【ライヴレポート】La’cryma Christi、ツアー<Night Flight ~final call~>完遂「この空間を輝かせてくれてありがとう」

2026.04.15 20:00

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La’cryma Christiが2025年12月から開催していた12年ぶりのワンマンツアー<Night Flight ~final call~>の最終公演が1月14日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで行われた。同ファイナルのライヴレポートをお届けしたい。なお、同公演の模様を収録したライブ会場 × 通販限定Blu-ray / DVD『La’cryma Christi LiveTour 2025-2026 Night Flight〜final call〜 at LINE CUBE SHIBUYA 20260114』が4月19日23:59まで注文受付中だ。

2025年11月、2日間に渡って行われた<CROSS ROAD Fest>のステージで、今は亡きKOJIの魂とともに、12年ぶりに再集結を果たしたLa’cryma Christiは、結成当時から、ハイトーンが突き抜ける歌とテクニカルな演奏、複雑な構成を持つ楽曲で、異国情緒漂う幻想的な世界観を描き、独自の地位を築いてきた。そんな彼らのワンマンが、2007年1月の解散以降も数度の再集結ほか、個々にキャリアを積んできた彼らのライヴが、12年ぶりに今の時代に観られるということでツアー<Night Flight ~final call~>のチケットは全4公演がソールドアウトした。

La’cryma Christiの再集結は、単なる懐かしい復活劇に止まるものではない。今、この瞬間をともに笑顔で生きてほしい。みんなを、日本を、世界を、笑顔にして輝かせたいという、未来に向けての航路を示すためのものだったのだ。「TAKAさん、体があるなら歌ってよ。みんなを笑顔にして、輝かせてよ」──TAKA曰く、KOJIが夢枕に3度立ち、そう言葉を投げかけてくれたという。KOJIがTAKAの夢枕に立たなければ、今回の再結成は実現しなかっただろう。そして迎えたツアー最終日も、もちろん満員御礼。会場となったLINE CUBE SHIBUYAの入場口付近には各メンバーへのプレゼントボックスが設置されていて、そこにはKOJIのBOXもあった。

開演時刻の18時過ぎ、場内の客電が落ちると、客席を埋め尽した観客の期待と緊張が悲鳴となってうごめいた。SEとして流れてきたのは「Dear Natural」だ。すべてが浄化されていくような美しいアコギの音色、それだけでラクリマワールドが蘇り、広がっていく。

ピンクの髪が鮮烈なSHUSE(B)、ロングの黒髪が美しいHIRO(G)、白い衣装が爽やかなLEVIN(Dr)、KOJIの代りを務めるサポートギターのSHINOBUに続いて、最後にTAKA(Vo)がゆっくり姿を現わした。ゴージャスなロングジャケットが当時を彷彿させ、大きなオーラをまとったTAKAだが、いつものサングラスをかけていない姿(再結成後は必ず本編で着用していた)に場内がどよめく。そしてTAKAが抱えていたKOJI愛用ギターを客席に向かって掲げると、場内から「KOJI!」と呼ぶ声が湧き起こった。そのギターをLEVINのドラム台にセットされたスタンドに立てかけると、いよいよ開幕だ。

ライヴは予想を裏切ることなく、ツアータイトルの「Night Flight」でスタートした。SHUSEのベースフレーズに続いて、HIROとSHINOBUのギターが絡み合い、華麗なスティック回しからLEVINがパワフルなドラムを打ち鳴らして、<Night Flight ~final call~>最終日の幕開けを告げた。“♪Breathe in the sky 僕は鉄の塊に乗り空をゆくよ 雲の谷間の蒼い月が僕を照らすよ”という歌詞に導かれて始まった12年ぶりの夜飛行。星や月を横目に見ながら、La’cryma Christiはオーディエンスを引き連れて時空を超えていく。

続いてはハイビスカスの香りが漂う「南国」へ。バンドが奏でる音楽が異国情緒漂う未知の場所へと誘い、寓話のような物語を堪能させてくれるところは、La’cryma Christiの真骨頂。イントロでTAKA、HIRO、SHUSE、SHINOBUがステージ前方へ移動すると、場内が明るい日差しに満たされて、トロピカルムード。SHUSEが衣装の裾を揺らしながら、ステージ上で何度も回転する姿はあの頃のまま。<CROSS ROAD Fest>で初披露したLEVINの新たなドラムがステージの一段高い場所で常夏を思わせるようにブルーに輝いた。

「ただいま!」──TAKA

演奏が終わると、TAKAが笑顔で挨拶。「TAKAを呼ぶ声が小さいな!」といういつものコール&レスポンスでオーディエンスとの距離を一気に縮めたあとは、「天空の果てから、温かい雪が降ってきました」と「Warm Snow」へ。HIROのスライドギターが温かい風を吹かせるように響き、TAKAの軽やかながらアタック感の強いハイトーンがブランクをまったく感じさせない。その歌声を彩るHIROとSHUSEのコーラスが美しいハーモニーを聴かせるなど、多彩なコーラスワークもラクリマサウンドの重要な要素だ。また、LEVINが歌詞に合わせて泣く仕草を見せたり、表情豊かに歌ってみせたり、指揮者となってオーディエンスを操ったりなど、物語の案内人となるのも彼の大事な役割。その上でメンバーは超絶プレイを余裕で披露していくのだから、片時もメンバー各々から目が離せない。

“ガラスの迷路の中で あなたを包み込んでる“という歌い出しから「Forest」が始まると、オーディエンスが頭上で手扇子をはためかせて、物語は幻想的な森の中へ。SHUSEと一緒に観客が一斉にジャンプをきめたり、TAKAのパントマイムも。曲が三拍子へ変化するとオーディエンスが一丸となってクラップ。昔と変わらない光景が楽曲を彩っていく。

そんな観客たちが涙したのが、次に披露された「未来航路」だ。KOJI作曲の明るく爽やかなポップチューンは、イントロのギターリフは生前のKOJIのギターサウンドが同期で流されるという、あまりにもうれしいアレンジ。また、曲が始まると同時に、ステージ後方へスクリーンが登場し、そこに「未来航路」ミュージックビデオや、KOJIがライヴでギターを弾く姿が次々と映し出されていく。リフを背中弾きするギターキッズ心を持ったKOJIや、その笑顔に客席のあちこちからすすり泣くファンの声が聞こえてきた。曲終わりでKOJIのギターのボディをHIROがタッチすると、場内は「KOJI」コールに包まれたまま終了した。

MCではTAKAが、冒頭に記したLa’cryma Christi再集結の経緯を改めてファンに語り、「KOJI、ありがとう」と天に向かって伝えた。そして「今日は感謝で溢れる日にしたい」とツアー最終日に向けた意気込みに続いて、HIROの前に12弦アコースティックギターがセットされた。HIROがアコギでアドリブフレーズを弾き始めると、それがシタールのような音色に変わり、場内にオリエンタルな空気が漂い始めた。

HIROがアコギのボディを叩いたのを合図に、TAKAが歌い出したのは「Zambara」だった。約7分ある曲中で変拍子を繰り返し、摩訶不思議なストーリーを展開していくプログレッシヴな同曲は当時、緊張感たっぷりに披露されていたが、この夜はLEVINのドラムに身体をあずけて各々がグルーヴィな演奏を楽しんでいる印象。随所に散りばめられたキメや、HIROのオリエンタルでエスニックなギター、SHUSEのトーキングモジュレーターなど、見どころ満載。高度な技術に裏打ちされたアンサンブルが圧巻だ。そして終盤の聴きどころはTAKAの最高音域まで達するハイトーン。当時よりも余裕を持って天空で光を放ち、“朝食を食べる僕は 空を眺める”という一節で一気に現実世界へ引き戻してみせるところは、今聴いても最高。笑い声のラストシーンまでラクリマ劇場がたっぷりと繰り広げられた。

照明で場内が真っ赤に染まった中で、SHUSEが叙情たっぷりのベースフレーズを奏でると「A.S.I.A.」へ。昭和感とエキゾチック感が交差するような間奏セクションではクールな変拍子も。切れ味と安定感が同居した息の合ったプレイは、キャリアを積んだメンバーだからこそ成せる技。そして「A.S.I.A.」の異国情緒感を引き継ぐように、ライヴはHIROの切なく美しいイントロから名曲「偏西風」へ。16ビートを基調としたリズムに、カッティング、アルペジオ、オブリがツインギターによって丁寧に編み込まれたフックだらけのギターフレーズは、最高傑作の異名も持つナンバーだ。オーディエンスがサビで手を左右に揺らして場内に偏西風を吹かせ、HIROのソロフレーズとSHINOBUのアルペジオが美しく重なる後半、そしてアウトロではツインギターのハモリが幻想的な空間を最後まで美しく描き続けた。

「楽しんでる? 俺たちもとても楽しいです。ここに来るまでの12年間。いろいろあった人、苦しかった人、悲しかった人。その苦しみ悲しみ苦痛、全部洗い流していってください」──TAKA

このMCに続いては、La’cryma Christi結成前のTAKAとHIROの出会い、サークルの先輩だったSHUSEの加入、メンバー募集で知り合ったLEVINと、その盟友KOJIの加入など、当時のエピソードを交えたメンバー紹介で場内を和ませていく。余談だが、その後ろでは「途中からスネアの音が気に入らなくて」と語ったLEVINがスネアを交換し、PAとサウンドチェックまで行うなど、大胆不敵と言おうか余裕綽々な振る舞いは、百戦錬磨の強者だからこそ。そして、「このステージにいる6人と、そこにいるみんなでLa’cryma Christiです」といつものセリフでトークを締め括った。

ライヴ後半の狼煙は「イスラエル」だ。当時とは曲の重さや放つメッセージの刺さり方が明らかに変わっているように感じた。民族音階を思わせる旋律が鳴り響き、“人々は神が手造りをした たった1つの失敗作だ” “神がGAMEをリセットしたのさ Endrollも見ずに…”という歌詞が心を揺さぶる。「イスラエル」に続いては、平和主義や人種差別問題もテーマのひとつになった「Blossom」へ。緊張感が広がり続ける世界。少しでも悲しみや痛みを和らげて、この場所からみんなの笑顔を広げて平和へ。そんな祈りを、音楽を通して伝えたのかもしれない。さらに、ここにいるみんなを笑顔するべく「月の瞼」へ。“YOKOHAMAへ行こう”という歌詞を“SHIBUYAまで行こう”に変えて歌唱したTAKAは、ステージから思いきり手を伸ばして最前列のファンと次々とタッチを交わし、観客をさらに笑顔にしていく。

「みんなにとっておきのプレゼントを!」とのTAKAの言葉に興奮する観客たちに、「はい、みんな座って」と観客を座らせた直後に「はい、立って」と立ち上がらせ、「スクワット」とにこやかに告げたTAKAに、観客は失笑。もちろんプレゼントはスクワットではなく、この日のライヴを映像化してBlu-ray&DVDで発売することをどこよりも早く発表した。

「キラキラなオーラを出してくれて、みんながどんどん浄化されていくのが、嬉しいです。この空間を輝かせてくれてありがとう。そんなみんなに贈る曲です。歌ってください」と始まったのはTAKA作詞作曲の「With-you」だった。ステージにはスクリーンが再び登場。ミュージックビデオや過去のライヴ映像が在りし日のKOJIを映し出していくなか、その間奏ではKOJIが弾くギターソロが同期で流れるというサプライズにファンも感涙。笑顔に涙が伝うような大合唱が響き渡る。

本編の最後は「Blueberry Rain」。同ツアーのセットリストは、La’cryma Christiのメジャー1stアルバム『Sculpture of Time』のオープニングナンバー「Night Flight」で始まり、ラストナンバー「Blueberry Rain」で本編の幕を閉じるというもの。加えて、「Blueberry Rain」は“ナイトフライトに行こうよ”という歌詞で終わるなど、La’cryma Christiらしいドラマティックな構成だ。天空への旅の終わりを告げ、メンバーはステージを後にした。

止まないアンコールに導かれて、再びステージに現れた6名のメンバー。「アンコールをやってあげる。その代わりにお願いを聞いて!」とTAKAがリクエストしたのは客席のウェーブだった。<CROSS ROAD Fest>の時と同様、TAKAの「3, 2, 1 Go!」の合図で観客全員参加でウェーブを何度も行なった。そして「こんなに盛り上げたけど、次はしっとりした曲です」と始まったのは、楽曲序盤こそしっとりだが、サビの爆発力が半端ない「SCREAMING」。これにはオーディエンスが大興奮。SHUSEは頭をブンブン振りながら重低音を響かせ、LEVINの迫力満点のバスドラにのせて、HIROが解き放つようにギターで感情を叩きつけた。

ロック全開な楽曲に続いて披露されたのは、インディーズ時代の名曲であり、ライヴで盛り上がり確実の「White period.」だ。美しさと儚さが同居した同曲は、“六日の間泣き続けて そして何も見えなくなり 指先で探るガラスのkakeraで あなたの後を追おう”という、あまりにも切ない歌詞も含め、La’cryma Christiの人気を決定付けた楽曲のひとつ。ヘドバン、ジャンプ、合唱で会場がひとつとなってアンコールが終了した。

そして、二度目のアンコールへ。ステージに出てきたTAKAは、「先ほどのプレゼントに続くプレゼントがある」と告げたあと「ほら、3階の奥からパタパタパタ…伝書鳩がやってきました」と続けた。そして伝書鳩を「ここにいて」と自分の肩に乗せたTAKAがアナウンスしたのは、新たなライヴ告知だった。それは、4月12日に東京・豊洲PITでKOJIのメモリアル&バースデイライヴ<Eternal Blue>を実施するというもの。KOJIが所属していたLa’cryma Christi、Alvino、ALICE IN MENSWEARの3バンド集結によるライヴイベントとなる。場内に歓喜の輪が広がり、TAKAが「伝書鳩が飛んでいったあとは、シャム猫がやってきました」と語り、始まったのはもちろん「Siam’s Eye」だ。こちらもインディーズ時代からの代表曲。HIROの付点8分ディレイによるフレーズが美しく響くと、オーディエンスは瞳を表わすように、片方の手の指で輪を作り、その手を顔の前でユラユラ揺らす光景も当時のままだ。

そしてオーラスは、会場内に銀テープが降り注いで「THE SCENT」へ。ライヴのエンディングナンバーに起用されることの多い代表曲中の代表曲に場内が明るく輝いた。さらに、コートを脱いだTAKAが客席へ降臨。1階客席通路を歩きながらファンの吐息を感じる距離まで近づいてハイタッチを交わしていくと、客席からどよめきのような歓声があちこちから湧き上がった。曲が終わるとステージセンターに全員集合。TAKAの指示でSHINOBUがKOJIのギターを肩にかけ、6人全員と観客みんなが手を繋いで挨拶。場内にはライヴの終演を告げる「With-you」のヴォーカルレスバージョンが流れ、メンバーがステージから去ったあとも、観客が全員で最後まで大合唱するのがLa’cryma Christiのライヴスタイルだ。その合唱は同曲ラストまで力強く歌われた。…これにて終演かと思われたツアーファイナルだが、三度客電が落ちた。トリプルアンコールだ。

騒然とする場内にメンバーが姿を現し、始まったのはこれまたインディーズ時代の代表曲「S.E.A.」。激しく大暴れするバンドサウンドに合わせて、客席は壮絶なヘドバンを繰り出した。続けて、「サンキュー東京、3, 2, 1, GO!」というTAKAの振りで、再びウェーブを始める場内。同時にLEVINがドラムを叩き始め、アルバム『Lhasa』収録曲の激しいナンバー「PSYCHO STALKER」をダメ押しのようにドロップすると、会場中が一体感に包まれながら暴発。この曲のキャラになりきったTAKAがぶち切れたような表情を浮かべ、再び客席へ降て観客を激しく煽り立る姿は圧巻だった。ステージに戻ったTAKAは「みんな輝いた? 洗い流された?」とオーディエンスにやさしく問いかけた。「ファイナルありがとう。そして、また会おう」という言葉でツアー<Night Flight ~final call~>を締め括った。

La’cryma Christiは同ツアーの追加公演<Night Flight 〜Last Finale〜>を、3月14日および15日に東京・LINE CUBE SHIBUYA、TAKAにゆかりの三重公演を4月18日に三重・柿安シティホール、そしてバンドの地元・大阪公演を5月9日に大阪・Zepp Nambaで開催する。この日発表された4月12日の東京・豊洲PIT公演<KOJI Memorial & Birthday Live 2026 〜Eternal Blue〜>を含め、La’cryma Christiがライヴパフォーマンスを通して、さらにみんなを、日本を、世界を、宇宙の果てまでキラキラ輝かせていく。

取材・文◎東條祥恵
撮影◎春川 眞

 

Blu-ray
DVD

■ライブ会場 × 通販限定Blu-ray / DVD『La’cryma Christi LiveTour 2025-2026 Night Flight〜final call〜 at LINE CUBE SHIBUYA 20260114』
3次受注期間:〜4/19(日)23:59まで
2026年5月上旬〜中旬頃発送予定
※発送は予定となっております。状況により前後する場合もございます。
【初回生産分 数量限定販売】
LCRM-0003 ¥8,000(税込)
予約リンク:https://lc-garden.jp/store
▼収録内容
SE: Dear Natural
01.Night Flight
02.南国
03.Warm Snow
04.Forest
05.未来航路
06.Zambara
07.A.S.I.A.
08.偏西風
09.イスラエル
10.Blossom
11.月の瞼
12.With-you
13.Blueberry Rain
encore
en1.SCREAMING
en2.White period.
en3.Siam’s eye
en4.THE SCENT
en5.S.E.A.
en6.PSYCHO STALKER

 

■ツアー追加公演<Night Flight〜Last Finale〜>
3月14日(土) 東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
3月15日(日) 東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
4月18日(土) 三重・柿安シティホール(桑名市民会館)
5月09日(土) 大阪・Zepp Namba