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オーガスターナ(augustana)は、もともとはイリノイ州グリーンヴィル・カレッジにて結成されたカレッジ・バンド。西海岸で生まれ育ったリードボーカルのダン・レイアス(Dan Layus)がもともと音楽を専攻しており、ジョサイア・ローゼン(Josiah Rosen)を誘ってバンドを始め、他メンバーを勧誘する。(オリジナルのバンドメンバーは、ダン・レイアス、ジョサイア・ローゼン、シメオン・ロウマン、カイル・ベイカーの4人。)バンド名は「オーガスターナ」・・・ラテン語で「希望の小さな兆し」を意味する。学内でオルタナ・ロック(あるいはピアノ・ロックと言ってもいい)の楽曲を自主制作しつつ活動し、2003年に大学にて"Midwest Skies" "Sleepless Mondays"の2曲をレコーディング。その後、グリーンヴィルで「Mayfield」と題したEPを自主発売し、すぐに地元で反響を呼ぶようになる。(しかしバンドからドラムのカイルとベースのシメオンが脱退、しかしJosh Calhoun(ドラム)、Jared Palomar(キーボードからベースに転向)の2人がほどなく参加している。)

EPの売れ行きも好調な一方で、大学に幻滅し、そしてやる気を削がれる毎日の中で、バンドは遂に大学中退を決意、レーベルを探しにカリフォルニアへと向かうことになる・・・単なるカレッジ・バンドを超えるために。レーベル向けのショーケースをいくつか行ったあと、ほどなく2004年にエピック・レコードと契約。(この間、さらにメンバーチェンジがあり、Josh CalhounがJustin Southと入れ替わる。)

契約後すぐに、彼らは伝説的プロデューサー、ブレンダン・オブライエン(ブルース・スプリングスティーン、パール・ジャムほか)の手に託されることになる。アトランタにあるオブライエンのスタジオで、オブライエンはバンドの音作りの芯の芯にまで関わった。「みな、自分が本当に好きな音と、自分が聞く音はさまざまだ。だけど、スタジオでみんなで一致した音作りができたよ。」(Dan) オブライエンは4人のバンドメンバー個々の個性を引き出すことにも徹している。「アルバムを聞いてみれば、すべての音がパーフェクトなわけではないし、声がスムースにのっていない箇所もあるよ。でもそれが自然なんだ。ミスもあるけど、でもブレンダンはそのリアルさを求めていたし、それは僕らにとっても大事なことだった。よりライブ感のある音にしたかったんだ。」(Dan) 結果として、このアルバムには個性豊かな色々な要素のフレイバーが詰まっている。このアルバムは誰かの焼き直しでも真似でもない。オーガスターナは、いつも彼ら自身のありのままでいるのである。

彼らのメジャー・デビュー・アルバムとなる今作『幾千の星と路と』(原題:All the Stars and Boulevards)は彼らの岐路を表現したアルバムといってもいい - このアルバムはニューヨーク~ロサンゼルス~アトランタ~ボストン~サンディエゴ~などの、彼らの旅の途上の物語であり、そしてその途上で生まれた彼ら自身の自己発見、そして希望の心から生まれている。アルバムは、出だしから大スポットを当てられることが多く、特に彼らの曲の中でも大注目された、シングル「ボストン」(Boston)は、リードボーカルがビーチ沿いでグランドピアノを引き語る美しくも切ないそのビデオクリップが、WBのテレビ番組「One Tree Hill」で大フィーチャーされるなど、テレビ・ラジオで出だし早々大量オンエアされる。このビデオはなんと、WORKレーベルの創始者であるJordan HarrisとJeff Ayeroffがクリエイティブ・ディレクターとして、ビデオクリップ制作にも関わり、ほかオーガスターナのビジュアル・スーパーバイザーともなっているのだ。さらに彼らの音楽は、MBCのコメディ番組「Scrubs」でも曲が多く使われたり、ライブ番組[Jimmy Kimmel Live]や、[The Tonight Show]、[The Late Show With David Letterman]でのライブパフォーマンスなども、大きな話題を呼んだ。

その叙情的なピアノラインとリードボーカル、ダン・レイアスのハスキーな歌声により、オーガスターナのサウンドはゆったりと流れ、そして瞑想的であり、切なくも深々と心に響く音ばかり。荒削りな曲もあるが、彼らの旅の途上~故郷から遠く離れた地で自分の人生を見つめなおしたストーリーが溢れている。「多くの別れもあったよ。このアルバムには色々な始まりがあり、終わりがある。出発があり到着がある。自分の居場所を考え、でも様々な理由で答えを見つけ出せない・・・・それがこのアルバムのテーマだったりする。自分の中で居場所を考え続けた・・・最後の曲ではなんらかの答えを見つけているけど、でもまだまだ考え中なんだ。」(Dan)
ビリー・ジョエル(Billy Joel)、ベン・フォールズ(Ben Folds)、そしてコールドプレイ(COLDPLAY)などのピアノマンに劣らず、このアルバムに収められた美しいメロディーは、彼らが手にした唯一の美しい武器・・・。儚く孤独ながらも、強い美しさがすべての曲に溢れ、心揺さぶられるのが止まらない。「ヨーロピアン・ロックとオーガニック・アメリカーナのフュージョン」とも評され、曲の中にはビートルズや、さらにはJ-POPの王道バラードにまで通ずるサウンドもあり、日本人の繊細な琴線にふれることだろう。