【ライブレポート】超学生「いつかは武道館へ。今度は僕が皆さんの心の火を灯せたら」

2025.10.11 12:41

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2001年生まれの歌い手・超学生が10月5日、大阪・NHK大阪ホールにて初の全国ホールツアー<超学生 全国ホールワンマンツアー2025~音欲の秋~>を大成功で完遂した。8月末の福岡公演を皮切りに全国5都市を巡った本ツアーは、先行予約の時点で東京と大阪公演が予定枚数終了に。ワンマンライブは2023年の『2ndワンマンライブ「入学式」』以来約2年ぶりとなるが、開催のたびにすさまじい勢いで会場のキャパも動員も増やし続けている。ファイナル公演となったこの日は、超学生の音楽への誠実な想いと決意が詰め込まれた、熱狂渦巻く夜となった。当日の模様をオフィシャルからのレポートでお届けする。

◆ライブ写真

開演の少し前に会場に到着すると、ロビーにはライブ前特有の高揚感が漂っていた。皆思い思いに超学生のグッズを身につけ、いそいそと客席に向かう。もちろんチケットはソールドアウト。客席では保護者(ファンの呼称)がソワソワした様子でオレンジ色のペンライトを握りしめ、ライブの始まりを待っていた。

開場時から流れていたBGMのクラシック音楽が大きくなって照明が暗転すると、スクリーンにオープニングムービーが映し出される。時計の秒針の音が鳴り響く中、超学生のYouTubeチャンネルのトップ画がモノクロからカラーに変化。その瞬間、超学生の音楽と動画のサムネイルが堰を切ったように広い世界へと溢れ出す。やがてバンドメンバーの花形真喜(Gt)、中村圭(Ba)、エドケン(Key)、樋口幸佑(Dr)、清水“カルロス”宥人(Gt、Bandmaster)がスタンバイ。「10.9.8.7……」とカウントダウンが始まると、保護者のテンションも急上昇。客席一面がオレンジ色に染め上がる。

カウントが1になると客席は総立ちになり、まばゆい光の中、ステージに設けられた階段の上に颯爽と超学生が登場! 「大阪ぶっ飛べますかー!」と叫び、「pa pa pa」から勢いよくライブをスタートした。続けざまに「キャットラビング」を投下。張りのある歌声とパワフルなバンドサウンドに牽引されて、まだ2曲ながら、客席全体から熱気が押し寄せてくるのが感じ取れた。

曲が終わり、「可愛いー!」という声が会場のあちこちから飛び交うと「みんなの方が可愛いよ」と返す超学生。言わずもがな悲鳴を上げる保護者たち。続いては「サイコ」を、ゆったりとした身のこなしでステージを動きつつ色っぽく歌唱。後半の<Hey!>コールは見事な一体感を作り出し、「よくできました」という一言で保護者の心を鷲掴みに。すっかり会場を掌握している。

MCでは「調子どうですか大阪! みんな来てくれてありがとう! 全力でブチ上がっていってください!」と挨拶をして、「超学生のライブの楽しみ方は基本的に自由でございます。この後皆さんの記憶がぶっ飛ぶぐらいのパフォーマンスをお約束します。ツアーファイナル、泣いても笑っても最後でございますので、どうか隅々まで後悔ないようにお楽しみください」と頼もしく言葉を紡ぐ。

「冒頭3曲は皆さんとお友達になろうと思って選曲した曲でございますが、私たち良い関係になれそうでしょうか?では、次からは我々は敵同士になろうと思います。超学生は次の楽曲から皆さんの“ヴィラン”です」と言葉を添えて、超学生がボカロPとタッグを組んで“ヴィラン=悪役”をテーマに制作したプロジェクトシリーズの楽曲を連投。てにをはとの「オーバールック」、煮ル果実との「超獣戯画」、DECO*27との「ファントム」で、どっぷりとダークな世界に惹き込んでいった。

続き、「大尖り曲を1曲やってもいいでしょうか」と、展開が多くヒリヒリしたサウンドの「キラーチューナー」をエッジーに歌唱(この曲に限りスマホで撮影OKという嬉しいアナウンスも!)。さらに今年1月にリリースされたbiz×ZERAとのフィーチャリング曲「ラヴィブルーム」ではガナリも炸裂。まだライブを始めて2年半ほどだというのにも関わらず、バンドとの息もぴったりで、全体的にハイスキル。見せ場だらけの堂々たるパフォーマンスに、思わず釘付けになってしまった。

ミステリアスな雰囲気を醸しつつも、MCではフレンドリーに保護者に話しかける超学生。超学生を知ったキッカケを客席に尋ねると、この日はほとんどが“歌ってみた”動画であることが判明。「非常にありがたい話でありますので、ここからは“歌ってみた”を3曲連続でやっちゃいます。つまり大阪の会場がインターネットになってしまいます! 」と述べて、原口沙輔の「イガク」、DECO*27「ラビットホール」、jon-YAKITORYの「混沌ブギ」を一気に駆け抜けた。

約20分にも及んだ“巨大MC”では、「MC内容をみんなで決めようのコーナー」と題し、保護者とコミュニケーションを取りながら、ビンゴゲームのような12個のマスに表示された“超学生がやりたいこと”一覧から、何をやるかをその場でチョイス。まずは「みんなのことをよく知りたいから」と「どこから来たの?コーナー」へ。スクリーンに日本地図が映し出され、沖縄から北海道、さらに海外まで丁寧にヒアリング。保護者と話す時間がたまらなく好きなんだろうなと思えるほど、楽しそうな超学生の姿が印象的だった。

続いてのコーナーは「カズーでバンドセッションしてみよう」。“カズー”とは、アフリカ発祥のボートのような形状の笛で、吹くと“ブッブー”という音が鳴る楽器だ。カズーを取り出した超学生は、ステージ上でバンドメンバーと打ち合わせをして「サイコ」を演奏することに。結果は見事成功! 一発勝負とは思えぬほどの完成度の高さに本人も拳を突き上げる。そして最後は「ライブあるあるをやってみよう」。「みんなのことを完璧に知ってお友達になって帰ってもらいたい!」ということで、保護者の年齢層をくまなくチェック。すると、下は7歳から上は70歳以上まで、全年齢層の保護者が来場していることが明らかになった。まさに老若男女が集う超学生のライブ。終始オープンマインドで保護者との距離を近付けようとする超学生と、それを優しく受け止めつつも熱く深い愛で返す保護者の関係性がとても素敵だった。

MCタイムが終了すると、「まだまだここからブチ上がる準備できてますか!」と煽りまくり、特大のジャンプとコール&レスポンスで後半戦に向けてギアをアップ。「1億倍の力でかかってきてください!」と叫び、TVアニメ『桃源暗鬼』第二クール・練馬編オープニング主題歌の「阿弥陀籤」を爆音で投下。大迫力のバンドサウンドに絡みつくボーカルには鬼気迫るものがあり、ぞわりと鳥肌が立った。

バンドメンバー紹介とソロ回しを経て、中毒性のあるすりぃとの“ヴィラン”曲「インキュベーター」で会場の一体感をゴリゴリに高めると、メジャーデビュー曲「Did you see the sunrise?」をより一層パワフルに歌い上げる。メロディアスでどこか切なさも宿る歌声、音にマッチした極上の照明演出、キラキラと光の粒を放つ美しいミラーボールが、楽曲の雰囲気を押し広げた。

まもなく終盤戦。「せっかくのツアーなので、僕の過去の話をしてもいいでしょうか」と、超学生は自身の歩みを語り始める。2012年、11歳の時、ニコニコ動画に「カミサマネジマキ」を投稿して活動を開始した超学生。当初は趣味だったが、歌い手からメジャーデビューするアーティストが現れはじめ「音楽が仕事になったら素敵だな」との想いから、音楽の基礎を学ぶためクラシックを学べる高校へ進学。そこで恩師に「クラシックは再現芸術」であると教わったという。完璧に模倣するという意味ではなく、楽曲の時代背景や作曲者の心意気、音楽性を踏襲して音楽を捉えるという考えが彼の中に根付いていった。そして“歌ってみた”も近いところがあると気付く。「人様が作った楽曲を歌わせていただくなら、作曲家がどういう想いでその曲を書いたかを調べて、全部踏襲して歌いたいと思っている」という彼の言葉からは、クリエイティブに対するリスペクトが溢れていて、音楽に誠実に向き合っていることが伝わってきた。

加えて「再現芸術の世界で僕の音楽を高みに連れていってくれているのは、皆さんの応援。本当にいつもありがとうございます」と感謝を口にする。最近は自分の想いや考えを伝えるためにオリジナル楽曲を制作しているとして、初めて作詞作曲を手がけた「アイラブインターネット」、初のボカロオリジナル曲「ネクロバイト」を披露。「ネクロバイト」の曲中では「ゲストボーカル、重音テトー!」と紹介して、ボカロとのハーモニーを響かせた。間髪入れず弌誠の「モエチャッカファイア」を“歌ってみた”後は、いよいよラストチューンへ。「Untouchable」を全力投球し、会場をすさまじいグルーヴで包み込んでいった。

本編が終わり、すぐさま起こった大音量のアンコールとクラップ。大体こういう時はクラップが走ってバラつくものだが、最後まで綺麗に一定のリズムを保ち続けていた保護者の団結感が半端なく、脱帽した。やがてバンドメンバーがステージにカムバック。超学生も上半身をTシャツに着替えて登場。割れんばかりの歓声に迎えられ「アンコールありがとう!」と笑顔を見せると、息つく間もなく「しゅきしゅきメイドマスカレイド」をお見舞いした。

ここで超学生からのサプライズ。「ツアーファイナルということで、特別な許可を得て、皆さんにお見せしたいものがあります!」と何やら黒い箱をゴソゴソ。取り出されたのは金色に輝く盾。「皆さんと一緒に獲ったYouTubeの金の盾でございます!」と満面の笑みを浮かべる。YouTubeでは2015年からコツコツと動画投稿を続け、今年8月にYouTube登録者数100万人を突破した。そんな努力が身を結んだ証。ツアーへの持ち出しが難しかったそうだが、超学生が“絶対にみんなに見せたかった”と無理を言ったそう。そんな気遣いが嬉しい。もちろん保護者は大喜びで「おめでとう!」「ありがとう!」と口々に愛と感謝を伝えていた。

「終わりたくないから悪あがきをいっぱいしてるんですが」と名残惜しそうな超学生はグッズ紹介や記念撮影を経て、ツアータイトル『音欲の秋』に込めた想いを話し始める。「僕は、皆さんの人生を支えているのは欲望なんじゃないかなと常々思っています。大小さまざまな欲望が、皆さんの人生を支える足場となり、目標となり、活力となっている。『音欲の秋』は、皆さんの人生を支える欲望の中に“音楽が少しでも入ってくれたら”と思ってつけたタイトルです。ライブでは、リアルタイムに生きた声と音を届けて、“もう一度浴びたい”と思ってもらえるようなものを作れたらと思って、たくさん準備をしてまいりました」とツアーにかけた想いを語る。

続けてライブへの想いも口にする。「8月から始まったイベント、フェス、ツアーは、何も隠さずに正直に自分自身の音楽をやるということを目標に取り組んでいますが、僕は今この瞬間、心の中に皆さんというあたたかい光を感じることができています。これから皆さんと一緒にたくさんの音楽とライブを重ねて、いつか武道館という大きな舞台で、今度は僕が皆さんの心の中の火を灯せたらと思っています。それまでどうか応援よろしくお願いします」と決意を述べ、「僕のことを初めてインターネットで羽ばたかせてくれた楽曲です。一緒に入室して歌ってくれたら嬉しいです」と想いを込めて「ルーム No.4」を大切そうに歌い上げた。

「今日という日を大阪で迎えられて本当に光栄に思っています!」と改めて感謝を述べ、いよいよ終幕か……というところで「帰りたくねえなあ」と呟く超学生から、もうひとつスペシャルなサプライズが贈られた。それは次なるツアーのお知らせ。来年3月に東名阪ツアー2026『Reverb』を行うことが決定した。彼が武道館への道筋として示した新たな一歩に、保護者は歓喜の声を上げる。超学生は達成感と充実感を滲ませた表情で、2階まで届くほどの地声で「ありがとうございましたー!」と叫び、ステージを後にした。

こうして<超学生 全国ホールワンマンツアー2025~音欲の秋~>は大団円で幕を閉じた。初めて全国を回り、彼が各地で見てきた景色と想いは、また次なる創作へと繋がっていく。来年春のツアーではどんな姿を見せてくれるだろう。今から楽しみだ。

取材・文◎久保田 瑛理
撮影◎堀卓朗[ELENORE]

■セットリスト

1​. pa pa pa
2​. キャットラビング
3​. サイコ
4​. オーバールック
5​. 超獣戯画
6​. ファントム
7​. キラーチューナー
8​. ラヴィブルーム
9​. イガク
10​. ラビットホール
11​. 混沌ブギ
12​. 阿弥陀籤
13​. インキュベーター
14​. Did you see the sunrise?
15​. アイラブインターネット
16​. ネクロバイト
17​. モエチャッカファイア
18​. Untouchable
19​. しゅきしゅきメイドマスカレイド
20​. ルーム No​.4

<超学生 東名阪ツアー2026『Reverb』>
・公演日程:
2026年3月7日(土)大阪・NHK大阪ホール 開場 17:00 / 開演 18:00
2026年3月15日(日)愛知・COMTEC PORTBASE 開場16:30 / 開演 17:30
2026年3月22日(日)東京・Kanadevia Hall 開場16:30 / 開演 17:30

・料金・券種:
特典付指定席:8,800円(税込)
指定席:7,700円(税込)

・超学生OFFICIAL FANCLUB 先行
【受付期間】2025年10月5日(日)20:00 〜 10月13日(月祝)23:59

・公演に関するお問い合わせ
大阪公演:キョードーインフォメーション TEL:0570-200-888 (12:00~17:00 土日祝休業)
愛知公演:サンデーフォークプロモーション TEL:052-320-9100 (全日12:00~18:00)
東京公演:DISK GARAGE https://info.diskgarage.com/

■リリース情報

■超学生「阿弥陀籤」
歌:超学生
作詞・作曲・編曲:辻村有記
配信日:2025年10月3日(金)
配信URL:https://lnk.to/chogakusei_amidakuji
MV:https://youtu.be/XHG89IyDXA4

■超学生 2nd Album『アンフィテアトルム』
発売日:2025年10月29日(水)
特設サイト:https://chogakusei-pc.com/

<初回限定盤(CD+Blu-ray)>
[価格]4,950円(税込) 
[品番]PCCA-06428
[収録内容]
【CD】

  1. 永久アンフィテアトルへようこそ [ Lyrics, Music & Arrangement: 原口沙輔 ]
  2. 阿弥陀籤 [ Lyrics, Music & Arrangement : 辻村有記 ]
  3. CLAPTRAP [ Lyrics, Music & Arrangement: zensen ]
  4. pa pa pa [ Lyrics, Music & Arrangement : 前田佑, 久保田真悟(Jazzin’park), 栗原暁(Jazzin’park) ]
  5. キラーチューナー [ Lyrics, Music & Arrangement : フロクロ ]
  6. CGS [ Lyrics & Music: 超学生, Arrangement: ESME MORI ]
  7. ファンデモーニカ [ Lyrics & Music: 弌誠, Arrangement: 9maBear, Ahhri ]
  8. Hazure [ Lyrics&Music : 辻村有記, 山中拓也(THE ORAL CIGARETTES), Arrangement: 辻村有記 ]
  9. しゅきしゅきメイドマスカレイド [ Lyrics, Music & Arrangement : チバニャン ]
  10. レベチ [ Lyrics, Music & Arrangement: 宮守文学 ]
  11. アイラブインターネット [ Lyrics, Music & Arrangement : 超学生 ]

【Blu-ray】
・Making of「アンフィテアトルム」
・霊視芸人に超学生の自宅を視てもらおう

<通常盤(CD ONLY)>
[価格]3,300円(税込) 
[品番]PCCA-06429
[収録内容]
初回限定盤のCDと同内容

【購入特典】
・初回限定盤対象 早期予約特典:直筆サイン入り「ポストカード」
・初回生産限定封入特典:「超学生のボイス録音会」応募券
・販売店舗別オリジナル特典
Amazon.co.jp:メガジャケ
タワーレコードおよびTOWER mini全店、タワーレコードオンライン:スマホサイズステッカー
全国アニメイト(通販含む):56mm缶バッジ+クリアカード(54mm×86mm)
楽天ブックス:アクリルキーホルダー(5cm)
セブンネットショッピング:ラバーバンド(幅12mm×長さ190mm)

▼CDのご購入はコチラから
https://lnk.to/chogakusei_Anfiteatorumu_CD

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