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イギリスはブリストルにWild Bunchという影響力の強い集団がいた。そのWild Bunchから誕生したのがMassive Attackだ。彼らは、ソウルやダブやレゲエを取り込んだ、イギリスの素晴らしいダンスミュージックの先駆けとなった存在である。

Wild Bunchとは、Neneh CherryやプロデューサーのNellie Hooperなども所属した集団で、その中から'87年にMassive Attackが誕生。メンバーの中には後にスターとなるTrickyも含まれていた。彼らはシンセサイザーや朗々たるサンプリングを駆使し、うまい選択のカヴァーソングで、ブリストル独自のサウンドを創り上げた。Cup Of Teaレーベル時代のPortishead(当時はドラムも在籍しており、ベースはRoni Sizeだった)が、やや異なるアプローチでブリストルを世界的に有名にしたのはその後のことである。

アルバム『Blue Lines』は、フュージョンドラマーBilly Cobhamの『Spectrum』から取ったリズムサンプリングでスタートする。滑らかで切れ目のないサウンドの上にTrickyの暗いラップが乗る。そしてShara Nelsonの美しい声と、レゲエヴォーカリストHorace Andyの優しい歌がそこに重なっていく。“Unfinished Sympathy”はまさに傑作だ。

一方、“diggin' the scene with a gangster lean”という歌詞で有名なWilliam DeVaughnの'70年代のヒット曲、“Be Thakful For Wat You Got”のカヴァーは、ある程度は原曲に忠実ではあるものの、サウンドの幅が少し広がったものとなっている。また、James Brownのタイトル曲は、映画『Taxi Driver』のように暗くなぞめいた雰囲気を持つ。実際、バンドはライナーノーツの中でインスピレーションの源としてこの映画の名前を挙げている。

NelsonとTrickyとAndyがバンドを脱退すると、Massive AttackはEverything But The Girlのヴォーカリスト、Tracy Thornに参加を要請。アルバム『Protection』を制作する。Tracyのクールな声は彼らのしなやかな魂に新たな方向性を示した。“Karmacoma”にはTrickyも参加し、後にこの曲は彼のデビュー作『Maxinquaye』に“Overcome”という曲名で収録されている。

『Protection』のサウンドはさらに冴え冴えとして、世の中のすべてが閉ざされた中、深夜の街角をドライヴするにはもってこいのサウンドトラックだ。Mad Professor(Neil Fraser)は『Protection』をリミックスして乱暴なダブヴァージョンを作り、『No Protection』と名付けている。音の世界で彼がいろいろと遊んでいるのはそれはそれで面白いのだが、結局、彼はMassive Attackの洗練された曲を、形の残らないところまで分解してしまうことになった。Massive Attack自身は'97年の夏にシングルを発表しており、フルアルバムのリリースもそう遠くないことと思われる。

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