【ライブレポート】SAKI、ツアー<PLUVIA>ファイナルで体現したギタリストの矜持「ここから本当の意味でのスタートが切れる」

ギタリストのSAKIが3月19日、東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて全国ツアー<SAKI TOUR 2026 PLUVIA>のファイナル公演を開催した。屈指のギターテクニックを駆使したインストゥルメンタルの熱演のみならず、赤裸々な思いもMCで語られたステージの模様をお届けしたい。なお、先ごろ記事公開したとおり、同ツアーファイナルでは、6月にソロアルバム『PLUVIA』でメジャーデビューすることに加え、全国5都市をまわるソロツアーの開催も発表となった。
2025年10月に活動15周年を迎え、東名阪にて自身初のソロツアー<SAKI 1st Tour「Autumn Rain」>を行なったSAKIは、ソロ活動を軌道に乗せつつ、L’Arc-en-Cielのリーダーtetsuya率いるLike-an-Angelのギタリストとしても活躍するなど、着々と一般的知名度を上げている。そして2026年2月13日の東京・Veats Shibuyaを皮切りに、福岡、名古屋、大阪、仙台をまわり、再び渋谷に戻ってきたツアーファイナルを見届けるため、全国から詰めかけたファンの熱気が開演前からSHIBUYA PLEASURE PLEASUREに満ちていた。
開演前のBGMは、今回のツアーのサポートを務めるメンバーの楽曲やSOFT BALLETの楽曲が流れるなど、SAKIの最近の音楽嗜好を反映したもの。そして、ツアーファイナルのサポートを務めるのは、はな(G / Gacharic Spin)、ユニカインパクト(B / 革命メロイック)、shuji (Dr / ex-Janne Da Arc)の3人だ。

インダストリアルなSEに乗って、サポートメンバーがステージへ。続いてSAKIが大歓声に迎えられて登場すると、フェイドインする同期サウンドに導かれるように「GERMINANS」からライブがスタートした。SAKIの本格的ソロ始動を告げた同曲に、客席から一斉に拳が上がる。バイオリン奏法を駆使してノスタルジックにサウンドを演出するSAKIにサポートの3人も呼応して、バンドが息をするかのごとく楽曲の感情を伝えた。タッピングで煌びやかな曲を締めくくると、「いけますか!、渋谷!」と叫んで「Tempest」へ。ステージ背後のスクリーンにサイケ模様が映し出され、SAKIが奏でるリバーブの効いたサウンドも幻想的。ワイドスタンスで頭を振りながらワイルドなパフォーマンスをSAKIが繰り広げ、雷鳴のようなshujiのドラムを中心にサポートメンバーたちの卓越した演奏がSAKIの奔放な表現をガッチリと支える。
「ツアーファイナル、ご来場ありがとうございます! 2025年1月にこの会場でソロライブやらせていただきましたが、こうしてまた戻ってこられました。今回、ツアーがたくさんの本数で、回るのも大変でしたけど、無事にファイナルまでたどり着くことができました。インストゥルメンタルなので、みんな乗りづらそうにしてるところもあったかもしれませんが(笑)。ツアーを経て私も含め、いい感じで盛り上がり方を学んで、創り上げられたような気がしてます。最後まで今日はよろしくお願いします」──SAKI
全国ツアーでファンと共に作り上げたステージへの自信を伺わせるMCには感謝も溢れ、場内の一体感をより高めていく。

3曲目に披露された「THE EMPRESS」では、照明によってステージが真っ赤に染まる。煽情的なチョーキングがバンドの轟音とともに登り詰めていくようなセクションに圧倒される一方で、途中にshujiのドラムとSAKIのギターだけで会話するような少ない音数による空気感を活かすなど、曲展開もドラマティックだ。
同曲明けのMCでは、キングレコードからソロ名義によるデビューアルバムを6月にリリースすることや、自叙伝『サキノオト。〜ギタリストSAKI自叙伝〜』を刊行したことをアナウンス。充実した現在の活動について語ったSAKIだが、2025年1月のソロ始動ライブ当時の苦悩も赤裸々に告白した。
「精神的に不安定になっちゃって、“ライブ活動も最後にしようか…”と思っていた時期があったんです。でもそんなとき、ファンの皆さんと楽しい時間を共有できて、“また頑張ろうかな”と思えたのが、この会場でのライブだったんです。こうして再びこの会場で、ソロツアーのファイナルに来てもらえて、本当にうれしく思っています。“最後になるかも”みたいな気持ちを抱いていたライブから1年2ヵ月くらいで、“こんなにもいろんなことが変わるんだ”っていうことに、我ながら驚きです」──SAKI

現在の正直な気持ちを語ったMCに続いて、Xのポストで告知されていた“観客の掛け声を録音する「掛け声REC」のコーナー”へ。これは、6月リリースのアルバム収録予定新曲のサビで使用する「Hey! Hey!」という掛け声を本日のオーディエンスの協力を得て、レコーディングしたいというものだ。そして、「まずは曲を演奏するので聴いてほしい」と新曲(タイトル未定)を披露した。
打ち込みのビートから始まる新曲は、規則的なリズムとリフ、SAKIが奏でるキャッチーなテーマメロディが印象的。’80sニューウェイヴやテクノを感じさせるサウンドには遊び心も感じさせる。そして曲が終わると、SAKIによる掛け声のレクチャーへ。オーディエンスと練習を繰り返し、レコーディングでは、1階席と2階席から「Hey! Hey!」と大きな声が上がった。SAKIは「ありがとうございます! 最後、めっちゃ一体感を感じませんでした? まあこれだけやっても、使わないかもしれないけど(笑)」という無情なひと言が観客を爆笑させた。
恒例の“名曲カバーコーナー”ではメンバーのソロプレイをふんだんに聴かせるシーンもあった。まずは、布袋寅泰による映画『キル・ビル』のテーマ曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」をカバー。SAKIが弾くメインテーマはもとより、shujiのテクニカルなドラム、ユニカインパクトによるスラップに続いて、はなの華麗なタッピングなど、トリッキーなソロパートが歓声を集めた。そして、shujiのド派手なフィルインにドッと場内が沸いた楽曲は、ジェフ・ベック「Led Boots」のカバーだ。ユニカインパクトのベースソロは凄まじく、はなの広がりのあるチョーキング、shujiの切れ味鋭いドラムプレイは秀逸。ユニカとはながドラムセットに集まり、その前でSAKIが演奏に没頭するシーンはカッコいいのひと言だ。今は亡きギターレジェンドへ捧げる見事なアンサンブルに大歓声が沸き起こった。
「皆さんも楽しいと思うんですけど、ツアーを通じて、私が一番楽しんでおります」と語ったSAKIは、さらにカバー曲の演奏を続けた。ジョー・サトリアーニ「If I Could Fly」のカバーではギターのロングトーンが爽やかなAORな風を吹かせ、アンディ・ティモンズ「Super ’70s」のカバーではロックなリフと流麗な旋律が融合。中盤での変拍子も鮮やかで、バンドとしての技量の高さを痛感させる。ギターインストゥルメンタルの面白さが存分に発揮されたこのコーナーは、そのままソロアーティストSAKIの魅力でもある。

「アルバムに入る予定の楽曲を聴いてほしいんですけど。曲を作ってて、アレンジャーさんと楽しくなっちゃって。人間が弾くことを想定しないまま…。本当にメンバーさんには毎度申し訳なさでいっぱいなんですが(笑)、すごくノリの良い曲になっていると思うので、一緒にジャンプしたりして楽しんでもらえたらうれしいです」──SAKI
というMCに続いて披露されたのは、「HORIZON」だ。この明るく派手なダンスチューンは、客席から早くも「Hey! Hey!」と合いの手が入るノリノリの新曲。SAKIはしゃがみ込んでギターを立てて弾いたり、ジャンプしたり、客席を煽りながらのパフォーマンスも見どころとなった。
メンバー紹介のコーナーでは、はなやユニカインパクトの間で流行っているという『パペットスンスン』をテーマに女子トークが繰り広げられたが、年齢層の高い客席を気遣って『機動戦士ガンダム』の話題にシフトさせるなど、鋭いサウンド&パフォーマンスとは対照的なほんわかムードに。



そしてSAKIが赤いボディーが鮮烈なKiller Guitars KG-Fascist Viceに持ち替えるとライブが再開。Mary’s Blood の楽曲「XOXO-kiss&hug-」のインストバージョンへ。フロントの女性3人が髪を振り乱しての熱演は圧巻。SAKIがステージ前方で体を大きく仰け反らし、ハイトーンで客席を挑発する。さらには高速2ビートな「Wings」を披露するなど、ライブ後半へ向けて会場が熱狂的なムードに包まれた。
ライブ終盤は怒涛の3曲。Mary’s Bloodの「Coronation Day」はバンドのタイトな演奏に煽られるように客席の熱気が上昇気流を描き、「Bite the Bullet」に雪崩れ込むと、凄まじい音の洪水に圧倒された。SAKIはステージ上手下手を行き交うようなパフォーマンスを見せ、はなのもとへと駆け寄ると背中合わせにツインリードを決めてみせた。
「まだ行けんだろ、渋谷!」とSAKIが叫んぶと、本編ラストの「Marionette」へ。艶やかでクリーンなトーンからギタースクラッチなど、疾走する楽曲の中で丁寧かつアイデア豊かなプレイが光るナンバーだ。15年のキャリアの中で培った豪快さと繊細さが混在したプレイこそ、SAKIがギタリストとして支持を集める理由のひとつであることに間違いはない。華麗なパフォーマンスに加え、「来い!」というたくましい言葉で客席を煽る姿も、彼女ならではのもの。高速フルピッキングやタッピング、はなとのハーモニーを聴かせて曲を終わらせると、興奮の坩堝と化した客席にピックを放り投げ、ステージを後にした。

アンコールは、スローな「Redemption」でブルージーに泣きのチョーキングで客席を酔わせ、スケールの大きなサウンドスケープを描き出す。同曲後半の重低音リフでヘドバンする展開から、ドラム、ベース、ギターといったサポートメンバーがそれぞれソロを披露するシーンが熱く会場を盛り上げ、SAKIがビブラートを惹かせながらバイオリン奏法で曲を終わらせるなど、名演の余韻が残る1曲となった。
最後のMCでは、「ツアーが終わっちゃうんだな。さみしい気持ちでいっぱいです。でも、新しいツアーも発表されて。年に2回もツアーができてうれしく思ってます」と感謝を述べたほか、「最近言われた、ちょっと嫌だった話」と前置きして、SAKIのパーソナルに迫るようなアイデンティティが語られた。
「とあるバンドマンから、私の慶応大学出身という経歴を揶揄して、“そういう(高学歴な)奴がバンドや音楽をやってても、面白くないと思うんだよ”と言われて…。失礼じゃない? すごくムカついたのよ。うちは父親が慶応で母親も国公立出身だからプレッシャーもあるわけですよ。でもギターは弾き続けたかったから、ギターを弾きながらいかに受験のコストを下げるか、ということをやってきたわけです。それぞれの苦労があるわけじゃん。それなのに、大学出てると“なんかロックじゃない”みたいなことを言われたり。腰掛けで音楽をやってるんじゃないかと言われたり。大御所から可愛がられているのは枕をやってるからに違いないとか言われたり。そんなことは自分の倫理観に照らしても絶対にない。何が言いたいかというと、もちろん私が思うなりのロックの心は持ってるつもりだけど、そんなことを言われ続いていると、そういう言葉にも意味があるのかなと考えたり。自分のことを知りもしない人から自分の本意でないことを言われたりして、それほどの価値が自分のギターにあるのかなと悩んでいたんです。そんなとき、去年1月にこの会場でライブをやってすごく救われたし、去年秋のツアーや今回のツアーで、“よし、もう一度頑張ろう。もっと頑張れる”という気持ちになれました。そこに、自叙伝の刊行という新しいことをやらせていただいたり、なによりキングレコードさんからソロデビューのお声掛けをいただいたということもあって、ようやくギタリストとして、ここから本当の意味でのスタートが切れるのかなって思えたツアーになりました。今日は本当にありがとうございました」──SAKI

ギタリストとして、ロックミュージシャンとしての矜持を言葉にして伝えたSAKIに、万雷の拍手が沸き起こった。「大演説だったね」と笑い飛ばして空気を変えたSAKIは、「最後に1曲聴いてもらえますか! いけんのか、渋谷!」と煽り、ツアーファイナルのラストは「BRIGHTNESS」で迸る激情を思いっきりぶつけた。全身全霊を懸けた最高にカッコいいパフォーマンスの連続がツアーのクライマックスを描いて、すべての演奏が終了した。
ラストは客席をバックにメンバー全員で写真撮影。「皆さん、今日はありがとうございました!」と深々と頭を下げ、去り際に客席へ投げキッスしたSAKIに、終演後も大歓声と拍手が鳴りやまなかった。
取材・文◎岡本貴之
撮影◎川端敏雄
■<SAKI TOUR 2026 PLUVIA>3月19日(木)@東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE セットリスト
01.GERMINANS
02.Tempest
03.THE EMPRESS
04.新曲(タイトル未定)
05.BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY (『キル・ビル』テーマ)
06.Led Boots
07.If I Could Fly
08.Super 70’s
09.HORIZON
10.XOXO
11.Wings
12.Coronation Day
13.Bite the Bullet
14.Marionette
encore
en1.Redemption
en2.BRIGHTNESS
■アルバム『PLUVIA』
2026年6月24日 (水)
【初回生産限定デラックス盤(CD+BD)】
KICS-94255 ¥9,900(税込) / ¥9,000(税抜)
初回生産限定特典:Blu-ray付
三方背BOX仕様+カラー・フォトブックレット封入
【通常盤(CD)】
KICS-4255 定価¥3,300(税込) / ¥3,000(税抜)
▼収録内容
※詳細は後日発表

■全国ツアー<SAKI SOLO MAJOR DEBUT TOUR 2026 “PLUVIA”>
7月04日(土) 福岡・LIVEHOUSE OP’s
open15:00 / start15:30
(問)LIVEHOUSE OP’s:092-711-9930
7月25日(土) 宮城・仙台ROCKATERIA
open15:00 / start15:30
(問)仙台ROCKATERIA:022-748-7697
8月01日(土) 大阪・OSAKA MUSE
open15:00 / start15:30
(問)OSAKA MUSE:06-6252-8301
8月02日(日) 愛知・ell FITS ALL
open15:00 / start15:30
(問)サンデーフォークプロモーション:052-320-9100
8月11日(火/祝) 東京・新宿ReNY
open15:00 / start15:45
(問)新宿ReNY:03-5990-5561
▼サポートミュージシャン
はな (G:Gacharic Spin)
ちい (B)
shuji (Dr:ex-Janne Da Arc) ※福岡・大阪・愛知公演
前田遊野 (Dr) ※宮城公演
▼東京公演サポートミュージシャン
YASHIRO (G)
RENO (Guest Guitar)
ちい (B)
川口千里 (Dr)
▼チケット ※スタンディング
・特典付きVIPチケット ¥15,000(税込/ドリンク代別)
※特典内容:先行入場・ライブ後2ショット撮影・お見送り付き
・通常チケット ¥7,000(税込/ドリンク代別)
一般発売日:6月6日(土)10:00
プレイガイド(イープラス):https://eplus.jp/saki-chucky/
【SAKIオフィシャルファンクラブ先行】
受付期間:3月19日(木)21:00〜4月12日(日)23:59
【イープラス・プレオーダー先行】
受付期間:4月25日(土)12:00〜5月17日(日)23:59
受付URL:https://eplus.jp/saki-chucky/







