■学生服で登場した異色ユニットHIS。 ハイサイ!南国育ちのBEGINも熱唱
| ▲HIS | GO!GO! 7188が本ステージ前に設置された演奏スペースに登場し、「Let’s GO(IKOHZE)」「浮舟」「芸術家」の3曲を演奏したあと、再びスポットは中央の小ステージに戻る。仲良く手を繋いで登場したのは、忌野清志郎、坂本冬美、細野晴臣による異色ユニット、HISだ。なんと全員、学生服を着ている。セーラー服を着た坂本冬美がこぶしを効かせながら「パープル・へイズ音頭」、「Oh!My Love」を歌い上げていく。「Pom Pom 蒸気」では細野がヴォーカルを務め、渋い歌声を聴かせてくれた。お互い学生服に照れているのか、それとも気持ちまで学生に戻ってしまったのか、MCではどことなく気恥ずかしい空気の3人だったが、最後はやはり3人手を繋いでステージを去った。
| ▲矢野顕子 | 斉藤和義は清志郎の「雪どけ」のカヴァーと自曲「歌うたいのバラッド」を熱演。その後に矢野顕子が披露した息を呑むほどの素晴らしいピアノ演奏では、会場全体が彼女に釘付け。清志郎と歌った「ひとつだけ」は、大切なものについて語った歌詞が心に響く楽曲。大御所の貫禄たっぷりのステージを見せてくれた。そしてステージに暑い南国の雰囲気を漂わせたBEGINは、ヒット曲「恋しくて」を含む全3曲を披露。清志郎もかりゆしウェアにウクレレを持って登場し、BEGINとのセッションを楽しんだ。
再び忌野清志郎&NMwNBDHが登場すると、清志郎が「みんな、愛し合ってるか~い?」と叫び、粉雪が降る中「明日なき世界」をしっとりと歌う。今度は清志郎のステージに乱入した中村獅童は、黒の革ジャンにゼブラ柄のパンツ、髪の毛はトサカのようにおっ立てている。清志郎と一緒に「キモちE」を大暴れで歌うと、嵐のように去っていった。ラストの「JUMP」では会場に色とりどりの巨大風船が舞い、大盛り上がりのうちに本編は終了した。
■アメママンの叫び声が響き渡る、ラストステージは笑いの渦
| ▲仲井戸麗市(左) | アンコールでは“CHABO”こと仲井戸麗市が登場し、清志郎と「いい事ばかりはありゃしない」など3曲を演奏。RCサクセション(1968~91年に活動したバンド)を一躍日本ロック界のスターダムにのしあげた二人は、息のピッタリ合ったステージを展開。お互いが何も言わなくても分かりあっているという空気が、観ている人間にも伝わってくる。会場からは「CHABO~!」と呼ぶ声が頻繁に聞こえてきた。
そして清志郎が本日集まったゲストたちを一人ずつ呼び込み、出演者全員がぞくぞくとステージに現われる。ここでも衣装変えをしてきた獅童に、清志郎が「俺より目立つな!」と一喝。そして大西ユカリも登場し、ゲスト全員で「ナニワサリバンショーのテーマ」「上を向いて歩こう」を歌い、盛り上がりはMAXになったところで、「雨上がりの夜空に」を全員で熱唱! すると突然どこからか、「ア~メ~マ~」という叫び声が響き渡る。一瞬の沈黙の後、突然アメママンの格好をした間寛平が登場し、出演者全員ステージ上でズッコケ! これでもかと大げさにズッコケるグループ魂のメンバーに、「リアクションでかすぎや~」と寛平ちゃん。会場は笑いの渦に包まれた。
最後に清志郎と仲井戸麗市の二人だけがステージに残り、しっぽり落ち着いた雰囲気で「夜の散歩をしないかね」を演奏。さっきまで騒々しかったステージから一転、星が降り注ぐような雰囲気となる。手を振りながらステージを去る二人に、盛大な拍手が贈られた。
4時間半にもおよんだスーパーライヴ・イベントは、始終笑いの絶えない愉快な雰囲気のまま、終了した。
最後はRCサクセション時代の仲間である仲井戸麗市と一緒に締めるなど、今回のイベントは「友情」が色濃いテーマだったよう感じた。ほとんどのステージに顔を出し、汗だくになって全力で盛り上げていた清志郎と、演奏と笑顔でそれに応えるアーティストたちの間には、形だけではない、真の愛情や友情といったものがちゃんとあるのだ。グループ魂の阿部が警備員に向かって「こんな世の中だから、今更何が起こってもおかしくない! だからお前たちも(よそ見をせず)ステージを見ておけ!」と言っていた。自分達のステージを観ることで、そういった目には見えない大切なものを感じて欲しいという清志郎の思いは、出演者にも観客にも伝わっていたに違いない。
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撮影:阪口久男(忌野清志郎、ハナレグミ、山下久美子、中村獅童、仲井戸麗市) 田浦 薫(グループ魂、HIS、矢野顕子、ラストセッション) |