[クロスビート取材こぼれ話] ハーツ

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デビュー・アルバム『ハピネス』のクレジットには、グルーミング(身繕い)の担当者まで入れてしまうというコダワリ具合がそのアティテュードを表わしてもいる、英国若手、いや、ロック界随一の洒落者ハーツ。2010年のサマーソニックに続く2度目の来日は東京と大阪で3公演が行なわれたが、ビシッと決めた服装や髪型はこれまで通りのまま、ステージ上でのパフォーマンスはよりアクティヴに、ダイナミックに、そして情熱的になっていた。ヴォーカルのセオは腕を振り上げ、前後左右に動き回り、もちろんエモーショナルに歌う。淡々とキーボードを弾いていた相棒のアダムは、「イヴリン」でいきなりエレキ・ギターを構えて荒々しく掻きむしる。そんな彼らにオーディエンスはより一層燃えて、ライヴは大いに盛り上がった。

◆ハーツ画像

しかし、日本ツアー最終日にはアダムが歯痛でダウンして、ショウに参加できないというアクシデントが。特に代役を立てることもなく乗り切ったハーツだったが、本誌の取材に現われたのもセオだけだった。もちろんここでもビシッと決めていた彼は、主にライヴ体験について聞いていくこちらの質問に、そこはかとなく貫禄すら漂わせながら、まるで彼らの音楽のようにドラマを感じさせる話し方で、しかも随所に笑いを交えつつ、どんどん答えていく。

実はセオ、大学で日本語の勉強をしたことがあるそうで、本誌を見ながら「“ア”は、『アー』って声を出してるみたいな形」「“ウ”は、背中にものが乗って『ウーッ』って言ってるみたいな形」「“ハ”は、形がハット(帽子)に似てる」などと、カタカナの覚え方の簡易授業を展開してくれた。変に気取ったり格好つけたりはせず、実に気さくで親しみやすいその雰囲気と物腰は、この人を嫌いになるのは相当難しいんじゃないかなあと思わせるほど。ビシッと決めた格好のまま、焼鳥屋で膝を交えて飲んでみたいと思った次第だ(笑)。

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