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まばゆくも近づき難い雰囲気を持つエレクトロ・シンセ・ポップ二人組。
セオ・ハッチクラフト/Theo Hutchcraft(vo)とアダム・アンダーソン/Adam Anderson(Synthesiser,electronics, guitar)により、マンチェスターにて結成。光るソングライティング・センスを持つアダムはマンチェスター郊外のヘイゼル・グローヴ出身。祖父は戦時中にクイーン(王妃)のためにバンジョーを弾いていたエンターテイナーだが、父は30年以上地元で働く牛乳配達人であった。“ハーツの声”“生まれつきのポップ・スター”セオは、ノース・ヨークシャイア生まれだが、まだ青年のころ家を飛び出し、転々としたのちマンチェスターに落ち着いた。

ミュージシャンを目指して実家を飛び出したふたりは、かつて4年間ほど失業保険を受給しながら非常に貧しいバイト生活を営んでいた。そのことと、彼らのビジュアル・イメージとは深い関係がある。

「本当に貧しい生活を送っていて、心底惨めな気持ちになっていたんだ。だからせめて失業手当をもらいに行く時くらいきちんとしたかっこうをしようと思った。自分たちの誇りを保つ唯一の方法だったと言ってもいい。フォーマルなかっこうをすると精神も引き締まるし自分の態度にも表れていくものなんだ」(アダム)。「だからどんなに暑い夏フェスでもステージではスーツを着るよ!」(セオ)。

ふたりは以前DAGGERSという“パーティー・バンド”を他のメンバーと共に結成していたが、2008年の終わりころハーツとしてふたりだけで再出発を果たした。すぐさまふたりはイタリアのヴェローナへ飛んだ。「本来はイタロ・ディスコ[※]を求めての旅だったのに、代わりにそこにあったものがディスコ・レント[※]だったってわけなんだ」(セオ)。

彼らはほかにも、オーティス・レディング、ザ・ライチャス・ブラザーズ、プリンスからの強い影響とソウル・ミュージック全般、映画サウンド・トラック全般、そして1980年代ニュー・ウェイヴ以降のエレクトロ・ポップからの音楽的影響を公言しているが、コンセプトそのものは、イギリス人特有の「まんざら悪くない(not too bad)」というメンタリティーからインスパイアされているという。

セオ曰く「『元気?』と聞かれてたいてい『まんざらでもないね』と答えるのって、たいして面白くないだろ。しかしそれは希望と失望のハザマにいるってことなわけで、考えようによっては非常に興味深いものに成り得るんだよ」。

2010年9月初旬、UKとヨーロッパ各国で次々とアルバム・デビュー。本国UK、デンマーク、スウェーデン、ギリシャではiTunesチャートで2位、ドイツ、スイス、オーストリア、スペイン、フィンランド、ルクセンブルクの各国では同1位に輝き、またUKの総合チャートでは初登場4位を記録した。