湘南乃風、不器用な男のラヴソング「純恋歌」！～先行着うた配信＆シングル特集

いい曲だ。湘南乃風を昔からよく知るファンならば、「奴らはとうとうここまで行ったか」と感慨にふけり、彼らをレゲエ・グループだととらえていた人は「こんな曲も歌うのか？」と驚き、そして彼らをまだ知らない人は「なんてやさしくて力強い愛の歌なんだ」と素直に思うだろう。いずれにせよ、魂のこもった愛のメッセージは必ず聴き手の心を揺り動かすのだという、力強い意思が曲全体から立ち上ってくる。「純恋歌」は、そういう曲だ。 端正なピアノが哀愁のメロディを奏で、叙情豊かなストリングスがその背景を美しく彩る。そこへ＜目を閉じれば億千の星…＞と、せつなさいっぱいの歌声が飛び込んでくるイントロだけで、ごく自然に聴き手は物語の中へ引き込まれてゆく。そして男くさい太い声で語られるのは、偶然のきっかけによる彼女との出会い、楽しい日々、ケンカや仲直りをなど長い年月を経て、＜ヨボヨボになっても＞一緒にいようぜという、純でリアルな男と女の人生の物語。リズムはレゲエではなく、歌のメロディを存分に活かしたスタイルで、これは彼らにとって大きな挑戦だろうが、何よりも伝えたいメッセージがあるから、一つの「歌」として純粋に感動できる。彼らの思いは確実に大きな壁をぶち破り、より広い世界を提示することに成功している。 しかし、もちろん、彼らは骨の髄までレゲエ・グループであることに変わりはない。そんな彼らが好きなファンのためにも、カップリング２曲目「武乱入」には、心臓の鼓動を倍増させるような強力アゲアゲ・チューンが用意されているし、３曲目「JUMP AROUND」も、ジャマイカ録音の最新リディム（バックトラック）が炸裂するすさまじいアップテンポ・ナンバーだ。何も心配はいらない。 自らの立つ場所を明確にした上で、新しい扉を開け放った湘南乃風がこれからどこへ行くのか。今まで以上に注目していかなければなるまい。 文●宮本英夫

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