メリー、独特の世界観溢れる2daysツアー

4月18日にオリエンタル・テイストたっぷりのニュー・シングル「Blind Romance/最果てのパレード」をリリースし、5月から同作を引っさげての東名阪2デイズ・ツアー<オリエンタル サーカス>を行なったメリー。ヴォーカルのガラによる奇抜なパフォーマンスが毎回話題となる彼らだけに、“サーカス”と称した今回のライヴがどのようなものになるのか、さっそくツアー初日となった5月3日の渋谷C.C.Lemonホール公演に足を運び、彼らのライヴに初参戦してきた。(メンバー全員のライヴ写真はこちら)
個性的なファッションできめた10代~20代前半のファンから、大人のお姉さん系までの幅広いファンで埋め尽くされた会場は、友達と会話をしながら比較的静かに開演を待っている人もいれば、後ろのほうの友達に手を振って盛り上がっている子など、さまざま。ライヴは男の子のかわいい声のナレーションで、幕を開けた。
ライヴが始まってまず目を奪われたのは、ステージ・セットの賑やかさ。ドラムセットの後ろには大きな赤い鳥居が立てられ、その両脇には象とピンクの熊(もちろんハリボテ)、さらにシャチホコや屏風、トランポリンに一輪車などが、ところ狭しとステージを埋め尽くしている。<オリエンタル サーカス>と銘打っているだけあって、確かに和のテイストとサーカスが交ざった装飾だ。
一大サーカスの始まりにピッタリな「PEEP SHOW」でスタートしたライヴは、「Blind Romance」「センチメンタル・ニューポップ」と続き、メンバーは力強い演奏でオーディエンスを圧倒していく。特に、パワフルな音を響かせるネロのドラムが印象的だ。突き抜けるような大きな音と、アグレッシブにドラムを叩くネロの姿は、非常に存在感があり、惹きつけられた。(■「Blind Romance」PV視聴)

そしてヴォーカルのガラは、歌いながらバランスボールの上に乗ったり、トランポリンで跳ねたり、倒れこんだりと、狂気じみた動きでオーディエンスの目を惹き付ける。ライヴ中は、歌う以外に声を出さないという彼は、この日もMCはネロにまかせて、終始自由奔放に動き回っていた。
ライヴ前半は、客席で激しいヘッドバンギングや“咲く”行為が起こらなかったため、メリーのファンは比較的おとなしいのかと思ったが、「溺愛の水槽」「迷彩ノ紳士」とライヴが進むにつれ、振動を感じるほど、オーディエンスも激しく体を揺らして熱狂。アルバム『Peep Show』や『nuケミカルレトリック』からの楽曲のほか、インディーズ時代の楽曲もふんだんに取り入れたセットリストと、独特の世界観が存分に楽しめるライヴに、ファンも大満足なようだった。
ライヴ中盤に行なわれたドラムソロでは、ドラムセットの前に吊るされた障子に、チョンマゲ頭のネロが刀型のスティックでドラムを叩く姿や、ウサギ耳を付けてパワフルなドラミングをする姿などがシルエットで次々と浮かび上がり、そのコミカルな演出に会場は笑いの渦に包まれた。

そんな強烈な存在感を示すガラとネロを支えるかのように、ベースのテツが安定したリズムを刻み、ギターの結生と健一がメロディを奏でる。細かくてタイトな彼らの演奏は、心地よい緊迫感があり、ライヴを引き締めていた。ガラの自由奔放なパフォーマンスは、信頼できるメンバーがいるからこそできるものなのだろう。MCでネロが“今日しかできないライヴをやりましょう”と言っていたとおり、本編ラストの「オリエンタルBLサーカス」まで、まさに同じものは二度と観られない、彼らならではの<オリエンタル サーカス>なライヴをみせてくれた。
そしてアンコールで演奏された「最果てのパレード」では、ファンが持参したかざぐるまを手に持って、会場を華やかに彩るという粋な演出で、メンバーを喜ばせた。また、ネロの口から、今年も8月12日に<MERRY SONIC 07 -RETROCK FESTIVAL->を開催することが発表され、会場がさらに熱気を帯びる中、ラストは「妄想rendez-vous」で締めくくった。(■「最果てのパレード」PV視聴)
ツアー初日にして演出も内容も非常に濃いものとなったこの日は、最初から最後までメンバーもファンも全身全霊で駆け抜ける、気持ちの良いライヴとなった。







