アナーキー、26周年ボックスセット『内祝』登場! 特集 INTERVIEW編
──『内祝』では、皆さんのインタヴューが見応えありますね。 仲野 茂(以下、仲野):インタヴューは嫌っていうぐらい撮った。なるべく本当のことを喋ろうと思ってるんだけど、アナーキーの売りって素っ裸みたいなもんだから。やっぱりカメラが回ってると考えちゃう。それでも正直に喋りたいなとか思ってるのに、監督の太田(達也)の方が“これマズイんじゃないですか”とかね(笑)。 ──忌憚のない言葉を引き出しているのは,長年つきあいの太田監督ならではと思います。 仲野:今考えてみても、メジャー・デビューした割に俺たち自由にやっててさ。太田とかが楽屋に来て、“撮らせてください”っていうと“いいよ”っていう感じなんだな。デザイナーのサカグチケンにしてもそうだけど。 ──当時は今ほど(アーティストから)メディアへの対応が厳しくなかったのでは? 仲野:あるとこはあったんじゃない? でも今ほどロックが確立されてないから、1万枚売れれば大ヒットって言われて、がっかりだよ(笑)。自分たちじゃ売れると思ってたからね、ホントに。レッド・ツェッペリンとかディープ・パープルが自家用飛行機で移動してるとか言うからさ、レコード・デビューしたら俺たちも自家用飛行機買うか、なんてね(笑)。子供だよね。 ──ロック・ドリームですか(笑) 仲野:持ってたよ。だから何でも欲しいもの言えとか友達に言ってて、嘘つき呼ばわりされたもん。お袋まで“車買い替えたいんだけど”って言うから、“待ってろ運転手付きでベンツが行くから”とか。 ──それだけバンドへの情熱が強かった? 仲野:どうだろうねえ。俺たちは高校の同級だしさ、ツアー行っても修学旅行みたいで、いたずらばっかやってたからさ。 ──そういう話もDVDに収録されてますけど、今になって語るのはどうだったんでしょう? マリさんのこととか辛いことも言わなきゃならないし。 仲野:辛くはないけど……。もう随分時間が経ってるからね。マリの事件の前に、アナーキーは休止しようって話が出てたからね。みんな休止するってことで、考えてたわけよ。寺岡はNYに行くとかさ。俺は<バハ1000>ていうバイクのラリーに出る目的もあったりさ。その矢先だったからさ。 ──休止を考えた理由は? 仲野:ずっと夢中でやってきて、国鉄服脱いで、みんな音楽的になっていけばいく程売れなくなって行くわけじゃない? そういうところでの煮詰まりっていうか。 ──初期の国鉄服時代のイメージが強すぎたことと、バンドの状態との軋轢もあったのでは? 仲野:いろいろ質問されるじゃない? パンクって何だとかさ。ここまで経ってみると、俺はピストルズだと思うし、『Never Mind(The Bollocks)』(邦題:勝手にしやがれ)1枚で終わっちゃうのがパンクだと思う。俺たちも1枚目はそうだったと思うんだよね。でもパンクって持続するもんじゃないじゃない? 持続できないからね。ザ・クラッシュもそうだし。パンクで出てもロックにならざるを得ない。どんなに衝撃的なことをやっても、その衝撃を同じバンドが追い越せるわけはないんでね。 ──アナーキーもですか? 仲野:すべてがそうなんじゃないかな。そうじゃないのはチャック・ベリーぐらいだよね。 ──ルースターズをすごく意識してたことは意外に思えたんですが。 仲野:こじゃれてたんだよ(笑)。当時、日本語で歌わなきゃダメだみたいな、変な風潮があって。それでも奴らは英語でやってたし、12インチとか出しちゃって、アフリカン・ビートとか取り入れたりして。いちいちやることが、こじゃれてるんだよ。本当は俺たちが、こじゃれてなきゃいけねえんじゃねえのってのがあるんだけど(笑)。匂い的にも対極じゃない? 向こうはクールだし。 ──仮想敵を想定するのもバンドのエネルギーになっていたのでは? 仲野:そうだね。俺たちがデビューした頃は大学生が高中正義とか聴いててさ、ふざけんなって。大学生にすげえムカついてたね。小さい時に俺、大学生に憧れてたから。大学生になったらメット被ってぶっとばせると思ってた。小6からずっと夢見ててさ。小6の時に、東大安田講堂が落ちたのね。
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