【インタビュー】上田桃夏、「わたしの楽曲、誰かの人生の一部になったら素敵」

2026.05.13 16:00

Share

上田桃夏という名前を耳にして、『音楽チャンプ歌うま日本一決定戦2時間SP』や「歌カツ!~歌うま中高生応援プロジェクト~」で優勝した、”歌うまの女の子”という印象で受け止める人たちも多いだろう。

彼女の名前を世に広めたのが、“歌うま”系の番組だった。その頃から上田桃夏は、シンガーソングライターとして活動の基盤を作り続けてきた。いくつかの番組への出演中も、東名阪を舞台にコンスタントにライブ活動を行い、配信リリースや生配信も続けてきた。積み上げた経験は着実に芽吹き、支持層の広がりという花を咲かせ始めた。

そこへ確かな手応えを感じたからこそ、上田桃夏は、次なるフェーズへ一歩駆け上がろうと、みずから「TSUKIYORI Records」を立ち上げた。5月13日には、レーベル第一弾として、稀代のマルチアーティスト岸田勇気をプロデューサーに迎えて制作した配信シングル『僕の彼女が宇宙人にさらわれまして』を配信する。上田桃夏とはどういうシンガーなのか。インパクトの強いタイトルの「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」はどのような楽曲なのか。本人に話を聞いた。

   ◆   ◆   ◆

──桃夏さんは、もともとシンガーソングライターを目指して音楽活動を始めたと聞きました。

上田桃夏(以下、上田):わたし、シンガーソングライターの大原櫻子さんが大好きで、櫻子さんに憧れてアコースティックギターを弾くようになりました。でも、弾き始めてすぐに「わたしも、自分の作った楽曲をいろんな人に届けて、わたしの歌を好きになってもらいたい」。そして、「自分のオリジナル曲で人の心を動かしたい」と思うようになり、中学2年生の頃から曲作りを始めました。しかも、「わたしの歌をいろんな人に聴いてほしい」と思い、今でも鮮明に覚えていますけど、14歳だった年の12月24日のクリスマスイブに、地元の駅前で初めて路上での弾き語りを行いました。路上ライブは、高校1年生のときまで続けました。

──初めての路上弾き語りのときに覚えていること、いろいろ教えてください。

上田:あのときは雪も降っていたくらい寒くて、かじかんだ手で演奏をしたのを覚えています。あの日は、お友達も駆けつけてくれたし、当時から生配信をしていて、そこで宣伝もしていたから、生配信を観ていた方々も来てくださいました。それに、中学生の女の子が路上で弾き語りをやっている物珍しさもあって、足を止めて応援の声をかけてくださる方々もいました。観てくださる人数はけっして多くはなかったし、寒さと緊張もずっと感じていましたけど。それでも、「第一歩を踏み出せたな」という充実感があったからこそ、わたしの中では大切な記憶として今も残っています。

──なぜ、高校生になって路上ライブをやめてしまったの?

上田:高校1年生のときに、世の中がコロナ禍になって路上ライブができなくなりました。そこからは、配信ライブに切り換えて歌い始めました。わたしの場合、怪我の功名ではないですけど。すぐに配信ライブに切り換えて歌いだしたこともあって、路上ライブのときは地元を中心に愛知県内での広がりだったところから、観てくださる方々が一気に全国へ。ときには海外にまで広がったし、その時期に出逢った方々が、わたしの活動を支えてくれる基盤にもなりました。じつは「歌うま」系の番組の方との出会いも、配信ライブでした。

──そこ、興味深いです。

上田:当時からわたしはYouTubeライブを中心に、さまざまなSNS上のプラットフォームで配信活動を行っていました。そんなわたしの歌っている姿を観た番組の方が、「一度オーディションを受けてみませんか?」と声をかけてくださいました。そのオーディションに合格して番組に出演したことで、わたしに興味を持った方々が配信ライブも観にきてくださるようになりました。その当時に上田桃夏の歌を好きになった方々が今もライブに足を運んでくださっていますし、いくつか出演した“歌うま”系の番組は、応援し続けてくださっている皆さんとの大切な出会いの場になりました。

──当時、自分の歌唱力を評価してもらえたことについては、どんな気持ちでした?

上田:歌うことが心から好きだったので、自分の歌を認めていただけたことは本当に嬉しかったです。中でもわたしの心を動かしたのが、「自分の心がくじけそうになったとき、上田桃夏の歌声が生きる力になりました」という思いをお手紙でいただいたときでした。オリジナル曲についても「上田桃夏の歌が心の支えになっている」という言葉をたくさんいただきます。自分で言うのもおこがましいですけど、「わたしの歌が誰かの心の支えになれている」という事実は本当に嬉しいです。

──桃夏さんが曲を作るうえでの題材は、身近なことが多いのでしょうか?

上田:そうですね。応援ソングや、葛藤した思いを歌にしている曲は、自分が感じている気持ちを投影していくことが多いです。恋愛ソングは、自分の空想や誰かの恋愛話、SNSでつぶやかれている言葉からインスパイアを受けて書くことが多いです。

──それがどういう思いの歌であれ、自分の楽曲が人の心の動かすのは嬉しいことですよね。

上田:自分の書いた言葉が誰かの心に刺さるのは、素直に嬉しいこと。それが「気持ちが明るくなった」でもいい、わたしの歌を通して何かしら人の心を動かせたのなら、こんなにも嬉しいことはないです。わたし自身もいろんな楽曲を聴きながら感じることですけど、曲って悲しいときに一緒に悲しんでくれたり、嬉しいときに一緒に喜んでくれたり、人の心に寄り添ってくれる存在だと思います。そうやってわたしの楽曲も、誰かの人生の一部になったら素敵ですよね。

──桃夏さんは、4月にレーベル「TSUKIYORI Records」を設立しました。その経緯も教えてください。

上田:「上田桃夏というシンガーソングライターはどういう活動をしていきたいのか」と改めて自分に問いかけたとき、「自分の音楽を、エンターテイメントとしてもっと世の中に広く発信していきたい」と思いました。もちろん、これまでも自由に表現はしてきましたが、「もっと自分自身で活動の流れを作っていきたい」と思ったときに「自主レーベルを立ち上げよう」と思い立ち、設立にいたりました。「アーティストとしてもっと成長すべきだからこそ、そのためにも、自分の活動の芯となる部分を、もっと明確にみんなに伝えていくべき」という思いもありました。

──その思いから「TSUKIYORI Records」が誕生し、5月13日には第一弾シングルとして「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」を配信リリースします。曲のタイトルが、めちゃめちゃインパクトがありますよね。

上田 レーベル設立後第一弾の作品だからこそ、インパクトを与えたかったので、みなさんもタイトルに惹かれる「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」を持ってきました。この曲を初めて披露したのが、19歳の夏にワンマン公演を行ったときでした。その頃からファンの皆さんにすごく好評だったのも、今回選んだ理由の一つになっています。

──当時は、この曲を弾き語りで披露していたそうですね。

上田:はい、弾き語りで歌い続けてきました。今回、楽曲のプロデュースとアレンジを、以前からお世話になってきた岸田勇気さんにお願いしました。わたしがギター1本の弾き語りで歌っていた楽曲が、岸田さんの手によって,ピアノをリードに、バンドアレンジが成された楽曲になりましたし、楽曲の持つ世界観やそこに込めた思いがより鮮明になりました。わたし自身、アレンジされた楽曲が手元に届いたとき「これだ!」と思いました。

──岸田さんとは、どういうやりとりをしていたのかも教えてください。

上田:弾き語りで歌ったデモ音源を岸田さんにお渡しするときに、「この曲は失恋ソングですけど、けっして暗い内容じゃなくて彼女を失った僕が強がるあまり、冗談で“いやー、彼女が宇宙人にさらわれちゃったんだよ”と強がっている歌なので、重い感じではなく、失恋した彼の冗談混じりで明るく言ってしまう雰囲気を大事にしたいです」とお伝えしたところ、本当にポップで軽やかなバンドサウンドに仕上げてくださったんです。最初にアレンジされた曲を聴いたときに「これは絶対にいい曲になる」と確信しました。しかも、岸田さんのアレンジによって、主人公の僕の気持ちが広がったので「もっとこの曲調に似合う気持ちにしたい」と思い、一部歌詞を書き換えました。

──最初の形から、良い意味でだいぶ変わったんじゃない?

上田:ほんと、そうです。わたしが弾き語りをしていた頃は(歌に登場する主人公による)「僕語り」の歌でしたけど。岸田さんのアレンジの魔法によって、僕の心情や、僕の見えている世界がさらに鮮明になったので、そこに似合う歌詞にしましたし、歌い方も1曲の中で表情を変えて表現しています。

──そこ、興味あります。

上田:弾き語りで歌っていたときは、「僕のどうしようもない感情を叫ぶ」歌い方でした。今のポップなアレンジになってからは、岸田さんにもディレクションをしていただきつつ、一番は、ぼそっと独り言をつぶやく感じで歌い、二番では、ちょっと怒りの感情をそこへ混ぜ、最後に、感情を目一杯入れて歌いました。細かい歌声のニュアンスまで表現しているので、1曲の中にドラマのようなストーリーを感じていただけたら嬉しいです。

──ファンの方が、どんな反応を示してくれるのか楽しみが増えましたね。

上田:わたしは、レーベルを設立する前日の4月30日に配信ライブを行いました。そこで「重大発表」という形で、レーベルの設立と、配信シングル「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」のリリースを発表したんですけど、そのときに先行で20秒だけ流したんですね。本当に少しのフレーズだけで、みんな「すごくワクワクしてきた」と言ってくださいました。だからわたしも、早くフルサイズでみなさんに聴かせたいし、どんな反響が返ってくるのかが楽しみです。

──リリース後の6月からは、東名阪を回る<上田桃夏 LIVE TOUR 2026「そうだ、そこからの話がね。」>が始まります。今回から、ライブを楽しむうえでのシステムが若干変わるそうですね。

上田:わたし自身が全身全霊で音楽を伝えたいし、観てくださる方々にも上田桃夏の音楽を全身全霊で受け止めてほしいので、これまではOKにしていたライブ中の撮影を今回のツアーから全面禁止にします。その代わりに、VIPチケットの方のみ対象となりますが、本編ライブを終えた後に再入場していただき、「After show」へ参加することができます。ここでは本編では演奏をしなかった楽曲を歌ったり、ちょっとした交流の場もございます。「After show」は撮影全面OKです。全く新しいシステムでお届けしつつ、このツアーでは、“上田桃夏の二面性”を見せていくので、それを感じていただけたらと思います。その二面性が何なのかは……直接観て確かめてください(笑)。

──今回は、どんな編成で行うのでしょうか?

上田:大阪と名古屋の公演は一人で歌います。東京公演は、ツアーのファイナルということで、ちょっとファイナル感を出そうじゃないですけど、バンド編成でお届けします。スタイルが異なることで見え方も違ってくるので、両方楽しめる方は両方味わってください。今回のライブの中には、みんなに喜んでもらえるような仕掛けもしているので、そこも楽しみにしていてください。

──まさに、新しい上田桃夏を見せるツアーになりそうですね。

上田:芯を持った上田桃夏の音楽を、上田桃夏の二面性をみなさんにお届けできたらなと思っています。

──楽しみにしています。最後に、改めて「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」の魅力を伝えてください。

上田:みなさんにもそれぞれ大切な方がいらっしゃると思います。その大切な方が急にいなくなったら、喪失感や淋しさ、自分に対する怒りだったり、あきらめだったり、きっといろんな感情に襲われると思います。その感情を誰かに話すときに、強がるあまり「彼女がさ、宇宙人にさらわれちゃったんだよね」と冗談を飛ばしながら言うときだってあると思うんです。そういう複雑な感情を、わたしなりの失恋ソングとして、そして夏の代表曲としてこれから歌っていきます。みなさんも、大切な人が宇宙人にさらわれないように気をつけて日々を過ごしてください。「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」をこの夏の代表曲にしたいので、ぜひたくさん聴いてください。それと、実はこの曲の歌詞にはわたし自身のことも書きました。

──えっ、それはどこの部分?

上田:「また残したペットボトル」や「飲みかけのペットボトルが」と記されているその歌詞は、普段のわたし自身です。わたし、よくペットボトルを飲み残しちゃうんですよ。実家にいた頃は、それを母親に怒られてきましたけど、一人暮らしになったいまは誰も怒る人がいないから、飲み残したペットボトルが部屋に溜まっちゃうんですね。「ペットボトル飲み切らなきゃ、しっかり捨てなきゃ」という自分への戒めも含めて書きました。

──桃夏さんの歌には、さりげなく自分の日常を反映していくこともあるのでしょうか?

上田:そうなんです。きっと、みんなも共感するような、みんなにもある日常を切り取って歌詞にすることもあるから、そういうところにも共感してもらえたら嬉しいです。

文◎長澤智典

「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」
2026年5月13日配信
Words& Music :上田桃夏
Arrangement: 岸田勇気

<上田桃夏 LIVE TOUR 2026「そうだ、そこからの話がね。」>
詳細:https://mokaka0625.com/uedamomoka-live-tour-2026/

6月7日(日)【大阪】アメリカ村 DROP
https://clubdrop.jp/
(⼤阪市中央区⻄⼼斎橋2-18-9 リアライズ⻄⼼斎橋B1F)
OPEN17:00/START17:30

6月28日(日)【名古屋】新栄シャングリラ
https://shan-gri-la.jp/nagoya/
(愛知県名古屋市中区新栄2丁⽬1­9東館B1F 雲⻯フレックスビル)
OPEN17:00/START17:30

7月4日(土)【東京】GRIT at Shibuya
https://grit-live.jp/
(東京都渋⾕区道⽞坂2丁⽬23-1 フォンティスビル B1F)
OPEN17:00/START17:30

【チケット券種】
・VIPチケット 7,400円(税込)
・通常チケット 4,800円(税込)
・U-22チケット 3,400円(税込)