サカナクション「新宝島」カバーが3日で200万再生突破。いまSNSで“謎の3人組” _Noid(ノイド)に何が起きているのか?

いま TikTok、Instagram Reels、を横断して、音楽好きのタイムラインを席巻している“謎の3人組”がいる。その名は_Noid(ノイド)。
無機質なスタジオ空間。壁一面に並ぶヴィンテージ・アナログシンセサイザー。Roland SP-404から鳴るタイトなビート。そこに重なる、どこか儚く美しい男性ボーカル。その映像を一度見てしまうと、なぜか最後までスクロールを止めてしまう。彼らは、Justin Bieber、BTS、The Weekndといった海外アーティストから、SEKAI NO OWARI、TM NETWORK、AKB48まで、ジャンルも世代も横断しながら独自のカバーを投稿している音楽ユニットだ。彼らの存在を決定的に拡散させたのが、サカナクション「新宝島」のカバー動画である。公開からわずか3日で200万再生を突破。この記事執筆時点の5月25日には342万再生を記録しており、コメント欄には日本語だけでなく英語圏を中心とした海外ユーザーからも絶賛の声が相次いでいる。
「この音像は何なんだ?」 「本家へのリスペクトと再構築が凄い」 「次は○○をカバーしてほしい」
そんなリクエストが世界中から殺到している状況だ。さらに反応したのはリスナーだけではない。SEKAI NO OWARIのFukaseは自身のストーリーで_Noidの動画を引用。サカナクション公式アカウントは動画を再投稿し、コメントまで残している。AKB48関連アカウントからもリアクションがあり、“カバーされた側”からの反応が次々と起きているのだ。
ここで気になるのは「彼らは何者なのか?」という点だろう。映像だけを見ると、どこかアートスクール的な空気感を纏った20代前半の若者たち。しかし、その音楽知識と機材への造詣、そしてアレンジ能力は、単なるSNS世代の“バズ狙い”とは明らかに一線を画している。BARKSは、そんなNoidにコンタクトを取り、いくつかの質問を投げかけた。
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「AI時代の創造性を再考する」_Noidのコンセプト
── このグループのコンセプトは?
_Noid:「三人でスタジオに籠り、人と人との関係性の中で生まれる創造を大切にしながら音楽を制作しています。“No idea without human creativity”をコンセプトに掲げています。AI時代だからこそ、“人間による創造”を改めて見つめ直したいと思っています」
AI時代における人間の創造性、それをヴィンテージシンセと生演奏、そして空気感そのもので提示している点も、_Noidが現在のSNSで特異な存在感を放っている理由かもしれない。なお、撮影場所と思われるスタジオについては「コメントなし」。映像内に映り込む膨大なヴィンテージ機材群も含め、謎めいた部分は多い。
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メンバー全員が“本業レベル”の音楽家
── メンバーのプロフィールを教えてください。
KØHKI(Vo):上智大学国際教養学部在籍中より音楽出版社で作詞・作曲家として活動をスタート。卒業後はtimelesz、SixTONES、RIIZEなど国内外アーティストへの楽曲提供を行っている。幼少期からJackson 5、Michael Jackson、Justin Bieberに影響を受け、現在は日本とアメリカを行き来しながら活動。バイリンガルならではのグローバル感覚も、_Noidのサウンドに独特の広がりを与えている。
Niko:早稲田大学国際教養学部在学中。“Niko Dobashi”名義でDJ、コンポーザーとして活動しながら、アーティストへの楽曲提供、アニメサウンドトラック制作、イベントオーガナイズなどを行うマルチプレイヤーだ。Roland SP-404を駆使したビートメイクも彼の特徴のひとつであり、_Noidの映像から漂う“ローファイなのに洗練されている”独特の質感を支えている。
Wana:東京藝術大学在学中にアナログシンセサイザーと出会い、“AI時代における創造性”をテーマに作品制作と論文執筆を行う。卒業時には安宅賞を受賞。CM音楽、劇伴、ポップスなど商業音楽の作曲も手掛けており、プロジェクト始動以前からSNSでは数万人規模のフォロワーを持つ存在だ。現在は東京藝術大学大学院に在籍。個人のSNSで、ヴィンテージMoogやRolandをはじめとした貴重なアナログシンセ群に囲まれた環境で音楽制作や配信を行っている。
メンバー全員がそれぞれ音楽活動をおこなっている_Noid(ノイド)。東京藝術大学、アナログシンセサイザー、そこから連想されるのは、やはり坂本龍一の存在だろう。もちろん直接的な比較はできない。しかし、_Noidの映像から漂う“静かな知性”と“実験性”には、どこかYMO以降の日本電子音楽の系譜を感じさせる瞬間がある。
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「カバーグループ」では終わらない
── 今後の活動について?
_Noid:「今夏、初のシングルをリリース予定です。ライブ活動やアルバム制作も含め、精力的に活動していきます」
つまり彼らは、“SNSで話題のカバー集団”で終わるつもりはない。現在のSNSシーンでは、バズを入口にしながらも、その先にオリジナル作品へ接続できるアーティストは決して多くない。しかし_Noidの場合、すでにメンバー全員がプロフェッショナルな音楽キャリアを持っている。だからこそ、今後リリースされるオリジナル楽曲が、単なる“バズ後の作品”ではなく、2026年以降の音楽シーンを象徴する作品になる可能性は十分にある。いま起きているこの熱狂を、“一時的なSNS現象”として片付けるのは早い。_Noidという名前を、今のうちに覚えておいた方がいいかもしれない。
BARKSでは今後も彼らの動向を追っていく。(BARKS DJ DRAGON)