思いっきりファンのひんしゅくを買う覚悟で書くけど、マニック・ストリート・プリーチャーズとオアシスの、今回のフジ・ロックのステージにおける良さが僕には全然わからない。いや、理屈ではわかるんである。でも正直、あの日、あの場所で、その2バンドのライヴを見ながら退屈してしまったことは紛れもない事実である。 僕が彼らのファンであるかないかは問題じゃない。たとえ未知のバンドでも琴線に触れるライヴを見せてくれれば、僕は素直に反応する。しかし、マニック・ストリート・プリーチャーズとオアシスには、残念ながらそれがなかった。 それでもまだマニック・ストリート・プリーチャーズは、ちょっといいなぁと思えた。やはり、あの泣きのメロディは素晴らしい。僕好みでもある。ジェームスはすっかり太ってしまって、マイクの前から一歩も動かなかったけれど、あれだけ立て続けに歌っても、最後まできれいに高音が出るんだから、やっぱり歌、上手いよね。 ▲Manic Street Preachers ニッキー跳ぶ! の図。思えばステージ上の女装ってNirvanaのカートから一般化したなぁ | 確かに曲はいい。歌もいい。演奏もタイトだ。でも、ただ曲を演奏しているだけじゃん……。楽器を取っかえひっかえ楽しませてくれたセミソニックを見たあとだから、よけいにそう思ったのかもしれない。もしかしたら、僕のないものねだりなのかもしれない。でも、エンターテイメントなショウを見せてくれとは言わないけれど、もうちょっと何か「見せる」工夫が欲しい。 途中、「雨に濡れても」を含む3曲を、ジェームスがアコースティック・ギターで弾き語ったりもしたけれど、選曲の意外性以外には、敢えてアコースティック・ギターで弾き語りするおもしろさは見出せなかった。ニッキーもワンピースを着て、広いステージを駆け回り、ぴょんぴょん飛び跳ねてはいたけれど、見た目のおもしろさ以上の効果はこれといってなかったように思う。 イギリスの国民的バンドだけに辛口にもなっているし、彼らに対して過度に求めているのかもしれない。しかし、イギリスを代表するバンドだからこそ、こちらの予想以上のモノを見せてほしい。それでなきゃ演奏終了後、ドラム・セットを壊してもむなしさが残るだけだ。 文●山口智男 |