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レディー・ガガのトップ・セールス・アルバム『ザ・フェイム』を聴いたことがある方なら、収録楽曲「スターストラック」(duet with スペース・カウボーイ feat. フロー・ライダー)もご存じであろう。

冒頭でレディー・ガガがこう叫ぶのだ。
「スペース・カウボーイ、ビートを廻して!」
ヘヴィーなベースとクラップの破裂音、そして切れ味抜群のシンセを響かせて、デュエット・ヴォーカルをそこへ乗せる。

それがアルバム収録楽曲の「スターストラック」だ。言うまでもなくこの曲は、スーパープロデューサー/器楽奏者/ヴォーカリストのスペース・カウボーイの仕業なのである。

レディー・ガガのコラボレーターである彼は、ガガの銀河系宇宙空間探検(インターギャラクティック・アドヴェンチャー)の黒幕としても活躍しているのだ。

(その模様はYouTubeでも視聴可能
:
レディー・ガガのウェブ・エピソード"Transmission Gagavision"で御検索あれ。)

この謎めいていていわくありげなミュージシャン/DJ/プロデューサーは、スペース・カウボーイとして今まさに降臨しようとしているのだ。

しかしまたスペース・カウボーイの素性はそれよりももっと以前まで遡(さかのぼ)ることができる。パリで生まれた彼は、ギターコレクターとしての父親を持ち、産まれて間もなくUKに引っ越す。

そしてそこUK、ロンドンのダンスクラブ・シーンでスペース・カウボーイはDJをつとめ始め、父親から無意識のうちに授かっていたロックの才能を、彼自身の新たなテクノ/エレクトロ/ヒップホップそしてダンススタイルと融合させた。

そしてそれが一筋の光として輝きだしたのが、スペース・カウボーイ特有サウンド"ディジタル・ロック"なるものであった。

それからというもの彼はオリジナルのサウンドを創りつづけ、さらなる試行をくり返す日々を送っていた。
そんな最中、彼のファーストアルバムがインディー・レーベル"Tiger Traxx"よりリリースされ、あのフジロックフェスティバル(@ニッポン)で観客を沸かすこととなった。

彼の斬新なサウンドは音楽界に波紋を呼び、早くも新たなるセカンドアルバムがインディー・レーベルよりリリースされ、アルバムに収録された楽曲「アクロス・ザ・スカイ」が彼のキャリア転機を位置づけたブレイクスルー・トラックとなるのである。

2006年、スペース・カウボーイ固有のエレクトロ・ダンス・ロックサウンドを詰め込んだ『ディジタル・ロック』がUKでのリリース決定。

アルバムにはリード・シングル「マイ・エジプシャン・ラヴァー」を収録。
早速イギリスBBC Radio1局のプレイリストとして全英に流された。
それを聴いていたのが、インタースコープのサブ・レーベル、チェリーツリー・レコーズなのだ。
ニューヨークをベースに精力的にパフォーマンスをこなしていた当時のレディー・ガガと同じレーベルだ。
レーベル内で二人は知り合い、クリエイティヴ面でお互いにビビッときた、というわけだ。
「レディー・ガガとは電話ではじめて話したんだ」、とスペース・カウボーイは回想する。
「彼女は電話で、きらきらの衣裳にディスコボール、それからプリンス、デヴィッド・ボーイ、あとはボディーペイントについて話してたな。

要するに、僕の趣味とおんなじことを語ってたってわけ。」
電話でのその対話後、二人はL.A.で対面することとなる。
ツアーイベントの一環として、レディー・ガガは彼を招待したのだ。
その傍らで二人はスタジオ入りし、楽曲「スターストラック」と、フューチャリスティックなクリスマスソング「クリスマス・ツリー」をレコーディングしている。

それからというもの、スペース・カウボーイはレディー・ガガの側近として動いた。
彼女のライヴ・ショー、ツアーに付いてまわり、しまいには全世界チャート制覇の黒幕役の一人として、その男はレディー・ガガをサポートしてまわったのである。

「ガガのショーは毎晩、真新しいよ」、と彼は言う。
「つまりショーをする街が変わることによって、ショーも変化する。
その街に合わせて、ショーをカスタマイズさせるんだ。
即興のコーラス・ブレイクにビート・ドロップ、彼女のショーはとってもエキサイティングで、断トツにヤバいね。」

移動可能なスタジオを駆使し、複数の仕事を同時にこなす彼は、それぞれのショーに合わせ個性的なミュージック・サウンドをレディー・ガガのために捧げている。

しかしそれと同時に、自分自身のアルバム『ディジタル・ロック』の第二幕、『ディジタル・ロック・スター』のレコーディングもこなしているのだ。

スペース・カウボーイ特有のダンス/ヒップホップ/エレクトロ/ロックを融合させ、『ディジタル・ロック』から数曲のリメイクを含めた全曲新曲のアルバムをレコーディングしている最中なのである。

ニューアルバム『ディジタル・ロック・スター』では、自身の友人でもあるミュージシャンたちを何人かゲストに迎えている。

ロックサウンドを溶け込ませたクラブアンセム「ウイ・ライク・トゥ・パーティー」ではドイツ出身のエレクトロ・グラム・ロッカーズ、シネマ・ビザールをFEATURING。

アルバムのファースト・シングル、「フォーリング・ダウン」ではチェルシー・コルカ(from ザ・パラディソ・ガールズ)をFEATURING。

アルバム収録楽曲のそれぞれのジャンルは異なっているものの、ダンスとロックの融合というスタイルはアルバムを通して一貫している。

そして忘れちゃならないのが、スペース・カウボーイ自身の声(ヴォーカル)だ。
エキゾチックなテナー、とここでは表象しておこう。
DJとしてのあらゆる試行錯誤、あらゆる実体験を経てやしなってきた彼自身の声なのだ。
彼のユニークな声、それはUKロックシンガー、スティング、そして『2001: A Space Odyssey(邦題:2001年宇宙の旅)』に登場する人工知能HALコンピューターの、この2つのエレクトロ的融合、とでも形容しておけば良いであろうか。

「要するに僕のヴォーカルはねじれてるってこと。
だけどその"ねじれ"は、ビートの"ねじれ"と呼応してるんだ。」
まさにその"奇"と"美"の融合こそが、スペース・カウボーイの新しいサウンドスタイルであり、そもそもの『ディジタル・ロック・スター』を象っているものでもあるのだ

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