【ライブレポート】シャイトープ、4年3ヶ月の活動に幕「まだまだ人生は続いてくぞー!負けんなよ!」

シャイトープが、ラストライブ<shytaupe last oneman live – LA LA BYE ->を9月5日(土)に東京・豊洲PITで開催。結成から4年3ヶ月の歴史に幕を閉じた。本記事ではオフィシャルからのレポートをお届けする。
シャイトープは2022年6月に結成。2023年にリリースした楽曲「ランデヴー」のバイラルヒットで一躍注目を集めると、2024年7月にメジャーデビューを果たした。2026年には初の海外公演を行うなど活躍してきたが、今年7月にバンドの解散が発表された。今回のライブで、彼らは約3時間をかけて計28曲を披露。一秒でも長くファンと音楽を分かち合おうとするように、目一杯楽曲を届け、最後のステージを惜しんだ。
大きな歓声と拍手に迎えられ、タカトマンダ(Dr)、ふくながまさき(Ba)、佐々木想(Vo, G)が順に姿を現すと、それぞれステージ中央へ歩み、観客へ手を振ったのち、深くお辞儀をしてから定位置についた。スポットライトを浴びた佐々木がコードを鳴らし、歌い始めた1曲目は「moonlight」。聴く人にとっての光になりたいというバンドが長らく掲げてきた思いを託したバラードを、観客は静かに受け止めた。

一転、佐々木の「ラストライブ、今日は最後までよろしくお願いします! さあ、行こうぜ!」という言葉をきっかけに、バンドのアンサンブルが加速する。「誘拐」から「タビビト」、さらに「Burn!!」へと雪崩れ込むと、観客も拳を掲げてバンドの熱量に応えた。


佐々木が「久々のライブで、めっちゃ高まってます!」と叫ぶなか、一音一音にしっかりと重心を乗せ、フィルやフレーズを鮮やかに響かせるふくなが&マンダの演奏からも、確かな気合いが伝わってくる。信頼する2人が鳴らす音を翼に、どこまでも伸びやかに羽ばたいていく佐々木の歌声。彼の歌声には聴き手を安心させる温かさがあるが、この日はいつになく温度を増し、観客へのやわらかな眼差しが滲んでいるように感じられた。
「一曲一曲にあなただけの思い出が詰まっていると思います。その思い出に思いを馳せながら、最後まで楽しんでもらえたらと思います」と伝えながら、3人は演奏を重ねていった。シャイトープのラブソングには、今ここにいない大切な人へ思いを巡らせることで、自分自身の気持ちを確かめていくような曲が多い。数々の楽曲を前に、かつての自分の経験を思い浮かべていた人もいれば、もうすぐいなくなってしまうこのバンドへの思いを重ね、堪らない気持ちになっていた人もいたはずだ。《離れていても 時間が経っても/想っているよ 想っているよ》と歌う「August」にも、「僕たちがいなくなっても、この曲があなたたちを照らしますように」という言葉ともに演奏された「sunny」にも、これまでの時間とこれから先への思いが重なっている。
なかでも印象的だったのが「ランデヴー」だ。《この詩がいつか時を超えて/限られた未来で生きる/君に流れたらいいな》というフレーズは、リスナーへ向けた祈りのように響く。楽曲の終盤、佐々木が「ここから歌える?」と呼びかけると、観客がそれに応え、メロディを歌い繋いだ。ステージからフロアへ、3人から観客へと受け渡されていく歌声は、この先もそれぞれの人生の中で音楽が鳴り続けていくことを象徴するようだった。
どの曲のどの歌詞も今のこの状況に重ねたくなるものばかりで、聴いていて切ない気持ちになる瞬間は何度もあった。それでも、演奏に向かう3人の空気に湿っぽさはない。MC中もたわいのない話で笑い合ったり、長丁場だからと観客に屈伸を提案してみせたりと、いつも通りの空気が流れていた。
そんななか、これまでの活動を振り返り、印象に残っているシーンを一人ずつ挙げていく場面があった。佐々木が「スタジオ後に駄弁る時間が好きだった」と切り出すと、ふくながはライブ後の打ち上げの時間を、マンダは機材車での移動中に3人でゲームをしていた時間を挙げる。バンドの歴史を形作っていたのは、特別な出来事ばかりではない。3人で過ごした何気ない日常もまた、かけがえのない時間だったのだろう。
そんなやりとりを経て、佐々木は「次の曲は、こっ恥ずかしくはありますが、メンバーのことを思いながら歌います」と、「ミス・ユー」へ繋げた。臆病な“僕”が“あなた”の笑顔に勇気づけられ、新たな世界へ踏み出していく様子を歌ったこの曲。佐々木にとってバンドとは、自分一人では見られない景色へと連れ出してくれる存在だったのかもしれない。
「こっから飛ばしていこうか、豊洲!」という声を合図に、3人はラストスパートをかけていく。シンガロングパートのある「It’s myself」も、コール&レスポンスが定番の「curry & rice」も、フロアから返ってくる声はいつになく大きい。終演が近づくなか、バンドへの感謝を伝えたい一心で観客は声を張り上げる。その声を受けて、バンドのテンションもさらに上がっていく。互いを照らし合う両者の関係を象徴するように、メジャーデビュー曲の「ヒカリアウ」が響いた。
続いて披露された「わすれない」は、この日のハイライトの一つだった。日常の中で出会った忘れたくないものを一つずつ数えながら、いつか終わりが来ることを知っていてもなお、今を愛おしむ気持ちを歌ったこの曲。繰り返し歌われる《わすれない》という言葉が、この場にいる人たちの実感と響き合うなか、3人はこの場所に全てを刻むように渾身の演奏を繰り広げた。演奏が終わる否や、フロアから大きな拍手が湧き起こった。

本編ラストのMCでは、メンバーが順にマイクへ向かった。マンダは先日Instagramでライブ配信を行ったあと、ふと泣きそうになり、自分がどれほどバンドを好きだったのかを実感したと明かした。そんな彼は、佐々木の自宅で、右も左も分からないまま楽曲制作していた頃を回想しながら、「こんなにたくさんのファンのみんなが来てくれて、本当に、夢のような気持ちでいるわけですね」と今の心境を語る。そして「ここまで応援してくださった皆様、そして関係者の方々、スタッフの方々、本当にありがとうございました」とシャイトープを囲む人たちへの感謝を言葉にした。
ふくながは、4年3ヶ月という月日に思いを巡らせた。シャイトープ結成以前から一緒のマンダとは「ドラムを聴くだけでその日のテンションが分かる」ほど長く時間を過ごしてきたし、サイン会に来たファンとの会話の中で「意外と長いことやってきたんだな」と実感することもあったが、自分自身の体感は「楽しかったし充実してたから、短かった」という。彼は、これまで発表した楽曲について「全曲大好きです」と語りながら、観客へ「音楽はずっと残り続けるので、辛い時とか嬉しい時とか、シャイトープの音楽が必要になったら聴いてくれたら嬉しいなと思います」と伝えた。
事前に手紙を書いてきたという佐々木は、2人に「ズルいなー!(笑)」と言われながらその手紙を読み上げる。そこに綴られていたのはファンへの感謝や、シャイトープは“寿命を全うしようとしている”という感覚、そして解散発表によってファンを悲しませてしまったことに対する思いだった。シャイトープの活動に一喜一憂するファンを愛おしく思っているという佐々木は、だからこそ「ロックバンドにその多くを捧げたりしないでください。日常を左右されたりしないでください。そんなのはこっち側の人間だけで十分。だからもう、顔を上げて、あなたの日常を幸せに生きてください」と語る。そんな願いとともに「これまでたくさんの愛をありがとうございました。どうか元気でいてください」と感謝を伝え、MCを締め括った。
そして「大丈夫、絶対大丈夫だから。もしまたこの道の先で出会った時は、笑って挨拶できたらと思います」と佐々木が語り、本編ラストを飾る「天使にさよなら」へ。紙吹雪が舞うなか、3人が音楽を通して最後の別れを告げる。佐々木は《大切なことは 君は君を生きること》と歌詞を変えて歌い、観客へメッセージを届けた。
止まない拍手に応えて再登場したシャイトープは、アンコールとして3曲を披露。ラストには「まだまだ人生は続いてくぞー!負けんなよ!」と、バンドの原点にあたる楽曲「マーガリン」が届けられた。佐々木が「一緒に歌おう」と呼びかけると、フロアにシンガロングが広がり、テープキャノンが放たれる。全ての演奏を終えたあと、メンバーと観客が「ありがとう!」と手を振り合う光景が何より美しかった。

なお、この日のライブ音源『shytaupe last oneman live – LA LA BYE -』が10月15日(木)に配信リリースされることも決定している。全28曲にわたって届けられたシャイトープ最後のステージが、ライブ音源として残される。バンドの活動が止まっても、シャイトープが遺した楽曲や思い出まで消えるわけではない。彼らが最後までそう伝え続けたように、この日豊洲PITで生まれた3時間の記憶にも、またいつでも触れることができる。シャイトープというバンドの歴史は、この日をもって幕を閉じた。それでも彼らの音楽は、リスナーの人生の中で生き続ける。
取材・文◎蜂須賀ちなみ
撮影◎Rintaro Kanemoto
■セットリスト<shytaupe last oneman live – LA LA BYE ->
2026年9月5日(土) 東京・豊洲PIT
01. moonlight
02. 誘拐
03. タビビト
04. Burn!!
05. 2025
06. 桃源郷
07. August
08. ミックスジュース
09. エッセイ
10. pink
11. skin
12. 夕空
13. Sunmmer Conte
14. スイートピー
15. sunny
16. 再会
17. ランデヴー
18. tengoku
19. ミス・ユー
20. 妄想eden
21. It’s myself
22. curry & rice
23. ヒカリアウ
24. わすれない
25. 天使にさよなら
ENCORE
01. 部屋
02. None
03. マーガリン
■配信ライブアルバム『shytaupe last oneman live – LA LA BYE -』
2026年10月15日(木)配信リリース






