【インタビュー】眉村ちあき、3つのアルバム先行配信曲が木っ端微塵に吹き飛ばす制約や限界「今の私は超えたい目標がものすごく高い」

2026.04.01 19:00

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「フルアルバムまーたまた作っちゃいました。この⼀枚に全てを込めたぞ、もうこれ以上ないぞ、と、今回も強く思っています」とは、4⽉15⽇にリリースされる8thアルバム『AMPLAND PLAN』に関する眉村ちあきのコメントだ。しかも、それに先がけて配信リリースされた2曲が新境地であり、驚きの連続だった。

2026年1⽉14⽇に配信された「THE スーパーグルグルフィジカルジンジャーエール」を⼿掛けたのは、数々のヒット曲を⽣み出し続けているmeiyo。2⽉11⽇に配信された「渋⾕ふりーふぉーる」を⼿掛けたのは、SMAP の「SHAKE」「ダイナマイト」などで知られるコモリタミノル。作詞・作曲・編曲・トラック制作で卓越した才能を発揮している眉村ちあきが、敢えて他のクリエイターが⽣み出す世界に⾝を委ねた点に注⽬させられる。

8thアルバム『AMPLAND PLAN』からの先⾏配信曲でみせた新たな試みの理由は何だったのか? 海外でのライブ、様々なアーティストとのコラボレーションを繰り広げた2025年を経て、彼⼥の中で芽⽣えた想いとは? 3⽉4⽇に配信された楽曲「again」と、ニューアルバムの予感についてもじっくりと語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。なお、8thアルバム『AMPLAND PLAN』発売同日には、既発曲(『AMPLAND PLAN』収録「EVERY DAY」含む)の英語詞アレンジによる配信限定アルバム『PLAN C』が同時リリースされることも決定した。

8thアルバム『AMPLAND PLAN』

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■⾃分では作らないメロディラインを歌うのは
■やっぱり刺激があります

──2024年11⽉にリリースしたアルバム『うふふ』は、幅広い⼈に聴いていただけるポップスを⽬指した作品でしたよね?

眉村:はい。そういう曲を意識して作りました。そのおかげで幅広い⼈に聴いてもらえる曲の作り⽅というか、“どういう⽅向に振ったらそうなって、どう尖ったら幅が狭く深くなるのか?”をじっくり考えることができました。でも、ずっと王道をやっているんですけどね。⽬指すは『紅⽩歌合戦』ですし。

──昔から「緑のハイヒール」とか、正統派のポップスもたくさん作っていますからね。

眉村:そうなんですよ。でも、⽬⽴つのは即興ソングやライブでの奇抜な部分とかで、そこがピックアップされるんです。変なこともしたいけど、そういう表現は爆売れしてからできるので、今は窓⼝広げを頑張っているんです。

──爆売れしたら、曲の中でまたうんこを踏んづけたりしますか?

眉村:しますね。っていうか、“うんこを踏んづけたことを隠すか、隠さないか?”っていうだけなんです。今は隠してて、爆売れしたらお騒がせセレブになりたい(笑)。

──幅広い⼈々に届ける努⼒に関しては、TikTokも頑張っているじゃないですか。

眉村:ね? ほんとに。もうやめたい。

──なんでですか(笑)?

眉村:動画を作るのはほんとに⼤変で。編集とかも⾃分でしているんですけど、“動画作るよりも、もっと曲を作りたいなあ”と思ってます。

──ライブスケジュールも今年に⼊ってから控えめですよね。

眉村:そうなんですよ。5⽉からツアー(Chiaki Mayumura Tour “AMPLAND PLAN”)が始まるんですけど、しばらくはなんもライブがないんです。我慢してます。だから毎⽇酒飲んでます(笑)。どうしたらいいかわかんない。ライブの代わりになるものがなさすぎて、“ライブってすごいんだな”って改めて思ってます。

──ライブに関しては、アメリカの<SXSW>にも改めて触れておきたいです。2024年と2025年に出演して、毎回⼤評判だったじゃないですか。去年は<SXSW>の公式サイトのトップページが眉村さんのライブ写真になっていましたし。

眉村:なってた! やばかったですよ。ライブが終わって街を歩いてると、「写真撮って! あなたのライブ観た!」って5⼈くらいから声かけられて、また次の⼀歩で囲まれて、動けなくなったりして。“スターじゃね?”って、ほんのひと時だけ思いました。

──どういうところが伝わったと感じました?

眉村:なんだろうなあ? ⾃分が“この曲がこうやって演奏されたら、ウォー!ってなるな”みたいなのをそのままやっただけで。それがほんとに「ウォー!」ってなったから、“⾃分の価値観を信じていいかも”と思いました。

──<SXSW>みたいな機会に現地の⾳楽関係者に声をかけられて、海外でツアーをすることになるケースを時々聞きますけど。

眉村:私も声はかかりましたよ。アメリカツアーも誘われたし。でも、普通に資⾦が⾜りなくてできなかった(笑)。アメリカのイベント会社かなんかの⼈で、Adoとかのアメリカツアーにも関わっている⼈たちだったんですけど。「朝ご飯を⾷べながら、打ち合わせをしよう」と⾔われてお話をしたところ、⾦銭的なこともあって「⾏くならあなたひとりで⾏きなさい」と⾔われたんです。でも、「ひとりで⾏って何をどうしたらいいの?」と。私、⾞の運転もできないし…誰か運転してくれるのかもしれないけど。「もうちょっとネットでバズってから戻ってくるね」と⾔って帰国しました。

──Adoのワールドツアーにも関わっているイベント会社の⼈だったんですか?

眉村:そう。ふたり組のイベンターさんだったんですけど、韓国チームの⼈に聞いたら、「えっ? あの⼈たち、めっちゃ有名だよ」と⾔ってました。もったいないことしたなとは別に思わないけど、“ちゃんと⽔⾯下で太いパイプができていってるな”と思います。だから、後は売れるだけというか。数字さえ取れたらアメリカツアーも秒でできるんだろうなという感じです。でもね、どうやったらいいのかわかんなくなっちゃった。いい曲をいっぱい作ってるつもりなんだけど、いいライブもしてるつもりなんだけど、難しいなと思ってる。

──韓国チームといえば、去年は韓国のバトルロイヤルゲーム『Eternal Return』シーズン9 “Matsuri” のOST「Golden Willow」のボーカルを務めましたし、韓国アーティストとのコラボレーションもありましたよね。ウソク(jungwooseok)さんとの「フライデー・ナイト・キス」は、どういう経緯で実現したんですか?

眉村:<SXSW>と同じように、アジア進出も考えている時期に「海外アーティストとのコラボレーション楽曲の話がある」みたいなお話をいただいたのがきっかけだったのかな。それで「やります!」と⼿を挙げたんです。

──ご⾃⾝で⼿掛けていない曲を歌う機会でしたね。

眉村:はい。すごく⾯⽩かったです。やっぱり⾃分では作らないメロディラインを歌うのは、刺激があります。海を越えて、データのやりとりをして完成するのも新鮮でしたね。私は⽇本でレコーディングしたけど、K-POPの⾳楽を作ってる双⼦の⼥の⼦のお家に⾏って録ったんです。「あはは〜 あはは〜 ふぅー!」ってやりながら録って、「いえぃーい!」ってハイタッチして、「次録ろう!」っていう感じで。ギャルが遊んでるみたいなノリだったのがすごく楽しくて。シビアなレコーディングもいいけど、“楽しいのが⼀番いいな。このマインドで作り続けたいな”と改めて思いました。

──ほぼ同じ時期に、韓国のシンガーソングライターでありラッパーのM1NU (ミヌ)さんの「있잖아 (Hey)」にも作詞と歌のフィーチャリングで参加しましたね。

眉村:ウソクさんとのコラボレーションで繋がったご縁をきっかけに、M1NUさんチームからもお話をいただいて、「えっ? あたし、いいよ!」という感じでした。M1NUさんチームとはお互いに翻訳機で会話をする感じだったんですけど、「数⽇後にMVを撮りますので、それまでに歌詞書いておいて」みたいに⾔われて、「私が書くの!?」って慌てて(笑)。⽇本語の歌詞を書いて、急いでレコーディングして、MV も撮りました。M1NUくんにとっても⾯⽩い機会だったみたいです。

──去年は、タイの29callsとの「Coconut Sunday」(眉村ちあきが作詞・編曲・歌唱)や堂島孝平さんとのコラボ「True Magic」もありましたし、PIGGSに楽曲提供しましたし、⼤⼈気じゃないですか。

眉村:次から次へと声をかけられたいです。まだ⾜りない。⽟屋さん(Wiennersの⽟屋2060%)くらい忙しくなりたい(笑)。

──新しい試みをいろいろ続けていますけど、2026年1⽉に配信リリースされた「THE スーパーグルグルフィジカルジンジャーエール」は、びっくりしました。meiyoさんからの提供曲ですが、作詞・作曲・編曲の全部を他のアーティストが⼿掛けた曲を歌うのは、企画ものの「オー!サカナ!!」を除くと初?

眉村:はい。企画的なものとかフィーチャリング的なものじゃない形で提供していただくのは、あの曲が初めてでした。「眉村ちあきのボーカル⼒を⾒せつけるために、眉村さんが書かないような曲をどなたかに書いていただくのはどうですか?」という提案をいただいて、「何でもやるって決めたから、何でもやりまっす!」って⾔いました。そして、絶対バズり王のmeiyoの名前が挙がったので、「meiyoめっちゃ好き!書いていただけるなら歌いたいです!」ってなったんです。

──今までの活動の軌跡を踏まえると、この試みは⾃然でもあったように感じます。“弾き語りトラックメイカーアイドル”としてインディーの頃から作詞・作曲・編曲を全部⼿掛けていて、メジャーデビューした後は、時には編曲をどなたかに委ねるようになり、コラボとかで他の⽅々の要素も加わった曲を度々歌うようにもなり……という流れがあったので。

眉村:そう。こだわって“うーん……”っていうものができるよりも、「誰かー!たすけてー!」と⾔って最⾼のものを作れるほうが楽しいって、結構前に気づけたから。でも、やっぱ全部お願いするのは、ちょっと“⼤丈夫かな?”っていう気持ではあったんです。“アーティストと名乗っていいのか?”みたいな気持ちになるというか。“歌い⼿なんじゃないか?”とか思ったけど、“まあいっか”と思って。meiyoだし、私への解像度が⾼い⼈なので、信頼してお願いしました。

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