【マザリ・蛇喰ホムラ インタビュー/前編】マザリ×irocaコラボプロジェクト始動。母娘が繋いだ着物愛

2026.04.11 20:00

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◾︎マザリのヲタクの人もirocaさんのデザインは絶対好きだろうし、身につけて欲しい(ホムラ)

──マザリの覇道な存在とirocaの奇抜さに似た匂いを感じていまして。私もirocaのデザインは衝撃で、どんな人がデザインしているのかと非常に興味があったんです。そうしたら、石川さんが劇団・東京グランギニョルやバンドで活動してきた表現者だったということに納得しました。そもそも石川さんが着物に惹かれた衝動はなんだったのでしょうか?

石川:僕が着物にググッと入り込んだのは、大正〜昭和初期の着物の自由な世界がきっかけなんですよね。その時代で最先端だったものなんです、着物は。表現の幅がものすごく自由だった。戦争や時代を風刺した柄があったりね。そこに意味を持たせる、ファッションの最先端だったわけですよ。ところが戦争が終わると、着物はどんどんつまらなくなっていきました。誰もが同じような格好をして、こういう着付けじゃなきゃダメですよと、そうなっていった。僕が影響を受けたのはその戦前の作家たちのスピリット。それを今の時代にやらなきゃ意味がないと思っています。「今の時代の着物どうなの?」と世間を見渡してみたら、「うわ、つまんねえな」と思って。「じゃあ、俺がやるわ!」と思ってやり始めたのがきっかけ。ちょうど僕と同じ時期にそう思ってた人がやっぱりいたんですよ。それが現代着物と呼ばれるようになった。“ルネサンス=芸術復興”じゃないけど、とにかく時代の最先端のスピリットを持ちながら「着物をもっと自由な表現として面白くしたい、着る人が自由に着ていいんだ」っていうね。こうじゃなきゃダメなんてありえないし、何をしたっていいんですよ。というところに立ち返っているわけです、僕は。irocaは世間から見たらちょっとぶっ飛んでいるように見えるかもしれないけど、僕的には王道っていう気持ちでやってるんですよ。「何をやってもいい、自由な発想でいい」というところの一つでしかない。もうひとつ着物が面白いのは、着る人がテーマを持たせることなんです。その日の気分で、この帯とこの着物を合わせる。こう合わせるとこういう意味が立ち上がってくるとかね、お客さんたちがそれを勝手に考えて着てるんですよ。それが面白い。

ホムラ:確かに。

石川:僕はあくまでも素材を提供するだけ。着る人がいないと成立しないんです。だから僕は、デザインはするけどアートの意識はないんです。まず商品であるところにすごくこだわりがあって、お客さんに自由に着てほしい。だから、ホムラさんの年齢層やマザリの皆さんみたいな、今の音楽業界の中でちょっとぶっ飛んだ人たちが着てくれること、自由に着てくれることは喜ばしいんです。

ホムラ:嬉しいな。

──ホムラさんから石川さんに聞いてみたいことはありますか?

ホムラ:柄はいつもどうやって描いてるんですか?

石川:まずは手描きです。スケッチブックに鉛筆で描いて、それをスキャナーで取り込む。あとはデジタル。僕は、(Adobe)Illustratorというソフトを使っています。Illustratorは言っちゃうと数学の世界なので、1つの図案を作るにも膨大な時間が掛かるんです。時間を掛ければいいわけじゃないけど、その手法でしかできない細かさや味があってね。そこで作られる図案の繊細さと発想や色彩の大胆さがirocaらしさに繋がっているんじゃないかな。

ホムラ:この前、標本、骨の着物を出したじゃないですか。あれ、めちゃめちゃ可愛かったです。

石川:あれは頑張ったよ。あばら骨から花が生えてくるやつなんですけど。

ホムラ:お母さんにおねだりします!

──そういった柄のモチーフは、どこからインスピレーションをもらうことが多いのですか?

石川:僕は圧倒的に生物が好きですね。子どもの頃からずっとヤモリも飼ってたし。着物を始めるときに決めていたことが 2つあって。花とスカルは絶対やらない。花はみんなやってるし、従来の着物のイメージあるから。スカルは、洋服でもアクセサリーでもとりあえずスカルをやればいいだろうみたいなところあるじゃないですか。それがすごく嫌で、その 2つは絶対やらないと決めてたんです。だから自分は生物が好きだから、生物に特化していこうって最初は決めてやっていました。でも、やっていくうちにだんだんその抵抗がなくなってきて、くだらないことにこだわってるなと思って。解禁して花もいっぱいやるようになりましたね。ただ自分の好みもあって、僕がひまわりをやるとこうなっちゃうんですよっていう(笑)。だから今はどんなモチーフでも最終的にirocaになる、その自信があるから解禁してるんですけど。

──マザリは負の感情を曝け出すことによって、共感や共鳴してくれるファンが増えている。先ほどの思春期に影響を受けた話のような“若者の代弁者”的な存在になっていると思うんです。そこにirocaの自由な表現が合わさると、大変なことになるんじゃないかなっていうふうに思っていて……ということで、この度、“マザリ×irocaコラボプロジェクト”がスタートします!

ホムラ:待っていました。うふふふ、私はずっと待っていましたよ。

──ホムラさんから「マザリもirocaと何かやりたい」と堤さんに言っていたらしいんですけど、裏ではこっそり話が進んでいました(笑)。

ホムラ:お母さんともずっと「いいな、コラボしたいな」とずっと話していて。「マザリは和風テイストだから、絶対に着物が合うと思うし、いつかできるといいね」と言われていたんです。そしたらその念願のコラボが叶って、めちゃくちゃ嬉しいですね! 夢が叶いました。やっと!

──「お母さんがirocaのスタッフだった」ことが決定打になりました。まさにホムラ母娘が繋いだ縁です。マザリは近年のアイドルの究極形だと思うんですよ。それが究極形の現代着物ブランドであるirocaとコラボするなんて、最恐で最狂の組み合わせです。

ホムラ:マザリは尖ってるんで。irocaさんの着物や浴衣も尖ってるといったらあれですけど、刺激的なデザインなので。それが合わさったらすごいな。マザリのヲタクの人もirocaさんのデザインは絶対好きだろうし、身につけてほしい。

石川:やっぱり着物って、ハードルが高いじゃないですか。「着てみよう」と思って、お店に行ったらその雰囲気の時点でくじけちゃうし、販売スタッフに話しかけられたら嫌になっちゃうし、逃げちゃうみたいな。なので、マザリとコラボをすることによって、今まで着物に触れてこなかった人たちに「うわっ、着物おもしれえじゃん! すげーじゃん!」と言わせたら、僕の勝ちかなって(笑)。

ホムラ:アハハハ! 着物って、一度集めたら止まらなくなっちゃいますもんね。 コレクションしたくなる。ヲタクの人もグッズや何かを集めたい人が多いと思うので、一度ハマったら抜け出せなくなると思います、着物の世界もirocaも、もちろんマザリも。コラボで何をするのかは楽しみにしていてください! フフフ。

取材・文◎冬将軍
撮影◎ハスミショウ
着付◎じゅんこ

Irocaとは?
着物デザイナー・石川成俊が新しい日本の美を追求する気鋭の現代着物ブランド。
イギリス・ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にオリジナルデザインの着物等一式が永年収蔵されている。

iroca オフィシャルinstagram https://www.instagram.com/iroca.jp/
iroca オフィシャルX https://x.com/iroca_jp

マザリ インフォメーション
<マザリ『呪物崇拝見世物花屋敷-ファイナル-』>
EX THEATER ROPPONGI
2026年4月14日(火)
開場時刻 18:00 / 開演時刻 19:00

《バンド》
Gt. 葉月(NEMOPHILA, KOIAI)
Gt. Ray(DEVILOOF)
Ba. 明徳(lynch.)
Dr. 響(摩天楼オペラ)

《ゲスト》
オカルトコレクター 田中俊行
怪談師 ぁみ

チケット販売
https://ticketdive.com/event/mazari_tour2026


 

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