【インタビュー】ASH DA HERO、ギターレスのミクスチャーロックバンドが完全無欠な理由「海の向こうを沸かせてきた俺たちの自信たっぷりな現在進行形」

2025.10.09 18:00

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■ロックバンドがやらなくて
■誰がやるんだって思い

──Satoさんが従来のベーススタイルを超越して、ベースでギターの音やフレーズも兼任するようになったのと同じように、Dhalsimさんも4人体制になって役割分担が増大したと。

Dhalsim:激変しました。ライブで音源を再現するために、その裏では全曲プログラミングを組んでるんですよ。曲を作るたびに、プロデューサーのレフティー(Ryo“LEFTY”Miyata)さんから、「これいいじゃん、カッコいいじゃん、面白いじゃん」っていうアイデアがどんどん出てきたので、それをライブの場では生で再現しなきゃいけない。その責任にかられてます。

──システムの変化もあったでしょうし、下準備の作業量は膨大ですね。

Dhalsim:「めっちゃカッコいい曲できたじゃん!」ってなっても、我々はロックバンドですしライブバンドなので、いざライブで再現しようとしたら「できませんでした」では話にならないから。そこのシステムを組むのが本当に大変なんです(笑)。

──音源とライブは別ものという考え方ではなく、再現しようと。

Dhalsim:ロックバンドでありながらも、実はプログラミングが超複雑で。分かりづらいかもしれないけど、DJ以外にそこも担ってる感じ。ライブでぜひ観てほしいです。

──マニピュレーターの役割も担っているということですね。では、Satoさんの思い入れが深い曲は?

Sato:4人体制の初音源『New Chapter』とはまた全然意味合いが違うアルバムになったなって、すごく感じてるんです。そのなかで敢えて1曲選ぶとしたら「Judgement (HYPERBEAT ver.)」かな。

ASH:この曲の新アレンジが完成したときは、俺ら全員、Satoくんにスタンディングオベーションだったよ、マジで。

Sato:アルバム『HYPERBEAT』収録曲のなかでは一番古い曲ですけど、自分のなかでは一番新しい。アルバムにはベーシストライクに弾いてる曲や、ベースらしい暴れ方をしている曲もあるけど、この曲はもはや、ベースなのかなんなのか。

──イントロからして、ギターかな?ベースかな? いや、全曲ギターレスだからベースだ!という衝撃が。

Sato:そうなんです。ギターか?ベースか?ていうのは、だいたい僕がベースで弾いてます。4人体制になってからこの1年、みんなと試行錯誤してきたものが、自分のエゴも入れながら、一番巧く表現できたのがこの曲かな。レフティーさんのプロダクションの上で、原曲「Judgement」の耳に残ってるフレーズはそのまま弾きつつ新たなアレンジを施したので。だから、今までのASH DA HEROの歩みも大事にしながら、自分らしさをたっぷり入れることができた。

──ちなみに、何トラックくらい重ねているんですか?

Sato:たぶんベースのトラックは9トラックぐらいだったと思う。

──えっ!?

Sato:そんなの僕も過去にやったことがありません(笑)。

──定石をぶち破った1曲ですね。

Sato:はい。自分はもともと、保守的だったんですよ。ベースってバンド内ではディフェンダー的なポジションというイメージが一般的だと思うんですけど、そんな従来の自分の考えを一番ぶっ壊してくれたのが「Judgement (HYPERBEAT ver.)」で。今回は、純粋に面白がりながらレコーディングできたんです。「誰もやってないし、やろうとしても真似できないよね」というところが僕個人としては面白い。ライブでも再現しているので、楽しみにしててほしいし、細かいところまで聴いてほしいですね。

──バンドメンバーもスタンディングオベーションするくらい、驚きだったと。

ASH:サンディエゴのフリーウェイで聴いたんですけど、窓開けて、スピーカーのボリュームをフルテンにして、ブチ上がったもんな。

WANI:「イェー! 最高じゃん!」って。

ASH:Satoくんが言ったように、マジで絶対誰にも真似できない、唯一無二の音が完成したと思ってます。

──アルバムとしては、6曲目「Street Gospel」、7曲目「Gotham」、8曲目「Folie a Deux」の流れも重要なポイントではないかなと思っているのですが。

ASH:アルバムのド真ん中に位置するという意味でも大切な楽曲たちですね、セクションとして。

──まず「Gotham」は?

ASH:「Gotham」の音は、僕自身がフィリピンのマニラで録った音です。あの日は豪雨で、ホテルの周りをうろうろ歩いて部屋に戻ったり、一連の所作を全部録ったんですよ。

──生活音ですか。

ASH:この3曲は、楽しそうに見える裏側には、往々にしてそれだけではないものがあるよねというところを表現したかった。最近の世の中はSNSはじめ、楽しそうな部分ばかりが映りすぎだから。暗くて誰も救ってくれない部分にスポットを当てたかったんです。ロックバンドがそれをやらなくて誰がやるんだって思いで。そういうところが一番詰まったセクションですね。この6〜8曲目は。

──「Street Gospel」から漂う匂いもそうですね。

ASH:うん、この曲こそ最も令和的ミクスチャーロックだなと思ってます。

Sato:僕も名曲だと思います。それに、6~8曲目のセクションって、僕が思うASHソロ時代から脈々とあるアイデンティティーを感じるんですよ。

ASH:昔から歌ってきたことや変わらず歌いたいことが一番詰まってるかもしれない。「Folie à Deux」は爽やかに開けていく曲なのに、歌詞が暗い。作品としてよく仕上げることができたなと思ってるし、めちゃくちゃ気に入ってます。

──なるほど。

ASH:“楽しくない”と思って日々を過ごしてる人のほうが多いと思うんですよ、世の中。“なんで自分ばかりが?” “なんで私だけが?”って。時代を追うごとにそれが強くなってきてる気がするので、こういうメッセージは歌っていきたいですね。

──そして、アルバムリリース後には、ワールドツアーの締めくくりとなる日本公演が開催されます。全ヵ所セットリストを変えるそうですね。

ASH:そう、変えようと思ってます。同時に、ワールドツアーで海の向こうのオーディエンスを沸かせてきた俺たちの、自信たっぷりな現在進行形のショーを体感してもらえると思います。

──アルバム収録新曲のライブ披露も楽しみです。そして、ファイナルは神奈川・KT Zepp Yokohama。

ASH:こちらはスペシャルゲストが出演してくれますし、懐かしい曲もやる予定です。なぜなら、ASH DA HEROソロ始動から10周年なので。この日は史上最大のボリュームで、ワールドツアーのファイナルに相応しいスペシャルなライブを考えているので、是非来てください!

取材・文◎東條祥恵
撮影◎井上翔

 

▲初回限定盤
▲通常盤

■3rdフルアルバム『HYPERBEAT』
2025年9月17日(水)発売
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
LAMR-35036 9,350円(税込)
Blu-ray:<ASH DA HERO LIVE 2025 “New Chapter”>Zepp Shinjuku(TOKYO) Live Movie
販売リンク:https://lnk.to/LAMR-35036
【通常盤(CD)】
LAMR-5036 4,180円(税込)
販売リンク:https://lnk.to/LAMR-5036
▼CD収録曲
01 倍返し (feat.ラッパ我リヤ)
02 SAMURAI WAY
03 LA VIDA LOCA
04 VANDALISM
05 Break Free
06 Street Gospel
07 Gotham
08 Folie à Deux
09 Meteora
10 Supercritical (feat. GASHIMA)
11 ボタニカル・ダンス・クラブ
12 ブラッパ!!
13 Judgement (HYPERBEAT ver.)
●店舗特典一覧(形態別) ※アーティスト写真使用特典
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■<ASH DA HERO “WORLD TOUR” 2025>日本公演
09月20日(土) 大阪・梅田 BananaHall ※ASH生誕祭
10月25日(土) 愛知・名古屋 Electric Lady Land
11月08日(土) 神奈川・KT Zepp Yokohama ※ワールドツアーFINAL

 

■関連リンク
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◆【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES”

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