【インタビュー】Azavana、初のフルアルバムに現在に至るまでのバンドの軌跡「みんながいろんなことを抱えながら生きている」

2026.04.04 19:00

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■諒平がファンに「生きてください」と
■伝えていたことをすごく覚えていて

──続いて、詩結さん作曲の「Mist」ですが、ここで歌ものが登場するというのがアルバムのフックとなっていると思います。

詩結:シングル曲はハードなものが多いし、新曲もライヴを意識した激しくヘヴィな曲が既にいくつか上がっていたので、あえてそこを外して作った曲ですね。リズム展開は淡々としつつ、要所要所で使ってこなかったコード進行もあって、今までAzavanaになかったタイプの曲だと思う。サビは遼のおいしいところが出るキーに照準を合わせて転調させてみたり。

遼:デモを聴いたときから、メロディーがまっすぐに飛んでくる感じがあって、シンプルに“歌ってみたい”と思いました。基本的に他メンバーの曲も歌メロは自分が作っているんですけど、詩結くんらしさもよく出ていたので、この曲はもともとあったメロディーをなるべく崩さないようにアレンジしつつ歌いました。

──そして「擬態」では雰囲気がガラリと変わりますけど、ライヴ感という意味では作曲者のS1TKさん“らしさ”も感じられます。

S1TK:まさに、ライヴで盛り上がる曲がほしくて着手した曲です。超原型段階では逆ダイループも入っていたりして、尺も5分くらいあったんですよ。

──しかし、仕上がりはその半分の尺に。

S1TK:遼と相談して、「この曲は短いほうがいいんじゃないか」っていうことになったんです。自分的にはライヴ曲として、とにかく盛り上がればいいっていうところが第一だったので、そこはしっかり形にできましたね。

──曲構成も含めて、ヴィジュアル系らしいライヴのノリを感じられるところもありました。

S1TK:そうそう。古き良きヴィジュアル系みたいな曲が、自分でも好きなので。

遼:S1TKからきた原型も、ほぼシャウトのようなライヴ曲だったんですよ。ただその時点では、全体的な構想を考えるとアルバムに入れるのが難しそうで、「ごめんけど、今回は入れられないかもしれない」ってS1TKに話したら、ちょっとしょんぼりして……(一同笑)。だから、もともと自分が作っていた別の曲と混ぜて、テンポも大幅に変えて、原型よりあっさりした作りにして、メロディーもありつつ激しい曲にアレンジしました。曲構成も変わっていて、“サビが最後だけ”という遊び心も入れつつ。

Яyu (B)
諒平(G)

──シングル曲「Hysteria」を挟んで、ノスタルジーな雰囲気も感じられる歌もの曲「白露」。遼さんが作詞された際、作曲者である諒平さんに寄せた思いもあったんじゃないか、と想像したのですが。

遼:はい。諒平が家族を亡くして。ちょうどバンド活動が忙しい中でもあったんですけど、辛いはずなのに彼は弱いところを見せなかったんですよね。自分なりに寄り添えたらなと思って書いた歌詞ではあります。

詩結:この曲の原型は、実は過去にライヴで一度やっているんですよ。その時は、まだタイトルもなくて。Azavanaとして最初の諒平のバースデーライヴだったんですけど、当日のMCでも諒平がファンに「生きてください」と伝えていたことをすごく覚えていて。それ以降、演奏することはなかったんですけど、ここへ来てアルバムに収録することになりました。

──詩結さん作曲の「Mist」、諒平さん作曲の「白露」。ギタリストの二人が手掛けた楽曲は、いずれもアルバムに繊細な表情を加えているなと思いました。

S1TK:僕の観点だと、ギタリスト二人の曲は両方とも“’90年代ヴィジュアル系”を感じるんですよ。僕もそういう曲が好きだし。’90年代の楽曲って、ドラムは疾走感を重視している曲が多いんですよね。そこを自分なりの解釈で叩いていきました。

詩結:’90年代の楽曲って、現代の曲みたいにセクションごとにガラッとリズムパターンが変わる構造ではなくて、一定のビートで刻み続けているものが多かったりするんです。「Mist」も「白露」もまさにそうで、セクションごとの表情の違いを出すのがドラマー的には難しい部分でもあり、やりがいのある部分でもある。デモを投げた時から、きっと「Mist」のテンポだったらS1TKは“神の舞”をやるだろうなと思っていました(笑)。

──“神の舞”?

S1TK:“2種類のハイハットをオープンハンドで叩く”っていうやつですね。スネアの拍も、かなり変わってます。「白露」は一度ライヴで披露したときに全体像は出来上がっていたんですけど、演奏はレコーディングをするにあたってアレンジを変えた部分もあります。

──アルバム終盤の「秒針に沈めて」の壮大さもフックになっていると思います。

遼:曲を並べてみたときに“ここにこういう曲があったらいいな”と思って、最後に作った曲です。たぶん、昔から自分のことを知ってくれているファンは、僕っぽいと感じてくれたんじゃないかな。 実はAzavanaになってからはそういう曲をあえて避けていたんです。自分のこだわりや個性を入れつつ、新しいバンドだからこそできることに重きをおいて曲を作ってきたんですけど、そういうことを一切考えず、自分の趣味で作った曲ですね。

──遼さんは、メンバーのストロングポイントを活かすことに重きを置いている節があると思うんですけれど、ある意味「秒針に沈めて」は遼さんの個性を存分に活かしているという。

遼:はい。ここまでAzavanaで活動してきて、“作りたいものを作ろう”っていう気持ちになってきたからこそできた曲ですね。

S1TK:さっきギターの二人が作る曲は“’90年代”を感じると言いましたけど、遼の作る曲には“平成”を感じるんですよ。主に2000年代。当時のJ-POPからのインスパイアを感じるというか、自分の学生時代を思い出すメロディーというか。そもそも遼がつけるメロディーには、“懐メロ感”があるんですよね。

詩結:「秒針に沈めて」は、Bメロ終わりからサビへの繋がり方が独特なので、コードの処理が難しかったんですけど、綺麗にハマったかなと。ギターソロは、自分の中にある“遼の曲にありそうなフレーズ”が自然に出てきました。