【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.146「この春注目のニューリリース紹介」

5月になったというのになかなか暖かくならないフィンランドですが、もうすぐやってくる夏のホリディシーズンを前にして、今ちょうどニューリリースラッシュ!その中からいくつかを紹介したいと思います。

THE RASMUS

Pic:Venla Shalin
2003年シングル「In the Shadows」の大ヒットで一躍人気が爆発したThe Rasmusですが、近年目立った活動があまりなかったところ2022年初めギタリストのパウリ・ランタサルミが脱退を発表。そのあとに昔大人気だったTiktakという女性ロックバンドで活躍していたエンップことエミリア・スホネンが新ギタリストで加入。その年ユーロビジョン・フィンランド代表を決めるコンテストで優勝し出場。ファイナルに進出できたものの結果は21位。同年秋に10作目となるアルバム「Rise」リリース。
その後昨年秋にニューシングル「Rest in Pieces」をリリース。なんとサウンドが一新してちょっと今風にヘヴィでニューメタルっぽさを感じるものの、昔ながらのキャッチャーなThe Rasmus節健在!今年3月末にリリースになったこの曲「Creatures of Chaos」は”自分の居場所がどこにもないみんなへの賛歌だ”とのことで、今までよりサウンドがヘヴィなものの、どこを切ってもThe Rasmusに聴こえるのでぜひ聴いてみてほしい。この後5月16日にリリースされる「Break These Chains」にはBlind Channelのニコ・モイラネンがFeat.しているのでリリースになったらそちらもぜひチェックを。
バンドはただいま北米ツアー中で、夏にはウクライナで開催されるチャリティのAtlas festivalにヘッドライナー出演。秋にはフィンランドとヨーロッパツアーが予定されていて、ヘルシンキのTavastia公演はソールドアウトで追加公演が発表になり、今も根強い人気を維持していてニューアルバムが楽しみだ。
BLOCK OF FLATS

昨年この連載vol.136でインタビュー記事が掲載になったので覚えてるかな?メンバーにジブリファンがいて、ギタリストのイェッセは5年間寿司職人をしてたことがあるという2013年にポルヴォ―で結成された4人組オルタナティヴ・ロック/メタルバンドBlock Of Flatsからニューシングル「Lifeline」がリリースになった。
「”Lifeline”は鬱と闘い、心の中で葛藤する人々を描いた深くエモーショナルでダークな曲だ。”lifeline fading(ライフラインが消えていく)”という表現は、時間と希望が尽きかけているように感じていることを示唆している。
「Every time I said that I’m fine, I was just trying to survive(俺は大丈夫だっていうたび、俺はただ生き残ろうとしていただけだ)」という歌詞は、人々がしばしば自分の苦しみを隠し、実際は大丈夫ではないのに大丈夫なふりをしてしまう様子を反映している。
この曲は闇と闘ってきたリスナーの心に深く響き孤独感を和らげてくれ、愛する人たち、そして苦しみを表にだしてない人達を気遣うことが大切だってことを思い出させてくれるだろう。」とバンドは語っている。
今年の秋にはThe Rasmusのサポートでヨーロッパツアーが予定されている。個人的に今後に注目しているバンドの一つで2023年秋にリリースになったデビューアルバム『No Hope For The Hopeless』に続くセカンドアルバムが楽しみだ。
MTVKID

ヘルシンキ出身の3ピースのオルタナティブ・ポップ・ロックバンドMTVKIDからニューシングル「Dying Fast」がリリースになった。ライブで演奏しても聴いても最高に楽しく頭から離れない最高にキャッチーな曲を作りたいという思いから結成されたそうだ。90年代と2000年代のロックにインスパイアされたシンプルな楽曲、力強いインストゥルメンタル、そしてキャッチーなメロディー。無駄なものは一切省き、音楽をシンプルに、複雑になりすぎないように、そして、とにかく素晴らしい曲だからこそ、他に何も加える必要がない、そんな曲を届けることを目指しているとのことで、サウンドはアメリカンな感じがありアメリカンロックお好きな方には特にお勧め。
4月25日にセルフタイトルのデビューアルバムもリリースになったので、アルバムも合わせてぜひ聴いてみてほしい。
THE HOLY ONES

pic : Chonticha Sangprakhon
2016年に結成され、2019年にセルフタイトルのデビューアルバムをリリース!翌年アンディ・マッコイのサポートでフィンランドツアーという経歴をもつThe Holy Ones からニューシングル「Revolution Now!」がリリースになった。
「曲のタイトルが示すように、俺たちは世界の闇に立ち向かうバリケードの上に立っている。この世界にもっと太陽とジョン・レノンを。善が悪に打ち勝ち、愛の革命を起こす。それがこの曲のすべてだ。もし革命の時があるとしたら、それは今だ!」とのこと。
昨年リリースになった2曲のシングル「In The Meantime…」と「Money」は フィンランドの他、オーストラリアやアメリカのインディペンデント・ラジオでオンエアーされSpotifyの再生回数は10万回以上に及ぶそうだ。
ギタリストのヤパンデルスはPrivate Lineの元ギタリスト、ジャックの名でも知られる。
HONEY HELLRAISER

ここの地元バンドHoney Hellraiser からひさびさにニューシングルが出て聴いてみたらこれがなかなかいい!バンドの発表によると「無礼で生意気なストリートロックトリオ Hnoney Hellraiserが長い沈黙を破りニュー シングル「MOJO」でカムバックした。この曲はHnoney Hellraiserのサウンドがこれまでも、現在も、そしてこれから先もずっとそうあり続けるであろうすべてを凝縮している。キャッチーなコーラス、アップビートなリフ、決まり文句を恐れない自虐的な皮肉が効いた歌詞はリスナーの感情を何らかの形で揺さぶるに違いない。「MOJO」はそれらすべてを3分間以内で送り届けることができる。」と語っている。
この曲のレコーディング、ミキシング、プロデュースはこの町内出身のLordiの元ドラマーキタでも知られ、ただ今ソロ活動中のサンプサ・アスタラが担当している。
今年の夏はさっそくこの町内の夏フェスに出演が発表になった。まずは聴いてみてください。
H.E.A.T.

Pic : Marcel Karlsson
最近スウェーデンのバンドにお気に入りが多くて、2月にヘルシンキのTavastiaでメロディアス・ハードロックの素晴らしいライブをみせてくれたH.E.A.T.もそのひとつ。ライブレポはこの連載vol.144で書いたのでまだの方読んでみてください。
そのH.E.A.T.は今年4月に8作目となるニューアルバム『Welcome to the Future』をリリース。それを祝って新たに「Call My Name」のMVが公開になった。
2020年ヴォーカルのエリック・グロンウォール脱退後初代ヴォーカルだったケニー・レクレモが復帰してからの2作目となる。80年代を思い起こすようなちょっと懐かしいサウンドに加えて、アルバムタイトルが”Welcome to the Future(未来へようこそ)”というだけあってどことなく未来も感じる。なんといってもキャッチャーでメロディアスハードでエンドレスに聴いていられるようなアルバムだ。
このニューアルバムを引っさげて7年ぶりの来日公演も決定している。
<H.E.A.T Japan Tour 2025 ”WELCOME TO THE FUTURE”>
・6月24日(火)大阪Yogibo META VALLEY
・6月26日(木)東京浅草歌劇場
この機会をぜひお見逃しなく。
NESTOR

Pic : Andreas Godwin
次に紹介するのもスウェーデンのメロディック・ロックバンドNestor。よく聴いているフィンランドのラジオロックで昨年春彼らのシングル「Caroline」がヘビロテでオンエアーされていていいなと思ったのがこのバンドを知るきっかけになった。バンドは1989年に結成されライブ活動はやってたようだがアルバムデビューまで至らずに解散。その後20年以上が経ちバンドを再結成。2021年ついにデビューアルバム『Kids in a Ghost Town』をリリース。昨年そのヒットシングル「Caroline」が収録されたセカンドアルバム『Teenage Rebel』をリリースした後ヨーロッパツアーを行い、この夏は北欧の夏フェス出演が発表になっている。その前にニューシングル「In The Name Of Rock’n’Roll」がリリースになった。
「この曲は、よく晴れた日の午後、親友たちと開くバーベキューパーティで聴くのにぴったりだ。ロックンロールの名の下に築かれたこの4年間の俺たちの兄弟愛を総括するのに最適な曲でもある。」とバンドは語っている。
とてもメロディアスでさわやかに晴れた日に聴くと気分が最高になりそうな曲だ。
TRENCH DOGS

Pic : Dragon’s Eye
最後に紹介するのは先日ソールドアウトだったヘルシンキのBar Looseで楽しいロッケンロールなライブをみせてくれたスウェーデンのロックバンドTrench Dogs。2013年オーストラリアのメルボルンからストックホルムに引っ越したヴォーカルのアンディ・ヘッカンディを中心にメンバーが集まりバンド結成。2018年にデビューアルバム『Year Of The Dog』、2023年にセカンドアルバム『Stockholmiana』をリリースしている。そのTrench Dogsからニューシングル「Cobblestone Waltz」がリリースになった。
「この最新シングルは、酔っ払って帰宅する道中の聴き手を魅了する曲だ。遊び心たっぷりに優しくつまづきながら6/8拍子でヴァースを進み、最後は爆発的なハーモニーコーラスで締めくくられる曲だ。ほろ苦く、悲劇的ではなく、必ずしも楽しいってわけでもないが非常に人間的だ。」とのことだ。
このバンドちょっとグラムロックっぽさも感じる。先日のライブ後は会場内に出てきてファンサービスもたっぷりでフレンドリー。ロック好きでまだ知らない方は要チェック!
このところほんとにニューリリースが多くて、今回その一部を紹介してみました。気に入った曲があったらバンドのSNSをフォローして今後の最新情報ゲットしてくださいね。
文:Hiromi Usenius