおいて優等生過ぎるところぐらいか。もっとコア・ファンだからこそ聴いてみたいと思うような、アグレッシヴだったり静かだったりするアルバム収録曲をライヴでもトライできるようになると、オープニングどころかエンディングBGまでリンゴ・スターのヴォーカルで知られる「グッド・ナイト」を流すことで敬意を示した、偉大なる英国の先輩バンドの大きさにより近付けるのではないか。そして、その先を武道館を超えた場所で次にぜひ見てみたいとも思った。

取材・文●沢田太陽

COLDPLAY
<Twisted Logic Tour 2006>
2006.7.19 日本武道館

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TIL KINGDOM COME
TROUBLE
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【ENCORE】
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