【インタビュー】locofrank、7年ぶり8thフルアルバム『Resound』の意義深い革新度「しんどくてもええから笑いながら走り抜けたい」

■アレンジは3人でスタジオに入って
■納得度や満足感は今回ぶっちぎり
──そして「CHOICE」はこれまでのlocofrankを進化させた曲だなと思いました。
森:これは“The locofrank”ですね。制作の最後に正行が持ってきたんですよ。絞り出したんだと思います。
木下:スタジオの喫煙所にアコギだけ持って行って、“こんな感じのサビで”みたく浮かんで。
森:テンポ遅、とは思ったけど(一同笑)。
横川:でも、これはlocofrankやな、っていうまっすぐな印象がありました。
──ド頭から檄を飛ばすような感じもそうですし、スリルやサビの伸びやかなメロディーや、畳み掛けるアレンジなど、ライヴハウスの熱狂がすぐに想像できた曲です。こういった王道的な曲がフルアルバムにほしかったということも?
木下:どうやったかな……まあ、最後っ屁みたいな感じかな(笑)。
──はははは。“こういう存在がほしい”と思ってたのか、“まだ何かあるんじゃないか”と絞り出したのか、で言うとどっちが近いですか?
木下:どっちもありますね。自分の中で変化をつけようと思っても、それが思うほど出えへんくて。もうストレートな感じで出したんやと思うけど。そこにリズムやコード感をつけてもらって、あんな風な曲になってくれましたね。
──横川さん的に大変だったなと思う曲は?
横川:「Time to go」はグワッといくドラムを入れたかったんで、手数的な話になるんですけど、そこは大変でしたね。
──この曲のロックンロールな色味には新しさもありますし、横川さんが持ち込んだ曲だからこそかなと思います。最後、ビッグコーラスになりますけど、あれは最初からイメージしてたんですか?
横川:そうですね。結構、最初のイメージのまま仕上がったかな。
──ああいうタイプのコーラスって、これまでlocofrankにあまりなかったようにも感じてて。
横川:あぁ、何かあったかな……そう言われるとないかもですね。
──他にも横川さんが作詞作曲した「My dear darling」のサビのコーラスもあまりないパターンだなと。バンドにいい刺激や変革を横川さんがもたらしてるんだろうな、と思いながら聴いてました。やっぱり、横川さんの曲にはこれまでにない面白さを感じたりしてます?
森:自分にはないもののほうが多いんですよね。だから、ほとんどイジってないんちゃうかな。よこしんのデモに入ってたギターのフレーズもそのまま弾いてるし。
──そこはギタリストとして自分の色を、とはならない?
森:逆にオレがへんにアレンジしちゃうと、自分の色が出すぎちゃうと思ったんですよ。
──正行さんも特にリクエストはせず?
木下:よこしんが仮歌も入れた状態でデモを持ち込んでくれるから、歌メロの部分で少しはリクエストもしたけど、それ以外ではそんなになかったですね。
──もしかして……横川さんって楽器とかDTMとか何でもできるタイプ?
横川:いやいや、ちょっとぐらいっす(笑)。そんなに凄いことはできないんですけど、イメージが伝わりやすいんじゃないかな、と思ってやってるぐらいですよ。

──今回はバンドに曲を持ち込んだ人が歌詞を書いてるパターンがほとんどですけど、「LAST WORDS」だけ作曲が横川さんで作詞が正行さんと分かれてますよね。
木下:これはよこしんが曲を作ってきて聴いたとき、詞を書くにあたってひとつのキッカケになればって“こういう風に思ったんやけど”と歌に関して伝えたんです。そうしたら「だったら、書きますか?」と言ってくれたんですよね。だから、オレがお願いして書かせてもらったみたいな。
──曲を聴いて、それぐらい明確に書きたいものが見えたという。
木下:大げさかもしれんけど、あのメロディーにグッと惹き寄せられたというか。
──歌詞は亡き友へ贈るレクイエムかなと受け止めましたが。
木下:まさにそうで。御存知の通り、今までの長い年月の中でも最近もおみおくりしてきたし。自分たちもこの歳になると、10年前や20年前とはまた違う想いもある。これからも自然の摂理としてそういうことがあるんやろうけど、そういうことと向き合ったときに書きたい歌詞が出てきたんです。
──そして「rainmaker」は、雨バンドと呼ばれてることを逆手にとったショートチューンですよね。
木下:この曲のキッカケはゴウさんなんですよ。「ここまできたら、そういう曲を作っちゃいなよ」みたいなことを言われて。この曲は『25』のボーナストラックだったんですけど、「<SQUAD GOALS TOUR>で雨が降ったら演奏しようや」と言ってたら、そのツアーでは全然降れへんくて(一同笑)。
──勝手な深読みかもしれませんが、みんなが嫌がるようなことも視点を変えればそんなに悪いもんじゃない。捉え方ひとつで人生は楽しめる、みたいなメッセージも感じたんです。
木下:まぁしゃあないですよ、こんだけ雨バンドって言われたら(笑)。
──ただ、今だからこそ余裕を持って笑い飛ばすように歌えるのかなと。
木下:それはそうかもね。

──勇介さん的に制作を振り返って思い入れの深い曲はありますか?
森:何だろうな……今回に関して言えば、この曲っていうより全体的なアレンジ面ですね。1曲1曲のアレンジは3人でスタジオに入って、「あのパターンにするか。いや、こっちかな」みたいなことをずっとやってたんですよ。1曲1曲の納得度や満足感が今回はぶっちぎりなんじゃないかな……いや、「CHOICE」以外は。「CHOICE」は出てくるのが遅かったんで(笑)。
──アルバム制作の最後に正行さんが絞り出したっていう話でしたもんね。
木下:だから「CHOICE」のアレンジはマジで勢い。それぞれの得意技を入れようみたいな。
──しかし、locofrankは相変わらずスタジオで全員揃ってアレンジを詰めてるんですね。今、そうしないバンドも増えてるじゃないですか。
森:データのやり取りでできちゃいますからね。そのほうが便利だけど、実際に全員で合わせたときに「んっ?!」っていうのが出てくるんですよ。「聴こえはいいけど何か違うな」って。そういうことがあるから、今回もスタジオで1曲目から順番に3〜4時間ずっと演奏したり。「これでいいんかな? 大丈夫かな?」みたいな。
木下:何回もやったな、それ。
──プリプロ的なことですか?
森:そう。それがあったから、レコーディングでちょっと上手に弾けました(一同笑)。







