──アルバムの制作プロセスについて教えてください。お互いに何か提供し合ったり、否定し合ったりしたことはあったんですか?
Jay-Z:
そういうことは何度もあったよ。お互いに何度もね。
 R.Kelly
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R.Kelly:
Tone(プロデューサー)っていう、レフリーみたいな立場にいる奴がいたんだよ。俺はトラックマスターのToneに、Jayが本当に俺の作品をリスペクトしてくれてるかどうか相談したんだよ。そしたらToneは「あぁ、彼は君の作品をリスペクトしてるし、君に対してもかなりリスペクトしてる」って言ったんだ。最初の1曲目を作る前から、こんなことをお互いに繰り返してたんだよ。それで、俺らがお互いに曲をやり取りするようになった。Toneがホットな曲を俺に送ってくると、それに俺がヴォーカルを加えた。それをToneがJayに送って、Jayのヴォーカルを入れたものをまた俺に送ってくれるんだ。それは、ある種静かな競争だった。でもそれは楽しい競争でもあったんだ。
──このアルバムの完成までにどれくらいかかりましたか?
Jay-Z:
そんなに長くかからなかったな。3ヶ月?
R.Kelly:
あぁ。3ヶ月位かな。
──それだけのスケジュールを空けるのは大変でしたね。レコーディングは一緒に行なわれたんですか?
Jay-Z:
一緒にもやったし、別々でもやったよ。お互いに曲を送り合いながらも、それぞれの仕事もやっていた。ビデオ撮影もやりながら、彼は素晴らしいサウンドトラックも作ってた(ボクサー、モハメド・アリの半生を描いた映画「アリ」のオリジナル・サウンドトラックに収録された「The World’s Greatest」)。
R.Kelly:
だからすごくエキサイティングだった。すごく忙しい中で、ちゃんと完成させたんだ。だから誰に対しても言い訳する必要がなかった。
Jay-Z:
だから最終的に、スタジオで一緒に座って、お互い同じヴァイブや一体感があることを確認した。その結果、最高の出来になった。
R.Kelly:
そう思うよ。
Jay-Z:
怖くなるほど全てに集中してた・・・
R.Kelly:
来るものが来たって感じだ。
Jay-Z:
あぁ。来るものが来た。
R.Kelly:
それで完成させたんだから、クレイジーだよな。
──これは音楽中心のプロジェクトなんですか? かなり話題として盛り上がることが予想されるので、どんな形としても表現できると思うのですが…。
Jay-Z:
このレコードは、俺と彼だけのものではなくて、君を含めていろんな人間が関わってるんだ。2つの会社が関わっている。両社共ヘッドの大きい会社だ。2人に関わるスタッフ全て・・・彼のアシスタント、俺のアシスタント、全部が関わってるんだ。恐ろしいほどの金額の金を生むとは思ってないけど、これは音楽である以上に、俺らが一緒になって実現できたってことが重要なんだ。フルで動いている会社が2つあって、飯を食わなくちゃいけない人間がたくさんいるから、自分だけがたくさん金儲けするっていうプロジェクトじゃない。もっとエンターテイメントとしての価値があるもので、一緒にやっていてリスペクトできる人間と何かをすると同時に、俺らのキャリアの現段階で、こういうことが実現できたことを証明してるんだ。
──一緒にライヴをやったりはしないんですか?
R.Kelly:
もちろんやるよ! ツアーは不可欠だ。<The Best Of Both Worlds>ツアー、帽子、Tシャツ、コンドーム・・・全てを<The Best Of Both Worlds>だらけにするんだ。
Jay-Z:
ショウは一緒にやる予定でいるよ。みんなが座って評価するような、そんなショウにはしない。
──今までに、R.KellyやJay-Zと一緒に何かやりたいと思って、アプローチしてきたラッパーやシンガーはいませんでしたか?
Jay-Z:
いや、聞いたことないな。「アルバムやろうぜ!」って言ってくる奴はいないな。
R.Kelly:
アイディアを持ってくる奴はいつもいるけど、今作は単なるアイディアじゃなくて、もう超越したものなんだ。世界が止まってしまうような…。誰が最初に言い出したか覚えてないけど、とにかく最初に誰かがやろうって言い出したってことが重要なんだよ。誰が最初に言い出したかってことよりも、俺はここにいられて嬉しいんだ。こういうシチュエーションにいられることが…。だってこれは俺たちを超えて、俺らよりも若い世代や、俺たちと同じようなこと、それ以上のことをしようとしている奴らに大きな影響を与えることになるんだ。