――まずはみなさんの生い立ちから。どんな子供でした?
 ▲ふしぎ |
NORIO(Vo&G): すごく元気でわんぱくで……。俺は記憶ないんですけど、母親に聞くと、隣近所の玄関に勝手に入って靴を取って裏の川に捨ててたらしいです(笑)。
Junya(B): うちは親父の仕事の関係で三年おきぐらいで引越しがあったんで、友達とも深く付き合わない差し障りのない関係を……。俺、双子なんで転校した先でも「似てるーっ!」とか、いろいろちょっかいかけられて。
――ふしぎさんは?
ふしぎ(G): 普通ですね。…何にもないです。
――一番古い記憶って何ですか?
ふしぎ: …………………。
NORIO: 長ぇな(笑)。
ふしぎ: …………。あんまり面白くないですよ(微笑)。3歳ぐらいの頃に住んでた家。・・・・・・それだけ。
――じゃあ子供の頃のフェイバリットな遊びは?
 ▲Junya |
ふしぎ: 焚き火。・・・・・・あと花火。
――そんな少年が何故にギターを手に取るに至ったんでしょう?
ふしぎ: 友達がギターをやってて、教えてもらったんですよ、弾き方を。そしたら自分も欲しくなって。それからですね。
Junya: それいくつぐらい?
ふしぎ: 中学・・・15ぐらいだと思うけど。
NORIO: 俺もふしぎと同じで、友達がギター持ってたんでそれをカッコイイなと思って。エレキギターの音って、中学のときに初めて聴いてすごく衝撃で。それで最初にやったバンドにベースがいなかったから「お前ベース」って言われて。俺はもうバンドをやれればいいから、ベースをお年玉で買って。その当時ね、とにかくギターケース持って歩くだけでカッコ良いと思ってたんですよ(笑)。
――(笑)そんな各々の少年時代を経てDutch Training結成に至り……。
Junya: 町自体(編集部註:秋田県出身)が小っちゃいんで、演れるハコもすごい限られてるし、バンドも少ないからいつも同じ顔ぶれで。それで顔見知りになって。俺とNORIOは同じレコード屋でバイトしてたり、ジャンルもバンドも違ってたけど高校のときぐらいから一緒のイベントにも出てたし。
NORIO: たまたまそれぞれのバンドの解散が一緒の時期で。Junyaはそのときに打ち込みにハマッてて、ふしぎは打ち込みのバンドをちょっとやってたから。
――ドラムレスっていう形態には抵抗なかったですか?
NORIO: うん。そのときから曲作りは、サンプリングしてきたネタをループで流して構成を作るっていう方法だったので。
――ライヴはどうしてたんですか?
NORIO: 正式メンバーとしてドラムを入れようとはあんまり考えなくて、サポートで頼んでました。秋田でもそんなにライヴをたくさんやってたわけではないし、それよりは曲を作ってる方が楽しかったんですよ。
 ▲NORIO
|
Junya: わりといろんなバンドに参加していたので頼めばやってくれる人もいたし、必要なときに不自由することもなかったんです。それにフットワークが軽い方が面白いと思ってたし。一人一人の持ち味ってあるじゃないですか? すごいギターが巧いだとか歌が巧いだとか。で、じゃあ、その人たちとやったら面白いかなっていうのが出発点で。だから“デビュー目指して頑張ろうぜ!”っていう感じではなかったんだけど、腕試しのつもりで送ったデモテープが反応良くて。
―― “東京に来ないか”という話が来て。迷いはなかったですか?
NORIO: 俺は単純にプロになりたかったから迷わなかったですね。でもこの二人は・・・、クールなんで。
Junya: こういうチャンスってそうあるものでもないだろうとは思ったけど、好きなことを仕事にするのは大変だろうなと。
ふしぎ: インディーだったら好きなことだけでいいけど、仕事となったら・・・・・・。でも普通に働くよりはいいかなという。
Junya: 俺とふしぎは高校を出てないので、そんな人がプロになってCD出せちゃったらすごいじゃないですか? バイトしながら音楽やってたときには「恥ずかしいから家から出ないで」とか言ってた親も大喜び(笑)。
ふしぎ: デビューするっていうのは、たぶん・・・親的には・・・就職気分。
NORIO、Junya: わはははははははっ。
Junya: その当時は今言ったみたいなくだらないことで悩んでましたけど、今は単純に、楽しいです。
NORIO: 昔だったら、バイトしてる時間に曲書きたいとかあったけど、実際プロとして活動するようになって、いろんなことを考えるようになりましたよね。考えることが増えたことで悩むこともあるけど、でも楽しいですよ。
――音作りとライヴのウェイトは変わりましたか? ライヴを意識した音作りをするようになったとか。
NORIO: 最初の頃はその辺の境目みたいなものがわからなかったんですけど、曲を作るときの考え方もだいぶ変わってきましたね。
Junya: 昔は“音を作る”っていうところだけで考えてたんですけど、今はそれをライヴでやろうと思って作ってるんで。今更なんですけど、音を作ってライヴをやってそこで何かを感じてフィードバックしていくことがすごい嬉しいっていうか、実感できてます。
――お客さんとのギヴ&テイクな感じとか?
Junya: それもありますし、その空間に流れる空気感。曲を作ってるときに自分が想像してた音の流れ方とは違うこともあるので、その辺を踏まえて曲を作れるようになってきました。
――メンバー3人ともがメロディ・メーカーであることもメリットですよね。
NORIO: 今まではJunyaと俺が書いてたんですけど、ふしぎが持ってくる曲は新鮮だし面白い! 突き抜けてるっていうか、俺にはないところですよね。
――最近になって曲を出すようになったのはなぜですか?
ふしぎ: 二人がいいメロディの曲を作れるから、別に俺が作らなくてもいいかな、と思ってたんですけど・・・最近・・・自分でも・・・・・・簡単に言うと、作りたくなった。
Junya: だいぶ端折ったな(笑)。彼(ふしぎ)はこういう人なんであんまり言葉で巧く説明できないんですけど(笑)、最近になって、メロディなりサウンドなり、自分の出したい音のイメージが分かってきて、だったら自分で作ろうっていうふうになったらしくて。
――なるほど。3人の個性がハッキリ出てるところも『flow』(1stアルバム/”00.3.23発売)の聴き所だと思いました。
Junya: (黙って頷く)
――さて、マンスリー・ライヴ<三段仕込み>も次回でラストとなりますが、第1段目は未発表曲を多めにやり、第2段目は『flow』を中心にと来て、第3回目の構想は?
NORIO: 最近新曲も作ってるし、新曲はライヴでやりたいし、新しい曲をいっぱいやると思いますよ。あとはやっぱり、お客さんの“あの曲聴きたい”っていうのもあるだろうし。楽しみにしてもらえる最後だと思います。三段締め!
Junya: 次に繋がるような感じで終われればいいなと思います。
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